「メンター」の意味を解説!使い方からメンター制度のメリット・デメリット・メンティーとの違いについて解説
「メンター」は「指導者」「助言者」を表す言葉です。
ビジネスの場では、
- 指導・助言をする人を「メンター」
- 指導・助言される人を「メンティー」
というように使われています。
何となく使ってしまいがちな「メンター」の正しい意味や使い方をおさらいしておきましょう。
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
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「メンター」の意味
「メンター」の語源はギリシャ神話にあります。
ホメーロスの叙事詩「オデュッセイア」に出てくる良き指導者・理解者の名前「メントール」が変化し、「メンター」という言葉が生まれたと言われています。
しかし現在のビジネスにおける「メンター」には「指導者」「助言者」という意味以上の役割があります。
「メンター」の意味
「メンター」は新入社員(中途入社も含む)の教育のために指導・助言・支援をする、相談役のような人材です。
支援される新入社員側は「メンティー」と呼ばれます。
メンティーと年齢の近い社員がメンターとして選任されることが多く、配属部署が異なる2人がペアになることもあります。
「メンター」は上司とは異なるため、業務の命令をすることはありません。
「メンター」が行うのは、
- 仕事の進め方に関するアドバイス
- 自立して仕事をするためのアドバイス
- 社内での人間関係のアドバイス
- 精神的なサポート
- プライベートな悩みを共に考える
といった、メンティーの成長のための総合的なサポートです。
「メンター制度」の意味
「メンター」が「メンティー」をサポートする制度を「メンター制度」と呼びます。
メンター制度には
- 新入社員向けメンター制度
- 若手社員向けメンター制度
- 女性社員向けメンター制度
など様々な種類があります。
「メンター」が「メンティー」をサポートする期間は半年〜1年間が一般的です。
「メンター」と「メンティー」のマッチングには、
- 人事部が適正や相性を検討してマッチングする
- 人事部が候補者を用意して「メンティー」が希望する「メンター」選ぶ
方法があります。
企業が「メンター」を用いる理由
以前は直属の上司が新入社員のサポートを全面的に行っていましたが、様々な理由で「メンター」が必要となりました。
主な理由は以下の通りです。
- 人手不足で、教育のための時間を取ることができない
- 終身雇用制度の崩壊、早期退職者の増加で指導者が足りない
- 短期間で「自立した人材」「即戦力」を育てるのが難しい
- 職場での悩みを解決できず、退職する新人社員が多い
- 時間、労力をかけて教育した新人がすぐに辞めてしまうことが多い
直属の上司には相談しにくいことも話せる存在がいることで、新入社員が「組織に属し、ケアされている」という安心感を抱くことができ、自信を持って業務に取り組むことができるようになります。
「メンター」に適した人材とは
- メンティーの特性を理解し、向き合える人
- メンティーに合わせた教え方ができる人
- 観察眼があり、メンティーの必要に気づける人
- 他人の話をよく聞き、時間を割くのをいとわない人
メンターは実務経験や社会人経験が豊富であるだけでなく、面倒見がよく、根気強いことも求められます。
メンターに誰を選ぶかにより、担当の新入社員の成長度合いも変わるので、注意深く選出を行うべきです。
スタートアップ企業にとっての「メンター」
これまでは、企業内での人材育成の場で使用される「メンター」という言葉について紹介してきましたが、「メンター」は「スタートアップの起業家に助言を与える人」という意味で使われることもあります。
スタートアップ企業にとっての「メンター」とは、企業の経営・戦略・マーケティングから人材や人生相談まで、会社に関する様々な相談にのる「指導者」の役割を果たします。
会社の方向性に関する相談が多いため、1人のメンティーへの指導と異なり、経営・マーケティングなどの専門的知識が必要となります。
有能なメンターがいる場合、スタートアップ企業のパフォーマンスは上がり続けるでしょう。
メンター」と「コーチング」の違い
メンター制度もコーチングも、「1対1で指導を行い自立を促す」という点では同様の教育方法です。
しかしメンターは新人の様々な悩みのサポートを行います。
これに対し、コーチングはプロジェクト達成・企業目標の実現など明確な目標のためのサポートを指し、業務経験のある人も対象にサポートを行うという違いがあります。
「メンター」の例
- 部署に馴染めない新人のために、コミュニケーション能力を上げるためのアドバイスをする
- キャリアを重ねるためにすべきことをアドバイスする
- 複数の業務に、優先順位を正しくつけて取り組むことを教える
「コーチング」の例
- 新規案件獲得のために、効果的なアプローチ方法を考えさせ、実行を助ける
- 売り上げアップのために必要なスキルを提案し、実現を助ける
- 目標達成のための計画表を提出させ、評価する
「メンター」の使い方・例文
メンターの意味は理解できましたが、実際の会話では「メンター」をどのように使うことができるでしょうか。
例文を見ながら、メンターの正しい使い方を身に着けましょう。
「メンター」の例文
- メンター制度を導入してから、新入社員の離職が減った
- 新入社員のメンターを君にお願いしたいので、セミナーを受けてくれないか
- メンターの先輩に相談できたおかげで、ストレスが減りました
「メンター」を言い換えるなら「指導者」
「メンター」を日本語で言い換えるなら、「指導者」と言うことができます。
しかし状況によって「指導係」「相談係」などの言葉を使うことで、「メンター」の持つ意味により近づけることができるでしょう。
「指導者」の使い方
- 新入社員がイキイキ働いているのは、指導者が良いからだ
- 良い指導者になるためのセミナーがあるので、参加してほしい
- 指導者に求められているのは、相手が理解できるように伝える力だ
「メンター」は英文で使ってもOK?
「メンター」は英語で「mentor」と言い、同じ意味を持つため、英文でもそのまま使うことができます。
「彼は私のメンターです」を英語で言うと、「He is my mentor.」となります。
「メンター制度」を導入するメリット・デメリット
メンター制度は企業・メンター・メンティーにとってメリットがあります。
しかしデメリットもあるため、導入の前には熟考が必要でしょう。
最後にメンターのメリット・デメリットを解説します。
「メンター制度」を導入するメリット
企業にとってのメリット
- 離職する新人が少なくなる
メンターにとってのメリット
- 後輩のマネジメント経験を積むことができる
メンティーにとってのメリット
- 職場への適応が早く、安心感を抱いて仕事ができる
「メンター制度」を導入するデメリット
企業にとってのデメリット
- メンター制度のための構造を作る必要がある
メンターにとってのデメリット
- メンターのためのセミナー参加などが必要
メンティーにとってのデメリット
- メンターと気が合わないと仕事がしづらくなる
メンターについて まとめ
「メンター」は新入社員(中途入社も含む)の教育のために指導・助言・支援をする、相談役のような人材、という意味でビジネスの場で使われている言葉です。
メンターが必要とされる理由は、以下の通りです。
- 人手不足で、教育のための時間を取ることができない
- 終身雇用制度の崩壊、早期退職者の増加で指導者が足りない
- 短期間で「自立した人材」「即戦力」を育てるのが難しい
- 職場での悩みを解決できず、退職する新人社員が多い
- 時間、労力をかけて教育した新人がすぐに辞めてしまうことが多い
メンター制度の導入は、上記の問題の解決に役立ちます。
メンターとなる人も、メンターの指導を受ける人も、メンターの意味や目指すものを正しく理解しておきましょう。