近年「田舎暮らし」や「地方移住」が注目されている影響で、田舎で働くことに興味を持つ人が増えています。
地元に帰省した時に「首都圏よりも地元でゆったりと働きたい」「憧れの田舎暮らしをしながら働きたい」とUターン転職を考える人もいます。
しかしUターン転職は現実には仕事は首都圏・都心部に集中しているため、地方に転職となると仕事の数が激減し自分のやりたい仕事を探すだけでも簡単にはいきません。
理想のUターン転職を成功させるには自分のキャリアや人生設計をよく考えた上でしっかり情報収集してUターン転職に挑む必要があります。
Uターン転職などの地方での転職を希望する場合は生活拠点ごと移さなくてはならないため、首都圏で転職をする時よりも一層強い決意と準備が大切なのです。
この記事では「都会の生活に疲れた」「地元に戻って貢献したい」「地元で家庭を築いて子育てしたい」と考えているあなたへ、理想のUターン転職を成功するために、「Uターン転職の探し方」「Uターンに向いている人」、「Uターン転職のメリット・デメリット」を合わせてご紹介します。
「Uターン転職」ってどんな転職
Uターン転職とは生まれ育った地元を離れて都会で就職した後に、地元に戻って転職をする里帰り転職のことを指します。
地元に戻る理由は「都市部での生活が合わない」「地元で子育てをしたい」「家業を継ぎたい」など人によって様々で、近年では家族の高齢化により親の介護を理由とする人も増えています。
Uターン転職はキャリアだけでなく、生活そのものが変わるため人生の大きな分岐点となります。
さらに転職活動の上で求人情報も少なく、面接へ行くにも費用と時間がかかるため、就職活動が長期化しやすくなります。
勢いで転職活動をするのではなく忍耐強く転職活動を進めなければならないことは頭に入れておきましょう。その上でしっかりとメリット・デメリットを天秤にかけ、地元に戻って働くことが自分の将来においてより良い人生になり得るのかどうか、慎重に考えていきましょう。
Uターン転職以外にも「Iターン転職」「Oターン転職」「Jターン転職」がある
都会から移住する形での転職にはUターン転職以外にも「Jターン転職」「Iターン転職」「Oターン転職」といった3種類があります。
1:Iターン転職は都心部生まれが地方へ転職
「Iターン転職」とは都市部で生まれ育った人がそのまま都市部で就職した後、地方に転職することを言います。
旅行などをきっかけに地方の魅力を感じ、都会にはない生活を求めて転職する人が多いです。
しかし都市部と地方部では生活スタイルが大きく異なるため、今まで経験したことのない地方での生活は仕事面だけでなく生活面でも大きな変化をもたらします。
そのため、転職活動を開始する前に希望する地方の生活が自分に適しているのか、交通手段や生活範囲などより詳しくその土地について情報収集を行う必要があります。
他にも独立・起業を考えている人が「地方でしかできない職種での起業」「経済資源」「優遇制度」などを求めて移住するケースも増えています。
2:Oターン転職は都心→地方→都心
「Oターン転職」とは都市部から地方部へ一度転職した後にまた都市部へ戻って転職することを言います。
このパターンでは一度地方で就職したものの何らかの問題があり戻ってくるパターンや地方でしかできないことを求めて転職し、その経験を都市部の企業で活かすためにもう一度都市部に戻ってくるパターンなどがあります。
しかしこの転職パターンのほとんどが「何らかの問題があり戻ってくる人」です。
苦労して手に入れた地方での転職を「失敗した!」と後悔しないためには事前の移住対策や生活スタイルの見直しなど、情報収集と準備を怠らないことです。
3:Jターン転職は都心から別の地方
「Jターン転職」とは地方で生まれ育った人が都市部で就職した後に生まれ故郷とは異なる地方に転職することを言います。
Jターン転職では地元に近い地方都市などに移住する人が多く、家族や地元の友人との距離が近くなるとともに自然環境や人との繋がりなどの地方独自の生活を楽しみつつ、都会の利便性も欲しいという時に選択されることが多いようです。
また「地元にはやりたい仕事がない」という場合にも、地方都市であれば地元に比べて求人数も多く田舎よりも利便性が高いため生活がしやすいと感じる人が多い傾向にあります。
暮らし方も地方と都心部の中間のようなイメージですので、いきなり地元に根付いて働くよりも働きやすく、地元への帰省が楽になるのもメリットといえます。
Uターン転職したい!仕事の探し方
それではUターン転職に向いている・地元企業に転職したいと思ったとき、どのように求人を探せば良いのでしょうか。
まず、Uターン転職においては「求人数の少なさ」がネックです。
そのため、まずは「求人の出るタイミングを逃さないこと」が大切です。
そもそも退職する人自体が少ないため、求人が出る機会も少なく、ツテやコネで枠が埋まりやすいことがあります。常に情報収集を怠らず、希望に合う求人が出たらすぐに行動することが必須です。
また、地方への転職であっても、様々な方法を組み合わせることで求人を見つけるチャンスを広げることができます。
例えば
- 自治体のサポート情報やハローワークでの情報収集
- 地元の知り合いの人脈をあたる
- 転職サイト・エージェントを利用する
などです。
自治体の就職・転職情報などを活用
自治体のサポート情報・ハローワークでは地元の中小企業などを中心に求人を探すことができるため、地元に貢献したい、中小企業への転職を考えている人に向いていると言えます。
とくに人口減少が進んでいる地方自治体では「移住支援金」なども用意してUターン転職を歓迎する地域もあります。
参考:みやぎ移住ガイド
地元の友人・知人・親にお願いする
また、地方においては友人のツテやコネでの転職は珍しくありません。
待遇や就業についての交渉を自ら行わなければならないので大変な面もありますが、他の転職活動に比べて比較的スピーディーに話が進んでいく傾向にあります。
そのため、一度地元の知り合いに「Uターン転職を考えている」と相談してみるのも良いでしょう。
転職サイト・転職エージェントを利用
転職サイトやエージェントにおいては全国展開している情報になるため、大手企業の◯◯支社などの求人を見つけることも可能です。
また大手転職サイトが「Uターン転職希望者向け説明会」などを主催することがあります。そこで地元の求人情報を得たり、実際に企業の人事や責任者などと話をする機会を得ることもできるため、興味がある場合は積極的に参加しましょう。
求人数はやはり大手の方が多く保有している傾向にあります。
「リクナビNEXT」や「はたらいく」といった転職サイトでは「地域密着」を掲げており、地方の中小企業の求人に強みがあります。
是非、他のサービスと併用して効率よくUターンの転職活動を進めてください。
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Uターン転職が向いている人ってどんな人?
Uターン転職において、向いている人・不向きな人はいるのでしょうか?
メリットを魅力に感じる人というのはもちろんのこと、重要なのはこの4つのポイントといえます。
- キャリア上昇志向よりも「ワークライフバランス」重視な人
- コミュニケーションが好きで、地方特有の人間関係が苦にならない
- 都会の娯楽に興味がなく、生活の不便さを楽しむことができる
- 都心との気候の違いが苦にならない
Uターン転職において最大の魅力は都会では味わえないゆとりのある生活と通勤の苦痛からの解放
地方では都市部と違い得られる情報の内容やスピードに違いがあります。
常に「最先端の流行を追いたい」「仕事でキャリアアップしていくことがやりがい」のようなキャリア上昇志向の人は、のんびりとした地方の働き方に合わないことが考えられます。
もちろん地方でも最新技術を開発・企画していくような企業はあります。
それでも都市部と比べれば数も少なく、スピード感も変わってきます。
そのため、Uターン転職にはとにかく仕事が命という人よりも、自分の人生をより豊かにするために仕事以外の部分を充実させたいという考えの人が向いていると言えるでしょう。
地方へ移住する際に言われるのは地方特有の人間関係について
もちろん住んでいたことのある土地なので、一から人間関係を築くよりもハードルは低く思われますが、都市部よりも地元の人・ご近所の人に密接に関わっていく必要があります。
地方では人の入れ替わりも少ないためコミュニティの基盤が出来上がっていることがほとんどになり、迎え入れてもらうためのコミュニケーションを欠かすことはできません。
都市部とは違う人との距離感や地域独自のしきたりなど、柔軟に対応できるコミュニケーション能力が求められるのです。
Uターン転職においては何よりも生活面での変化が大きくなりやすいため、自分の趣味志向を改めて考えると良いかもしれません。
とくにショッピングや都会の娯楽が欠かせないという場合にはUターン転職は向かないことになります。
自然に囲まれた環境で楽しみを見出せたり、不便さそのものを楽しむことができるような人であれば、地方での生活をのびのびと楽しむことができます。
また都心との気候の違いが苦にならないということもポイントでしょう。
Uターン転職には地方暮らしならではのメリットがある
Uターン転職で得られるメリットとは何でしょうか。
首都圏での生活と地元での生活を比較して考えてみましょう。
Uターン転職後の生活には以下のようなメリットが挙げられます。
- 土地勘があり通勤が楽
- 都会よりも家賃などの生活費が抑えられる
- 自然が多くゆとりのある生活を送ることができる
- 子育てなど家族からの協力を得られやすい
- 地方自治体のUターン支援サポートを受けられる場合がある
- 地元に貢献する働き方を選ぶことができる
土地勘のある地元で通勤が楽
地元に転職することで家族や友人との距離が近くなることがポイントです。
両親が高齢な場合には一緒に暮らすことや近くに暮らすことで安心できますし、子育て世代にとっては両親の手助けを得られやすくなり、生活にゆとりが生まれることも考えられます。また自分が属していたコミュニティがあるため、生活パターンも想像しやすく、学生時代の友人がいる場合が多いため、他の地方転職パターンよりも早く地域に馴染むことができ、生活においての後悔が少ないのがUターン転職の特徴といえます。
首都圏では家賃を抑えるために会社から離れたベッドタウンなどに家を構える人が多いですが、それに比べると長い通勤時間や満員電車などの通勤時のストレスから解放されることになります。
都心部では通勤時間帯の満員電車が常識ですが、Uターン転職後は電車が超満員になることは少なく、会社の近くに住めるように住居を選んだとしても家賃が高額であることも少ないため通勤時間・ストレス共に楽になります。
また少々会社から離れた場所に住んだとしても、道路渋滞なども少ないため車や自転車での通勤ができ、会社に到着する前に肉体的・精神的に疲れてしまうような通勤手段をとる必要がなくなります。
家賃・生活コストが下がることも
家賃をはじめ地方では首都圏よりも物価が安いため、生活コストが削減でき、自然に囲まれたゆっくりとゆとりのある生活を楽しむことができるのもメリットの一つです。
自治体によっては引越し費用の負担や住居確保、子育て支援など、様々なサポートを用意し移住を推進している地域もあるため、自治体のサポートについて調べてみるのも良いでしょう。
仕事面においても最近では、都会以外でも仕事ができる環境が整い始めているため、IT企業などの一部業種においては地方に拠点を移す企業も増えてきています。
また田舎にある中小企業の中には高い技術力を誇る会社も少なくありませんので、地元にそのような企業がないか、探してみると良いかもしれません。
もしかすると最先端の仕事を都会での生活よりも豊かな環境でできることも考えられるため、Uターン転職を希望するのであれば、自治体のHPや周囲のコミュニティ、様々な企業の求人などもう一度確認し、気になる企業があれば積極的に問い合わせてみることをおすすめします。
Uターン転職は地方特有の人間関係に関するデメリットが
都会で満員電車に揺られ仕事ばかりの生活を続けていると、Uターン転職がとても魅力的なものに感じるかもしれません。
しかし、Uターン転職にもデメリットがあり、それを知らずに見切り発車してしまうと転職後に後悔することになりかねません。
とくにUターン転職の失敗はその後の人生に大きく影響することが考えられるため、冷静にUターン転職のデメリットも把握しておきましょう。
- そもそも求人数が少なく、年収が下がる傾向にある
- キャリアの評価基準が都心とは異なる
- ブラック企業に当たってしまう可能性がある
- コンビニや遊ぶ場所が少なく、生活に娯楽がない
- 自動車を所有するためのコストがかかる
- 地方のしきたりや近所・親戚づきあいが必要になる
Uターン転職では仕事探しが大変
Uターン転職で必ず問題になるのは「求人数の少なさ」です。
Uターンの転職活動が長期化しやすい理由の1つにはこの求人数の少なさがあります。
「首都圏一極集中」と問題視されているように、多くの企業は東京や大都市に集まっているのが現状です。
少しずつ地方に拠点を移している企業も増えつつありますが、その求人数・募集人数は都心の比べものにならないほど少なく、その分スキルも必要で、採用の競争率も高くなっています。
地方によっては求人情報が地場産業・工場労働・医療・介護関係の職種がほとんどの場合もあります。都会と同じように働きたくても仕事を選ぶこと自体が非常に難しくなることも頭に入れておきましょう。
古い体質のブラック企業が多い
またUターン転職ではブラック企業に当たる確率が高くなりやすいことも考えておきましょう。
地方の企業では人の出入りが頻繁ではないため、人材の新陳代謝が悪く古い体質が残っているような企業も多いのです。もちろん地方の中小企業にも優良企業は多数存在していますが、そのような企業は人が離れていかないため求人情報自体が出にくい傾向にもあります。
Uターンでの転職活動では交通費・宿泊費などすべて自費になるため、何度も企業に足を運ぶことをためらわれるかもしれませんが、ブラック企業かどうかを見極めるには実際に企業に足を運び、自分の目で見て雰囲気を感じることが大切です。時間やお金が勿体無いなどとは思わずに、希望の求人があれば積極的に企業に足を運びましょう。
前述したことからわかる通り、地方での転職はかなり厳しいものになります。地元だからなんとかなると先に生活拠点を移してしまうと必ず失敗してしまうでしょう。
地方での転職においては都会での転職よりも「まず仕事を見つける」ということが非常に大切になってきます。
仕事を決めずに戻ったら地元には応募できる求人がなかったということも考えられますので、必ず準備期間を長期的にもち、情報収集を忘れないようにしてください。
またUターン転職では年収が下がることも覚悟しておく必要があります。
関連記事 ブラック企業の特徴と見抜くに方法
自家用車を所有すためのコストや冷暖房代などが掛かることも
「生活コストが下がるから年収が下がっても問題ないはず」と軽く考えてしまうと転職後の生活で苦労することになるため気をつけましょう。
確かに、地方では家賃も物価も安くなるため全体的な生活コストが下がると思われがちですが、実は違う場合が多々あります。
まず、都会では公共交通機関が充実しているため、車などがなくても生活ができます。しかし地方では車がなければまず生活することができないため、車を維持するコストがかかります。
更に近くに大きなスーパーやコンビニなどがないことが多いため、最近では生活に必要な買い物をネットショッピングで済ませる人も増えてきていますが、ネットショッピングの利用では都心部の物価と変わらないことになるので注意しましょう。
地域によっては寒さが厳しい地域や暑さが厳しい地域など気候も様々なため、光熱費が都心に比べて大幅に高くなってしまうことも考えられます。
このように生活スタイルによって、必ずしも生活コストを削減できるとは言えないのです。そのため、生活スタイルや最低でも必要な年収の目安などをしっかりと計算して仕事を探す必要があるのです。
都心部と比べて娯楽が少ない
その他にも、当然ながら地方では都市部のような娯楽が少なくなります。娯楽が少なくなっても地元の生活に満足できるか、都会の利便性を捨てても地方での生活に本当の魅力を感じることができるのかを冷静に考えましょう。
とくに家族がいる上でのUターン転職では、家族の意見や理想の生活スタイル、価値観などを改めてすり合わせることが大切です。
知っている土地だからとつい安心しがちなUターン転職ですが、しばらく離れていれば状況やコミュニティは変化していきます。あとから後悔しないためにも情報収集と準備が何よりも大事です。
ここまでUターン転職のメリット・デメリットについて述べてきました。
それでも自分にとってUターン転職がメリットが勝り、自分の理想の人生を実現できると思えるのであれば転職活動を開始しましょう。
少しでも迷いがあれば「こんなはずじゃなかった」「都心に戻りたい」ということになりかねません。一度Uターン転職をして年収が下がってしまうと、例え都心へ戻ってきたとしても元に戻すことは大変になるため、将来のことを考えて慎重に行動することが大切です。
Uターン転職についてまとめ
ここまでUターン転職での仕事の探し方、メリット・デメリットまでご紹介してきました。
Uターン転職は家族との時間やゆとりのある生活を重視する人にとって、幸福度が高くなる働き方になるかもしれません。
しかし都市部から地元に生活拠点を移す必要があるため、働き方だけでなく生活そのものが大きく変化することを忘れてはいけません。
しっかりと事前調査をしないと仕事だけでなく生活そのものが立ちいかなくなることもあるからです。そのため行動に移す前にUターン転職のメリット・デメリットをしっかりと比べて、自分に向いているかどうか見極めることが大切です。
その上で、Uターン転職を決意したのなら、焦らずじっくりと転職活動を進めましょう。
求人数が少ないため、複数の方法を組み合わせて転職のタイミングを逃さないようにしましょう。
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