勤続年数とは?年数の数え方から有給・退職金控除・失業保険への影響について

勤続年数とは

勤続年数の正しい数え方を知っていますか。

勤続年数は正しく把握する必要があります。なぜなら、勤続年数によって退職金の計算、失業保険を支給する際にもらえる金額が変わってくるからです。

休職期間や育児休暇を取得した期間によっても、勤続年数が変わる可能性があります。

今回は、勤続年数の数え方から有給・退職金控除・失業保険への影響について詳しく説明していきます。

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転職コンサル山田
コンサル山田

「日刊お仕事マガジン」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に「日刊お仕事マガジン」を運営。
転職ノウハウだけではなくビジネス全般、キャリアアップ、独立起業、最新ビジネスニュースなどをお届け。

勤続年数について

勤続年数について

勤続年数とは、労働者が入社日から退社日まで継続して働いた年数のことです。

ここからは勤続年数の数え方について、平均勤続年数、在職年数との違いについて説明します。

勤続年数の数え方

勤続年数は、会社ごとに数えます。

1社目の会社に3年勤続して、1社目の会社で5年勤続した場合、合わせて勤続年数8年ということはできません。

勤続年数は端数を切り上げて計算します。

1年と1日勤続した場合、勤続年数は2年と数えます。1年未満で会社を辞めた場合、勤続年数は1年です。

4月1日入社の人が3月31日で退社した場合と、4月1日で退社した場合では退社日が1日しか変わらないのに勤続年数が1年違うことになります。

退社日が会社で設定されている場合は難しいですが、退社日を自分で選べる時は日付に注意して退社日を決めるようにしましょう。

平均継続年数

平均勤続年数とは、会社に勤めている社員全員の勤続年数の平均のことです。

就職や転職活動の際にチェックする人も多いですね。

厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」では、2020年の一般労働者の平均勤続年数は11.9年となっています。男性の平均勤続年数は13.4年、女性は9.3年です。

会社ごとの平均勤続年数は、有価証券報告書で確かめることができます。有価証券報告書を発行していない中小企業の場合は、説明会や面接で平均勤続年数を直接尋ねるという方法があります。

平均勤続年数は現在働いている社員の勤続年数なので、新入社員や若手社員が多い会社だと平均勤続年数は短くなります。また、新入社員が多く入社した時点で計算すると、会社の平均勤続年数は短くなります。

したがって平均勤続年数が短い会社だからといって、一概に離職率が高い会社ともいえません。

企業の職場環境を調べる時は、平均勤続年数以外にもさまざまな情報を調べる必要があります。

在職年数

在職年数とはその職務についていた年数のことです。

勤続年数は会社に勤めていた年数の事ですが在職年数は、その中でもその職務ごとに換算します。

職務とは、社員がそれぞれ取り組む任務や役目のことです。

在職年数と言うと社長として在職年数10年などと言うことが多いですが、必ずしも役職が必要なわけではありません。

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勤続年数と関係すること

勤続年数に関係すること

勤続年数の数え方が分かったら、勤続年数と関係することも知っておきましょう。

損をすることがないように、知っておきたい6つのことを紹介します。

年次有給休暇

年次有給休暇の付与日数は、勤続年数(継続勤務年数)によって異なります。

年次有給休暇の給付には雇い入れの日から6ヶ月継続勤務していること、かつ全労働日の8割以上を出勤していることが条件です。

業務上の怪我や病気で休んでいる期間、育児休暇、介護休暇など法律で定められた休暇中は出勤したものとしてみなします。

継続勤務年数による、正社員の年次有給の付与日数は下記の通りです。

継続勤務年数付与される年次有給休暇
6カ月 10日
1年6カ月11日
2年6カ月12日
3年6カ月14日
4年6カ月16日
5年6カ月18日
6年6カ月20日

年次有給休暇は、どんな業種、業態でも、正社員やパートタイム労働者の区別なく有給を与えなければいけないと労働基準法で定められています。

退職金の計算

退職金とは、従業員が退職するときに会社が支払うお金のことです。

退職金の支払いは必須ではないので、退職金制度がない会社もあります。

退職金は一般的に勤続年数が長いほど多く支払われます。勤続年数が短い場合は退職金を支給しないという会社もあるので注意が必要です。

退職金の計算方法は法律で定められていません。

勤続年数以外にも学歴、退職理由が自己都合退職か会社都合による退職かなどによって、支払われる退職金の金額が変わることがあります。会社が早期退職者を募る際に、退職金の金額を上乗せして支払うこともあります。

退職金控除

退職金制度は、主に3つの種類に分けられます。

  • 退職一時金制度
  • 企業年金制度
  • 退職金前払い制度

退職一時金制度とは、従業員が退職した時に一括で退職金を支払う制度のことです。

企業年金制度と退職金前払い制度は、どちらも退職金を分割してもらう制度です。

企業年金制度は退職金を企業年金として会社が月々支払います。

退職金前払い制度は、従業員が在職している期間に退職金を分割で支払います。毎月の給与やボーナスに退職金をプラスして支払う形が一般的です。

3つの退職金制度の中で、退職金控除が関係しているのは退職一時金です。

退職金には、所得税と住民税がかかります。その中でも退職金の所得税の計算に用いるのが退職金控除です。

退職金の控除額を勤続年数によって変わり、基本的に勤続年数が長ければ長いほど控除額は大きくなります。退職一時金制度で退職金を受け取ると、税負担額が軽減されるので税金の面で有利となるので覚えておきましょう。

勤続年数による控除額の計算方法を以下に記載します。

  • 勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
  • 勤続年数が20年以上の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

退職金の控除額は勤続年数が20年を超えるかどうかによって大きく変わります。勤続年数が20年前後で転職・退職を考えている人は必ず確認してください。

失業保険

失業保険とは、会社を退職した後にもらえる給付金のことです。

失業保険を受給するためには、離職前の2年の間に雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上必要となります。会社の倒産外会社都合の退職の場合は雇用保険の被保険者期間が6ヶ月必要です。

勤続年数を満たしていないと失業保険の給付を受けられないので注意しましょう。

また、失業保険の給付日数も勤続年数によって変わります。

自己都合退職の場合、10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日の所定給付日数となります。

失業保険の給付日数には注意点があります。失業保険は雇用保険被保険者だった期間で換算されるので、勤続していた会社がいつ雇用保険加入の手続きをしたかを確認する必要があります。

基本的には勤続年数と同じことが多いですが、アルバイトから正社員になった場合などは特に注意が必要です。

また、会社都合退職場合は、自己都合退職より失業保険の給付日数が長くなります。

休職期間

休職する場合も、勤続年数が関係することがあります。

休職とは、労働者の都合により業務の遂行が困難またはできない場合、労働契約を維持しながら長期的に会社を休むことです。

休職制度は法律で定められていません。会社の労働契約や就業規則によっては、一定期間勤続していないと休職制度が使えないことや、勤続年数によって休職できる期間が異なることがあります。

一般的には、勤続年数が1年未満の社員が取れる休職期間は半年と定められていることが多いです。

休職を検討している人は、会社から配布された書類に休職制度についての記載があるかを確認しておきましょう。ただし、労働災害など業務中に負った怪我や事故で会社を休む場合は、この限りではありません。

永年勤続表彰

永年勤続表彰とは、会社の福利厚生の1つです。長く勤める従業員に対して、会社が感謝や労いの気持ちを込めて表彰する制度のことです。

永年勤続表彰は法律で定められていないので、会社によってはないところもあります。永年勤続表彰を行うことによって、会社と従業員の信頼関係の構築や離職防止にもなるので、取り入れている会社が多くあります。

表彰される勤続年数は会社によって異なりますが、一般的には5年・10年・15年と5年で区切ることが多いです。

正社員のみを対象にしている場合、アルバイトやパートなど非正規社員にも表彰を行う場合などさまざまです。

永年勤続表彰の際、記念品を贈る会社もあります。記念品は特別休暇、表彰状、金一封などが一般的です。勤続年数が長くなるほど、特別休暇の日数や金額が増える傾向にあります。

転職の際

勤続年数が短いと、転職の際に不利になる場合があります。

前職で身に付けた知識やスキルが乏しいのではないか、またすぐに離職するのではないかと思われることがあるのです。

勤続年数が短い場合、離職した理由を面接で聞かれることが多いのでしっかりと対策しておきましょう。自分の言葉で説明できるようにして、今度は長く働きたいと言う意思をきちんと伝えることが重要です。

また、求人情報で特定の経験やスキルについて「実務経験3年以上」などと記載していることもあります。

勤続年数が短いが転職を検討しているという人は、複数の求人情報を確認してみましょう。

もう少し勤続すれば記載されている実務経験に到達する場合は、転職時期をずらすという方法もあります。

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休職期間は勤続年数に通算する?

休職期間は勤続年数に通算する?

ここからは、休職期間は勤続年数に通算するかどうかについて説明します。

勤続年数に通算する場合、会社の就業規則によって異なる場合の2パターンがあります。

また休職期間以外にも勤続年数に通算するか迷う項目があるので、そちらについても説明します。

通算する場合

休職期間の中で勤続年数に通算するのは、退職金控除と失業保険の2つです。それぞれについて詳しく解説します。

退職金控除

退職金控除は、退職金の所得税を計算する時に必要です。退職金控除を計算する際、休職期間があった場合は休職期間も勤続年数として通算します。

国税庁では、勤続年数の期間は退職の日まで引き続き勤務した期間と定められており、長期の欠勤や病気での休職期間も勤続年数に含まれるとされています。

ただし、休職期間の中でも他の支払者の下で勤務するために休職していた期間は、退職金控除の勤続年数には含まれません。

失業保険(雇用保険に加入していた場合)

失業保険を受給する条件は、自己都合退職の場合、離職の日までの2年間に雇用保険被保険者期間が通算12カ月以上あることです。会社都合退職の場合は離職の日までの1年間に雇用保険被保険者期間が6カ月以上あれば受給できます。

雇用保険の被保険者期間の算出は、休職している時も勤続年数としてカウントされます。失業保険も同様に、休職していても勤続年数に通算されます。

ちなみに病気が回復しないまま会社を退職した場合は注意が必要です。すぐに働けない、労働能力がないとみなされ、失業保険の給付金がもらえない場合があります。その場合、受給期間の延長手続きをして病気が回復してから失業保険を受給しましょう。

会社によって異なるもの(就業規則による)

ここからは、休職期間が勤続年数に通算されるかどうか、会社の就業規則によって異なるものについて説明します。

退職金の計算

退職金の控除額については休職期間が勤続年数に通算されますが、退職金そのものの計算方法は会社によって異なります。法律による定めはないので、会社の就業規則や退職金規定に記載があるか確認しましょう。

一般的には、休職の内容にかかわらず勤続年数に通算しないという会社が多いのが現状です。休職期間中も勤続年数に通算する、または休職の内容によるという会社もあります。

永年勤続表彰

永年勤続表彰の勤続年数に休職期間が含まれるかどうかは、法律では定められていません。

したがって、会社の就業規則を確認しましょう。

休職期間以外の期間も会社によって勤続年数のカウントが異なる

休職期間以外の期間も、会社によって勤続年数のカウントが異なります。ここでは、よく問題になる例を7つご紹介します。

定年退職後に再雇用した後の期間

定年退職後に再雇用した後は、年次有給休暇の継続取得が可能です。

年次有給休暇の付与条件は6カ月継続勤務していることとなり、定年退職から再雇用の場合は実質的に労働が継続しているとみなします。これは、退職手当規定に基づいて退職金を受給した場合も含みます。

しかし、年次有給休暇以外の勤続年数のカウントは、法律では定められていません。休職や永年勤続などについては会社の就業規則を確認しましょう。

正社員以外のパートタイマー等として勤務していた期間

正社員以外のパートタイマー等として勤務していた期間がある場合、正社員以外の勤務期間を勤続年数にカウントするかどうかは会社の判断次第です。

非正規雇用労働者の待遇を改善するためのガイドラインに、勤続年数に関する記載がないためです。

厚生労働省は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差を解消するために、同一労働同一賃金ガイドラインを定めました。

これは、同じ仕事内容や同じ貢献度の場合、正規雇用労働者と非正規雇用労働者に同じ待遇を求めるものです。基本給、各種手当、賞与、福利厚生などの項目が記されています。

同一労働同一賃金ガイドラインの中に、正社員以外の勤務形態期間を勤続年数に通算するという記載はありません。正社員以外のパートタイマー等として勤務していた期間がある場合は、会社の就業規則に記載があるか確認するか、人事総務に問い合わせましょう。

出向していた場合

出向とは、労働者が出向元と何らかの関係を持ちながら、出向先と新しい雇用契約を結ぶことです。

出向は在籍型出向と、移籍型出向の2種類に分けられます。在籍型出向は一般的な「出向」で出向元と雇用契約関係を維持したまま出向することです。移籍型出向は「転籍」と呼ばれ、出向元と雇用契約関係を解消して出向先と契約を結びます。

在籍型出向の場合は出向元と雇用契約を結んだままなので、勤続年数は継続されます。移籍型出向(転籍)は出向元と雇用契約を解消しているので、勤続年数がリセットされる場合もあります。会社によっては勤続年数を継続してカウントすることもあるので、出向前に必ず確認してください。

育児・介護休業

育児休業とは、原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者が取得できる休業のことです。1人の子につき1回、子が出生した日から1歳の誕生日の前日まで、労働者が申し出た期間を休業できます。

介護休業とは、要介護状態の対象家族を介護するための休業のことです。対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。

育児休業と介護休業については、育児介護休業法が定められています。育児・介護休業を取得したことで、労働者が不利益を被ることを防ぐためです。

厚生労働省が定めた指針の中に、勤続年数に関する記載はありません。したがって、育児・介護休暇期間を勤続年数に通算するかどうかは会社の判断に委ねられています。

育児・介護休業期間は勤続年数に通算されない可能性があります。しかし、その他の不利益事項については禁止されていることも多くあります。

育児・介護休業は元々育児や介護を理由に休業を申し出た労働者の解雇禁止だけが定められていました。しかし平成13年に育児介護休業法が改正され、解雇以外の不利益取り扱いも禁止となりました。

育児・介護休暇に関して厚生労働省が禁止している不利益取り扱いの内容は解雇、契約更新をしない雇い止め、降格、減給などがあります。育児・介護休業の取得が理由で会社から不利益を被っている場合は、各都道府県の労働局で相談を受け付けています。

産前産後休暇

産前産後休暇とは、出産前と出産後に働く女性が取得できる休暇のことです。

産前休業、産後休業については、労働基準法で下記のように定義されています。

産前休業は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合14週間前)から請求すれば取得できる仕組みです。

産後休業は、出産翌日から8週間は就業することができない仕組みです。ただし産後6週間が経過した後に本人が請求して、医師が認めた場合は就業できます。

産前産後休暇期間を勤続年数に通算するかは法律で定められていません。育児休暇の期間と、産前産後休暇は別物です。就業規則に育児休暇の項目がある場合も、産前産後休暇の扱いが同じとは限らないので注意しましょう。

試用期間

試用期間を勤続年数に通算するかどうかは、問題になりやすい項目です。

試用期間でも雇用関係が成立するので、基本的には勤続年数に加算されます。有給休暇の受給と雇用保険の加入には試用期間が含まれます。

雇用保険や社会保険(健康保険、厚生年金保険)は試用期間の間は加入しないという会社がありますが、それは法律違反となります。

しかし退職金の計算、試用期間をカウントするかは法律で定められていません。

試用期間中の使いをどうするかは会社独自で決められるので、就業規則を確認しましょう。

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まとめ:勤続年数について 

今回は、勤続年数の数え方から有給・退職金控除・失業保険への影響について説明しました。

勤続年数が1年違うだけで、有給の日数や退職金、失業保険の給付日数・受給額が異なります。

転職、退職を検討している人は、今回の記事を参考にして自分の勤続年数を数えて最適な時期を選んでください。

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この記事の監修者

「エーマッチ」編集長。
コンサル・マーケティング会社経営者で自らも7回もの転職経験者。
自らの転職経験を元に転職エージェントマッチングの「エーマッチ」を運営。転職エージェントの紹介だけでなく転職ノウハウ、キャリアアップ・独立起業などビジネス全般、最新ビジネスニュースなどをお届け。

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