即戦力とは?意味やアピール方法、即戦力の6つの要件を詳しく解説
中途採用の募集要件として多く見られる「即戦力」ですが、実際にはどのような人材を求めているのでしょうか。一口に即戦力と言っても、求められているスキルがわからないため、転職を躊躇してしまう方も多いと思います。
そこで、当記事では企業の求める即戦力の要件とともに、即戦力として採用されるポイントについて詳しく解説していきます。
即戦力として企業のニーズに応えたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
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転職市場の求める即戦力とは?
即戦力の意味や定義は管理職やポジションによって細かく異なりますが、大きく分けると以下のような人物像と言えるでしょう。
- すぐに仕事の結果を出せる
- 業務に対する経験やスキルがある
それぞれ詳しく解説していきましょう。
すぐに仕事の結果を出せる
新人研修や教育を行わずとも、仕事の結果を出せる人材は即戦力と言えます。実際に広辞苑にて「即戦力」と調べると、「準備の期間を経ず、すぐに戦えるだけの力があること。」と記載されています。
つまり即戦力とは、新人期間や特別な研修が無くとも、すぐに他の社員と同様に企業の期待に添えられる人材のことです。
業務に対する経験やスキルがある
すぐに仕事の結果を出せる人材は、業務に対する経験やスキルを有している必要があります。
実務経験はもちろんのこと、それぞれの分野で役立つ資格やスキルが必要です。
さらに業務のみではなく、適応力やコミュニケーションのスキルも重要な要素と言えます。問題解決能力や課題設定能力も即戦力として欠かせません。
企業が即戦力を求める理由
では何故企業は即戦力を求めるのでしょうか。理由は大きく分けて以下の2点です。
- 教育コストが低く済む
- 人手不足
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
教育コストが低く済む
1点目の理由は、教育コストの削減です。
産労総合研究所の2021年度(第45回)教育研修費用の実態調査によると、正社員一人あたりの教育研修費用は2万4,841円でした。
一人の正社員を教育するためには、時間や手間、そして教育担当の人材が必要です。
これらにかかるコストを削減できることから、企業は即戦力を優先して採用していると推測できるでしょう。
人手不足
昨今では少子高齢化が社会問題となっています。少子高齢化により若手の人材確保が難しく、多くの企業では慢性的な人手不足が深刻な問題です。
また人手不足には働き方の多様化も大きく影響しています。コロナ禍によるテレワークの普及により働き方の多様化はより加速しました。
これらの理由からもわかるように、人材確保が難しい時代なので、即戦力となる人材の需要は今後も高まるでしょう。
即戦力になるための6つの要件
続いて即戦力になるための6つの要件について解説していきます。実際に即戦力として転職するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 業務に関連する高度なスキルがある
- 業務に関連する資格を取得している
- ポータブルスキルが高い
- 自身の強みを理解している
- 仕事へのこだわりがある
- 対人スキルがある
要件だけではなく、要件の満たし方についても触れていくので、是非とも参考にしてください。
ポイント1.業務に関連する高度なスキルがある
1点目のポイントは業務に関連する高度なスキルがあることです。
即戦力となる人材の特徴として最もわかりやすいのが実務経験の有無です。
これまでの経験で得たスキルを生かすことができる人材は、企業からみて十分に即戦力な人材と言えます。同業種に転職する場合には、これまでの経験から培ったノウハウをアピールすると好印象が得られるでしょう。
ポイント2.業務に関連する資格を取得している
スキルや経験以外にも資格を有していることは即戦力の証明になります。面接の自己PRでは、これまでの仕事で得た実績や経験を誇張してしまう人は少なくありません。
このため、企業は経験や実績という曖昧なものよりも資格を重視するケースがあります。業務に活かせる資格がある場合には、積極的にアピールしていきましょう。
ポイント3.ポータブルスキルが高い
ポータブルスキルとは、その名の通り持ち運びができる能力のことです。業種や会社が変わっても通用する知識以外のスキルを指し、ポータブルスキルが身に付いている人材は即戦力と言えます。
一口にポータブルスキルといっても様々なスキルがあります。
具体的には円滑なコミュニケーション能力や、状況に応じて問題解決する力、課題を設定する能力などです。
ビジネスモデルや働き方の転換が激しい昨今では、多くの企業でポータブルスキルが重視されています。ポータブルスキルは社会経験が豊富でなくとも見つけやすいので、予め自身のスキルを理解しておきましょう。
ポイント4.自身の強みを理解している
自身のことを客観視し、本質的な強みを理解することも即戦力として重要です。行動力や熱意があるなどの抽象的な強みではなく、それらを自身はどう活かせるかまで分析できると良いでしょう。
どうしても強みがわからない場合には、第三者の意見を聞いたり短所を強みとして言い換えてみることが近道となります。
ポイント5.仕事へのこだわりがある
次にあげられるポイントは仕事へのこだわりです。企業が求める即戦力とは仕事にこだわりがある人材です。
スキルや経験のみではなく、こだわりがある人材は企業からすると常に第一線で活躍できると判断されます。
こだわりの強い人材は好奇心も旺盛であるため、周囲の刺激にもなり企業にとって良い相乗効果を生み出します。
こだわりは個性や人間性を判断する重要なポイントでもあるため、これまでの経験を織り込んだエピソードを用意しておきましょう。
ポイント6.対人スキルがある
即戦力として採用されるためにはスキルや経験のみではなくコミュニケーション能力も重要です。特に管理職のポストを希望する場合には、育成能力や管理能力も求められます。
もちろん、一般職の場合にも調和や柔軟性が必要です。
傾聴力があり、意見を汲み取る力も立派な対人スキルであるため、うまくアピールする必要があります。
企業に敬遠される間違った即戦力の特徴
ここまで即戦力になるための要件について解説していきました。即戦力となるためには、経験やスキルが必要です。
しかし、その一方で経験やスキルがあっても企業に敬遠されてしまう人材もいます。この項では、企業に敬遠される間違った即戦力の特徴を解説していきましょう。
特徴1.前職のやり方に固執している
間違った即戦力の特徴1点目は、前職のやり方に固執しているケースです。前職で多くの実績やキャリアがある人材であっても、転職先では新入社員です。
このため、環境に馴染み新しいやり方を受け入れる必要があるでしょう。しかし、前職のやり方や自身のこだわりを貫き通す即戦力は企業にとってマイナスです。
郷に入っては郷に従うということわざがある様に、どんなに経験があっても新入社員であることを忘れないようにしましょう。
特徴2.プライドが高い
次にあげられる特徴はプライドが高いことです。前職のやり方に固執しているのと通ずる点がありますが、今までの実績に誇りを持っている方はプライドが高くなりがちです。
プライドが高いことは決して悪くはありません。しかし、新しい環境で学んでいく謙虚な気持ちが大切です。
即戦力として採用される自己PRの書き方
それでは、実際に例文を交えて即戦力として採用される自己PRの書き方を見ていきます。即戦力として十分なスキルを持っていても、自己PRで上手くまとめられなければ企業に伝わりません。
端的に自己PRをするためには、以下の3点に注意しましょう。
- これまでの業務内容を端的に説明する
- 実績を数字でしっかりと記載する
- 入社後のビジョンを伝える
これらのポイントを踏まえて、営業職と事務職2つのパターンで例文を記載しましたので、ぜひ参考にしてください。
営業職の場合
私はルート営業をしており、◯年間で◯件を担当しておりました。新規顧客の開拓も積極的に行い、営業所で1番の成績を納めました。
これは、日々丁寧なヒアリングとシステムの活用を行なった結果だと自負しています。御社ではこの経験を活かし、更なる顧客獲得を行っていきたいと思っています。
事務職の場合
私は前職では◯年間事務をしていました。具体的な業務は業務フローの見直しで、私の功績により残業時間が大幅に削減できました。
また、私が作成したマニュアルにより発注業務の負担が◯%軽減されました。御社に採用された際にはこの経験を活かすだけではなく、更なる事務処理の改善化を行なっていきたいです。
即戦力として採用される書類選考・面接のポイント
企業は即戦力となる人材かどうかを書類選考と面接のみで判断しなくてはなりません。短い時間で即戦力と上手くアピールするために以下のポイントを押さえておきましょう。
- 求めるスキルや資格を取得しているか
- 企業が求める人材と自身がマッチしているか
- 合理性のある転職理由であるか
- 経験から得たスキルがあるか
それぞれ詳しく解説していきます。
求めるスキルや資格を取得しているか
1点目のポイントは求めるスキルや資格を取得していることです。どの分野でも資格取得者は即戦力として重宝されます。
このため、企業で活かせる資格は可能な限り保有しておきましょう。有資格者は学ぶ姿勢があるアピールにもなります。
昨今ではどの分野でも事務関連やIT関連の資格が重宝されるので、忘れずにアピールしましょう。
企業が求める人材と自身がマッチしているか
書類選考を通過するためには、企業が求める人物像と自身がマッチする必要があります。企業が求める人材は企業理念や社風から知ることができるので、あらかじめ確認しておきましょう。
実際に中途採用の場において「当社の企業理念やビジョンをどう感じるか」という質問はよくあります。目的は企業との相性や企業研究の有無を知るためです。
いくら優秀な人材でも相性が悪そうであれば採用を見送られる可能性もあります。このため、企業理念に共感するとともに、自身のスキルでどのように会社に貢献できるのか話の展開を考えておきましょう。
合理性のある転職理由であるか
転職理由は企業側から聞かれない限り話す必要はないとされています。しかし、転職理由の記載を求められた場合にはなるべく合理性がある理由を用意する必要があるでしょう。
なぜなら転職理由を聞く理由の多くは「すぐに辞めてしまうのではないか」という懸念があるからです。この質問に対して「激務だったから」「人間関係が悪かったから」と回答すれば、すぐに辞めてしまう可能性は払拭できないでしょう。
このため、転職理由は自身のキャリアプランに沿わない、もしくは夢の実現ができないなどの前向きな言い方に変える必要があります。同じ理由であっても言い方一つでポジティブな転職という印象を得られるでしょう。
経験から得たスキルがあるか
最後にあげられるポイントは経験から得たスキルがあることです。実務的なスキルももちろん必要ですが、周囲とのコミュニケーション能力や課題解決能力は経験からしか得られません。
自分で考えて行動し、突発的なトラブルへの対応力も企業は期待しています。面接ではこのような対人スキルや柔軟な対応ができるかについても見極めているので、説明力や表現力にも注意していきましょう。
即戦力をアピールできる資格
続いて即戦力をアピールできる資格について見ていきます。即戦力を資格でアピールしたい方は、以下のようなものがおすすめです。
- 希少性の高い資格
- 業務上必須な資格
それぞれ詳しく見ていきます。
希少性の高い資格
どの業界においても、希少性の高い資格を有している人材を即戦力とするケースがあります。代表的な例を挙げると、国家資格であるITパスポート試験や日商簿記検定、中小企業診断士や宅地建物取引士などがおすすめです。
また、業界にもよりますが民間資格であるTOIECやMOSも即戦力をアピールできる資格と言えます。
業務上必須な資格
業種によっては即戦力として活躍するために、業務上必須な資格を有している必要があります。
下記に業務上必須な資格の例をまとめたので参考にしてください。
業種 | 必須な資格例 |
---|---|
医療 | 薬剤師、看護師、放射線技師など |
建築 | 建築士、電気工事士など |
不動産 | 宅地建物取引士 |
保育 | 保育士 |
業種によって必ず資格が必要なケースもあるので、あらかじめ確認が必要です。
未経験でも即戦力をアピールする方法
ここまで即戦力の要件や必要な資格について解説していきました。高度なスキルや経験、実務に役立つ資格がある方は即戦力として十分にアピールできるでしょう。
しかし、中には未経験からでも即戦力としてアピールしたいと考えている方も多いと思います。未経験から即戦力をアピールする場合には、無理な背伸びをせずに以下のポイントを押さえましょう。
- 柔軟性をアピールする
- 学生時代に経験から得たことをアピールする
- ポータブルスキルをアピールする
それぞれ詳しく解説していきます。
柔軟性をアピールする
30代や40代の経験豊富な人材は優秀である反面、新しい環境に適応するまでに時間がかかる場合があります。しかし一方で20代の若手には柔軟性があります。
新たな仕事や人間関係への適応力も高いので、すぐに仕事に馴染めるでしょう。このように未経験でも柔軟性をうまくアピールできれば、十分に即戦力と言えます。
学生時代に経験から得たことをアピールする
未経験者の場合、社会で得た経験で自己PRをするのが中々難しいと思います。この場合には、学生時代に経験から得たことをアピールしても問題はありません。
部活の経験やアルバイト先の経験が企業の求める人材とマッチしているなら、どんどんアピールしていきましょう。
ポータブルスキルをアピールする
未経験であってもポータブルスキルをアピールすることは可能です。スキルや知識がなくとも、問題解決能力の高さやコミュニケーション能力の高さなどをしっかりとアピールしましょう。
思考力や人を巻き込む力があることをエピソードを交えながらアピールすると効果的です。
即戦力として期待されすぎた時の対処法
最後に即戦力として期待されすぎた時の対処法をご紹介して終わります。即戦力として採用されても、どこまで求められるのか不安に感じてしまう方は多いでしょう。
即戦力としての期待に不安を感じた場合には、以下の対処法を実践してください。
- コミュニケーションを大切にする
- わからないことは素直に聞く
それぞれ詳しく解説していきます。
コミュニケーションを大切にする
1点目の対処法は、コミュニケーションを大切にすることです。即戦力として入社したら、実績を出すよりも先に周囲に馴染みましょう。
転職前のやり方で結果を出すよりも、新しい職場のやり方を学び周囲とコミュニケーションを取ることが先決です。これまでの経験を活かせる改善は周囲と馴染んでからでも遅くはありません。
わからないことは素直に聞く
即戦力として採用されると、高すぎる目標や成果をすぐに求められることがあります。確かに即戦力として採用されたからには自分の頭でまず考えることも必要です。
しかし、業務プロセス上でわからないことは素直に聞く方が得策でしょう。この他にも、常に上司に報連相を行うこともおすすめです。
即戦力だからといって構えずに周囲に助けを求められる環境作りも大切です。
まとめ:即戦力について
当記事では即戦力について解説していきました。企業が求める即戦力とは、すぐに結果を出せるスキルや経験を有した人材です。
- 即戦力とはすぐに結果を残せる人材
- 人材不足や育成コストを抑えるため多くの企業が即戦力を求めている
- 即戦力となるためには「スキル」「資格」「ポータブルスキル」「自己分析」を高める
- 未経験からでも柔軟性や若さをアピールすることで即戦力となれる
昨今では人材不足や教育コストを抑えたいなどの理由から、多くの企業が即戦力を求めています。このニーズを逆手に取り、新たな環境に挑戦してみましょう。