引きこもりからの仕事探し・自分に合った仕事を選ぶポイントを解説
家から出られない、引きこもりの状態だけど社会に出て働きたいという悩みを抱えていませんか?
この記事では、引きこもりの人がどうやって仕事を探すのか、仕事を選ぶ時のポイントについて紹介していきます。
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
転職ノウハウだけではなくビジネス全般、キャリアアップ、独立起業、最新ビジネスニュースなどをお届け。
引きこもりの人が仕事に感じている不安について
現在引きこもりの状態にある人は、仕事についてどのような不安を抱えているのでしょうか?
代表的な不安を4つご紹介します。
自分にできる仕事はあるか?
引きこもりの状態から仕事を探す時に、まず感じる不安は「自分にできる仕事があるのか」ということです。
家族以外の人と話す機会が長期間なかったことから、コミュニケーション能力が低下していると自覚する人も多いです。
仕事に就く時に有利な資格を持っていないし、そもそも自分にできる仕事の求人なんてあるのだろうか、と悩んでしまいます。
採用してもらえるか?
仕事の求人があったとしても、はたして採用してもらえるのかという不安もあります。
自宅に引きこもっている期間は履歴書に書く際は空白になるので、会社側から断られるのではないかと考えてしまいます。
採用面接の際にうまく話せる自信がないことも、採用における不安要素の1つとなります。
きちんと仕事ができるか?
晴れて仕事に採用されて働き始めた後も、不安はなくなりません。自分はきちんと仕事ができるのか、自信が持てずにいます。今までに働いたことがない、または働いた経験が少ないので、仕事を覚えてうまく働けるイメージが持てません。家から外に出られるか、決められた時間通りに出勤できるかという不安も抱えています。
コミュニケーションが取れるのか?
会社の人とうまくコミュニケーションが取れるかどうかも、不安の種の1つです。
ゆっくり仕事を教えてもらえるのか、指導についていけるのかという仕事上の不安があります。
ほかにも休憩中にどう過ごせばいいのか、引きこもりだったことを周囲の人から馬鹿にされることが怖いといった悩みもあります。
引きこもりの人が仕事を選ぶ時の重要なポイント
ここからは、引きこもりの人が仕事を選ぶ時の重要なポイントについて紹介します。
今からお伝えする6つのポイントを軸にして仕事を選ぶと、引きこもりの人が抱えているさまざまな不安が減るので、ぜひ参考にしてください。
まずは週に2~3日だけ働ける仕事を選ぶ
仕事を始めるというと、正社員での採用や週5日勤務を思い浮かべる人も多いと思います。
しかし、最初は週2〜3日だけ働ける仕事を選ぶことをおすすめします。
いきなり毎日のように働くと大きなストレスがかかるからです。身体的・精神的なストレスが溜まると、職場で長期間働くことが難しくなります。
せっかく採用された会社を辞めて転々としてしまうと、次の転職活動でも不利になってしまうのです。
短期間で環境が変わると、本人も混乱してしまいますよね。まずは週2〜3日だけ働いて、徐々に会社や生活に慣れていきましょう。
仕事や人間関係がうまくいき、もう少し働けそうだなと思ったら出勤日数を増やしてもらうように相談することもできます。
在宅でできる仕事を選ぶ
在宅でできる仕事を選ぶのもおすすめです。家から出る必要がないので、仕事を始める時のハードルが下がります。
人と直接関わらなくていいので、ストレスを感じにくいのが特徴。
新型コロナウイルスが流行してから、在宅でできる仕事の幅は広がりました。在宅でできる職種や勤務形態などもさまざまです。
在宅ワークをする場合は1つの会社に所属するケースと、クラウドソーシングなどに登録して個人で仕事を受注するケースの2つに分けられます。
個人で仕事を始める場合は受注する案件を選べるので、自分に合ったペースで仕事ができます。
なるべく人と関わらない仕事を選ぶ
なるべく人と関わらない仕事を選ぶことも重要です。
人と話さずにできる仕事なんてあるのかと思われがちですが、黙々と働ける職場は案外多いものです。
人数が少ない職場や、日中は営業マンが外出するので事務所で1人になるという職場もあります。ライン作業を行う工場勤務も、人と関わることが少ない職場です。むしろ1人で集中して作業できる人の方が適しています。
就職支援サービスや就職エージェントなどのサポートを受ける際に「できるだけ人と関わらない仕事をしたい」と相談すると、希望に合った職場を紹介してもらえます。
未経験者を採用している会社を選ぶ
未経験者を採用している会社を選ぶと、採用される確率が高くなります。
会社側も知識や経験がない人をこれから育てたいと思っているので、入社した後にしっかりサポートしてくれる可能性も高いです。
社内や外部の研修制度を用意している会社もあります。実際に仕事に取り組む際も、先輩社員が教えてくれる体制を整えています。
未経験者可能の職場で働きたけど不安だという場合は、入社した後の流れを会社側に聞いてみるのもおすすめです。
就職支援サービスを利用する
就職活動を始める前に、国や民間の機関が運営している就職支援サービスを利用してみましょう。
電話などで予約すると、個別面談を行ってくれます。面談後は、相談者に合ったプランで就職を支援してくれるのがポイント。
就職支援サービスによっては、講習やビジネスマナー研修なども用意されています。会社で働く際に必要な知識を学べるほか、資格取得に向けて勉強する講座もあります。準備をしてから転職活動に臨めるので、採用率もアップします。
いきなり働くのは不安だという人にもおすすめです。
就職エージェントを利用する
就職活動を始める準備ができたら、就職エージェントを利用するのも重要です。
就職エージェントは、企業が運営している転職サポートサービスです。求職者は無料で利用できます。
就職エージェントと就職サイトの違いは、担当者がつくかどうかです。
就職エージェントを利用すると、専任のアドバイザーが相談に乗ってくれます。企業との間に立って相談にのってくれる心強い存在です。
求人情報を1人で探す必要がなくなるので、就職サイトより就職エージェントの方がおすすめです。
引きこもりにおすすめの仕事:在宅でできる仕事
引きこもりの人におすすめの仕事には特徴があります。
ここからは、在宅でできる仕事について代表的なものを4つ紹介します。
システムエンジニア、プログラマー
システムエンジニアやプログラマーと聞くと、専門知識が必要で難しそう、と思う人も多いでしょう。たしかに専門的な知識や技術は必要ですが、最近はプログラミングを家で学べる教材も多くなっています。
パソコンで作業するのが好きな人は、挑戦してみてはいかがですか?
近年、プログラミングの教育に力が入っていることから、子どもだけでなく大人用のプログラミング教室も増えています。
もし外に出られそうなら、家から通える範囲のプログラミング教室を探して、無料体験に参加するのもいいかもしれませんね。家族以外と関わるきっかけにもなります。
システムエンジニアやプログラマーは、在宅で派遣社員として働く方法もあるので、引きこもりの人が始めやすい職業だといえます。
Webライター
文章を書くのが好きな人に特におすすめなのは、Webライターです。
特別な資格が不要なので、気軽に始められるのもポイント。家電や節約、美容など自分の得意分野を選んで書けるのもWebライターのメリットの1つです。
Webライターとしての働き方は、クラウドソーシングに登録して個人で案件を受注するのが主な方法です。
メールやメッセージのみのやりとりなので、人と顔を合わせる機会がほとんどありません。
文章でのコミュニケーション力を少しずつ鍛える意味でも、Webライターはおすすめの在宅ワークといえるでしょう。
Webデザイナー
Webデザイナーは、企業や個人のサイトをデザイン・作成する仕事です。
システムエンジニアやプログラマーと同様に、家にいながら専門知識を勉強できます。
ハローワークの職業訓練などの講座でもWebデザイナーを目指せます。ハローワークの職業訓練は受講期間や授業の日程が決まっていて基本的に必ず出席しなければいけない制度です。
自分のペースで勉強したい場合は独学で学ぶか、オンラインスクールなどに入会して自宅で学ぶ方法がいいでしょう。
バナーやWebサイトの作り方を学んだら、自分のポートフォリオ(作品集)を作成しましょう。ポートフォリオを持って就職活動をすると、未経験でもWebデザイナーとして採用される可能性がアップします。
イラストレーター
イラストを描いて販売するイラストレーターも、在宅でできる仕事の1つです。
最近は副業で活動する人が増えているので、個人からの依頼も増えています。
「仕事で使用するプロフィール用の似顔絵を描いてほしい」「LINEなどのSNSツールで使うスタンプを作ってほしい」など、需要がある仕事です。趣味でイラストを描いている人はそのまま在宅ワークにできるので、受注してみてはいかがでしょうか。
ココナラなどのサイトにサンプル画像をアップして、依頼をもらってから描いて納品するスタイルが一般的。
SNSで自分のイラストを発信するのも、仕事につながる1歩です。
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引きこもりにおすすめの仕事:人と関わる機会が少ない仕事
引きこもりの人におすすめの仕事の中から、人と関わる機会が少ない仕事を主に5つ紹介します。
工場の作業員
工場の作業員はライン作業が多いので、人と関わることが少ない仕事です。
仕事中は話してはいけない職場も多いので、静かな環境で仕事ができます。勤務時間中は制服着用のほか、帽子やマスクを着用する職場も多いので人の顔を見ない、見られない状態で働くこともできます。
工場といっても、化学系・金属系・食品系など業種によって働く環境は異なります。
与えられる仕事もそれぞれ違うので、転職活動をする際は必ずチェックしておきましょう。重いものを運ぶ作業や、衛生管理が細かい会社もあるので、自分に合った環境を選択することが重要です。
清掃業
清掃業も人と関わる機会が比較的少ない仕事です。
働いている人の年齢の幅が広いことも特徴。朝や夜の2〜3時間など、短時間でも勤務可能な場合も多いです。
最初の頃、仕事を覚えるまでは先輩社員と一緒に仕事をすることになるので、まったく人と関わらないというわけではありません。
仕事を覚えてしまえば1人で黙々と働けるので、最初を乗り切ってしまえば大丈夫。
清掃業の中にはチームで仕事をする職場もあるので、個人で仕事ができる職場なのか確認しておく必要があります。
警備員
警備員も、人との関わりが少ない仕事の1つです。特に夜の見回りなどは、ほとんど人がいない場所で働くのでおすすめです。夜勤だと時給が高いこともメリット。
警備業界は人手不足になりがちなので、求人に応募する際の年齢制限があまりないことが特徴です。
警備員の仕事は、会社から指示された場所で受付・見回りなどを行うことです。集団で働く職種ではないので、コミュニケーション能力は得に必要なく、気楽に働けます。
仕事前の打ち合わせでは、短時間ですが職場の人と会話する機会があります。家族以外の人と少しずつ話す機会が持てるので、引きこもりからの最初の仕事にはうってつけともいえます。
配達員
配達員は採用率の高い仕事です。運送会社はどこも人手不足なので、自動車やバイクが運転できれば未経験者でも歓迎という職場が多いのです。
運転や、道を覚えるのが得意な方に特におすすめ。
荷物の受け渡しだけなので、人と関わる時間も少ないです。最近では宅配ボックスや玄関の前に「置き配」を依頼する人も多いので、今までよりさらに人と話さなくていい職業になりました。
配達した時に「ありがとう」と言われることもあるので、やりがいを感じられます。
コロナ禍で急速に増えたフードデリバリーの配達員になるという方法もあります。対応していない地域もあるので調べる必要がありますが、働く時間を自由に決められる、店やお客さんとの会話はほとんどなく仕事できるというメリットがあります。
介護職
介護職も採用率が高く、未経験者でも可能な仕事です。
もし興味があれば介護職への就職も検討してみるのはいかがですか。
高齢者福祉施設や障害者福祉施設で介護職員として働く際、介護職員初任者研修を受けておくといいでしょう。介護に関する基本的な知識・技術を身につけられます。介護施設に就職してから研修を受けることもできますが、就職前に学んでおくことをおすすめします。
なぜなら介護職が自分に合っているかを確かめられるからです。また、仕事と研修を両立させるのは大変だからです。
介護職はシフト制の勤務で夜勤があることや、重労働なところがデメリットとして挙げられます。しかしやりがいがあり、将来的にケアマネージャーなどのキャリアアップにつながるという大きなメリットもあります。
引きこもりの人が仕事を探す方法
引きこもりの人が仕事を探す際、どのような方法があるのでしょうか。
5つの方法と、それぞれで受けられるサポートについてまとめました。全て無料で利用できるので、気になったものがあればサポートを受けてみてください。
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)は国(厚生労働省)の機関です。
全国各地に設置されているので、家の近くで職業支援を受けられます。厚生労働省のサイトから最寄りのハローワークが検索できます。
ハローワークに行くと、まずは求職者として情報を登録します。その後、ハローワーク内にあるパソコンや、家のパソコン・スマホで求人情報を検索して気になる会社があれば応募する流れです。
国は現在、就職氷河期世代の再雇用に力を入れているので、当てはまる年代の人はハローワークに相談してみましょう。
資格取得のための講座や職業訓練などのサポートもありますが、決まった日時に休まず出席することが必要です。
就職のための基本的な講座や面談をじっくり受けたい場合は、下記で紹介する地域若者サポートステーションや就労移行支援事業所から始めるといいでしょう。
地域若者サポートステーション
地域若者サポートステーション(通称:サポステ)は厚生労働省委託の就業支援機関で、15〜49歳までの求職者が対象です。
初回は最寄りのサポステに予約して面談の日時を決めます。サポステによっては電話だけでなく、メールやLINEでも予約ができます。
相談してから約3ヶ月間で就職先が決定できるようにプログラムが組まれています。もちろん面談をした上で、相談者に合わせたペースでサポートしてくれます。就職後のサポートも行っているので安心ですね。
公式サイトに全国のサポステ一覧ページがあるので、最寄りのサポステを探せます。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、障害を持つ人が一般企業へ就職する際のサポートを行う機関です。地方自治体から指定を受けて就職支援サービスを提供する、通所型福祉サービスです。
身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病を持つ18〜65歳までの人が対象となります。
就職活動や将来への不安などについてスタッフと相談しながら、提携している事業者や企業に通います。就職する際に必要な知識・能力を養う場所です。
就労移行支援事業所は、職業紹介を行う場所ではありません。
したがって、就職活動をする際は、就労移行支援事業所がハローワークや障害者職業センターなどと連携してサポートをしてくれる仕組みです。
就職エージェント
就職エージェントは、企業が就職サポートを運営しています。専任のエージェントと求人の紹介や面接の練習などをサポートしてくれます。
就職エージェントを利用するメリットは担当者が変更可能なこと、人と話す練習ができることです。最初の担当者が合わない場合は変更してもらえますよ。最近はZOOMやSkypeでの面談も行っているので、人と話す練習になります。
自分では気づかなかった長所を発見してもらえたり、1人では見つけられないような求人を紹介してくれることもあります。
実際に転職活動を進める際、求職者と企業の間にエージェントが入る仕組みです。
勤務形態や働く上で不安に思っていることを、求職者の代わりに聞いてくれます。面談でうまく話せなかった場合でも、後からエージェントが企業に補足で薦めてくれるので安心です。
エージェントによっては転職活動を急かされることもあるので、自分のペースで活動したいことを担当に伝えて、転職活動を進めていきましょう。
派遣会社
派遣会社は、会社と労働者の間に入って研修・契約・相談などを行ってくれます。
勤務日数や時間を柔軟に選べるので、自分のペースで仕事を始められます。人と関わる機会が少ない仕事は、派遣会社にも多くあります。
派遣社員として働く場合、実際に働く企業ではなく派遣会社の人と面接を行います。いきなり会社を訪問して面接するわけではないので、あまり緊張せずに臨めるでしょう。面接後に派遣社員の登録を行い、勤務する会社が決まります。
派遣社員として働くと、同じ職場に3年以上勤務することはできません。
働き始めて、会社と労働者の相性がいい場合は正社員登用を目指せます。最終的には正社員として働きたい人も、まずは派遣社員からという働き方を視野に入れておくといいでしょう。
引きこもりからの仕事探しについて まとめ
今回は、引きこもりからの仕事探しと仕事を選ぶポイントについて説明しました。
仕事を始めて社会復帰したいと思う反面、さまざまな不安を抱えていると思います。
しかし、引きこもりの人に合った職業はたくさんあり、実際に少しずつ社会復帰した人もいます。
引きこもりの人が仕事を探す上で最も重要なことは、無理せず自分のペースで進めることです。
この記事で紹介したポイントや支援機関の情報を参考にして、1歩を踏み出してみてください。