中小企業診断士資格は独学で合格可能なのか勉強時間・勉強方法を解説
受験科目が多くて難易度が高い中小企業診断士の試験に独学で合格することは無理なのでしょうか?
独学で合格した人のブログもありますし、独学ならば合格までの費用が少なくて済むのでは…と期待したくなります。
この記事で伝えたいこと
- 中小企業診断士の試験に独学で合格は可能か?
- 中小企業診断士を独学で勉強するメリットとデメリット
- 中小企業診断士の試験に独学で合格を目指すのが向いている人
- 中小企業診断士の試験勉強を独学でするときに知っておきたい重要ポイント
中小企業診断士の試験に独学で臨もうかな?と考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
転職ノウハウだけではなくビジネス全般、キャリアアップ、独立起業、最新ビジネスニュースなどをお届け。
中小企業診断士の試験に独学で合格は可能か?
中小企業診断士の試験に合格するための勉強方法には
- 独学
- 通信講座
- 資格予備校
の3つがあります。
通信講座や資格予備校を利用すると、1~2年で合格することを目指したカリキュラムで勉強することができます。
でも、独学で中小企業診断士の試験に合格することは可能なのでしょうか?
勉強時間が多めにかかるかもしれないけれど独学でも合格の可能性アリ
中小企業診断士の試験に、市販されているテキスト、問題集、過去問集を使用して独学で合格を目指すことは可能です。
ただし、独学の場合
- わからないところは自分で解決する
- 勉強方法が間違っていても気がつきにくい
- 学習のスケジュール管理がゆるくなりがち
- 勉強のモチベーションを保つのが難しい
- 2次試験は模範解答が公表されないので独学しにくい
などというハンディがあるので、合格まで時間がかかるケースが多いです。
短期間で効率的に合格を目指すなら通信講座はオススメ
ひと昔前の通信講座は、テキストが送られてきて自分で勉強するスタイルでした。
でも、現在は通信講座というと動画で講義が配信されて勉強するタイプが大半を占めています。
講義動画は時間や場所に関係なく、スキマ時間でも視聴することができます。
なので、通信講座を利用すれば要領よく効率的に勉強することが可能です。
時間と予算の制約がない人は資格予備校で勉強でも良い
資格予備校では1~2年で中小企業診断士の2次試験まで合格できるようにカリキュラムを組んでいます。
なので、カリキュラムに従って真面目に勉強すれば合格に手が届く可能性大です。
ただし、授業料は1年間で数十万円かかります。
また、講義の時間割が決まっているので、予備校に通って講義を受ける時間の余裕がある人でないと選べない勉強方法でもあります。
時間と予算に制約がない人なら、資格予備校で勉強するのもオススメできます。
中小企業診断士を独学で勉強するメリット
中小企業診断士を独学で勉強すると以下3つのメリットがあります。
- 資格取得までにかかる費用を抑えることができる
- 自分に合う勉強法で学べる
- 勉強時間・場所ともにマイペースでOK
独学にしようかな?と考えている人は参考にしてください。
資格取得までにかかる費用を抑えることができる
独学の場合は、テキスト、問題集、過去問を買うだけでOKです。
なので、資格取得までにかかる費用を抑えることが可能です。
資格予備校の授業料は1年で数十万円かかるので、独学は低コストで合格を目指すことができます。
自分に合う勉強法で学べる
独学の場合は、自分に合う勉強法で学ぶことができます。
通信講座や資格予備校の講義で学ぶのは効率的な方法ですが、人によっては耳で聴くよりも、文字で読んだ方が理解しやすいということもあります。
高校受験や大学受験を通して「自分の勉強方法はコレ!」というものを既に持っている人も、独学のほうが効果が出やすいかも。
また、色々と試しながら自分に合う勉強方法を見つけることも可能です。
勉強時間・場所ともにマイペースでOK
独学の場合は、勉強時間も場所も自分のペースで選ぶことができます。
いつ、どれだけの長さ勉強するのか、どこで勉強するのか、全て自由に決めることができます。
仕事が忙しい時は短めに、長期休みが取れる時はガッツリと、など緩急つけてスケジュールを決めることも可能です。
勉強場所も、自宅、お気に入りのカフェ、図書館、通勤電車の中、昼休みに職場で、など全く自由です。
中小企業診断士を独学で勉強するデメリット
中小企業診断士を独学で勉強すると以下5つのデメリットもあります。
- 自分で効率的な勉強方法を見つけられない人もいる
- テキスト・問題集などを自分で見つけなければいけない
- わからないところは自分で解決しなければいけない
- 勉強のスケジュールを自分で管理しなければならない
- モチベーションを保つのが難しい人もいる
独学で大丈夫かな?と不安な人はここで紹介するデメリットを参考にしてください。
自分で効率的な勉強方法を見つけられない人もいる
独学の場合は自分で勉強方法を考えなければいけません。
中には、効率的な勉強方法を見つけることができずに、遠回りをしてしまう人もいます。
試行錯誤を繰り返しながら自分に合う勉強方法を見つけることができれば良いのですが、できなかった場合にはなかなか合格が手に届かないことも。
効率的に勉強できないと合格までに時間がかかり過ぎてしまい、途中で諦めてしまう人が出てくる可能性もあります。
テキスト・問題集などを自分で見つけなければいけない
通信講座や資格予備校ならば指定されたテキストと問題集があるのでそれを購入すればOKです。
独学の場合は、自分で数あるテキストや問題集の中から選ぶことになります。
特に、初めて中小企業診断士を受けるという人には、自分に合うテキストや問題集を選ぶことが難しく感じられることも。
最初にパラっと見た時は良いように思ったけど、実際使ってみたら使いにくい、わかりにくい、なんてこともあります。
自分に合うテキストや問題集を見つけるのは意外と難しい、と感じる人はいます。
わからないところは自分で解決しなければいけない
独学の場合、わからないところは基本的に自分で解決します。
自分で調べて、検索して、質問できる人を探して、とやっていると時間がどんどんと経ってしまいます。
初めて学ぶ科目の場合はもっと大変なことも。
わからないところが解決しないまま増えていくと、勉強を進めること自体が難しくなる可能性もあります。
勉強のスケジュールを自分で管理しなければならない
資格予備校や通信講座の場合は、1~2年で合格できるようにカリキュラムが組まれているので、それに従って勉強していけば問題ありません。
独学の場合は、勉強のスケジュールを自分で作って、自分で管理する必要があります。
X年後の合格に向けて、1次試験7科目と 2次試験4科目分の勉強スケジュールを作成して進捗管理するのは誰でも簡単にできることではありません。
モチベーションを保つのが難しい人もいる
資格予備校に通うと同じ資格を目指す仲間と共に勉強するので日々刺激を受けます。
講師からも直接励まされるので、モチベーションを保ちやすい環境で学ぶことができます。
また、通信講座は様々な学習サポートでモチベーションの維持ができるようにしてくれます。
独学の場合はそういうことが一切ないので、モチベーションを保つのが難しいと感じる人もいます。
中小企業診断士の試験に独学で合格を目指すのが向いている人
上で紹介したメリットとデメリットがある中小企業診断士の独学ですが、どのような人が向いているのでしょうか?
ここでは独学で中小企業診断士の合格を目指すのに向いている人の3タイプを紹介します。
なるべく合格までにかかる費用を抑えたい人
とにかく費用を抑えて中小企業診断士の資格を取得したい、という人には独学が向いています。
資格予備校に通うと授業料が1年間に数十万円かかります。
通信講座の中には低価格のコースもありますが、そういうコースでは不十分という場合にはもっと高額のコースを選ぶことになります。
独学ならば、テキスト、問題集を購入するだけで済むので一番コストがかからない方法と言えます。
すでに得意科目がある人
すでに得意科目がある人は独学でもそんなに時間をかけずに合格できる可能性があります。
- 大学時代に受験科目の一部を勉強した
- 仕事で受験科目関連の業務に携わっている
という人たちです。
得意科目を持っている人なら、それ以外の科目を勉強すれば良いので独学でも負担がそれほど大きくないはず。
あと、公認会計士や税理士などの資格保有者で1次試験の一部科目を免除してもらえる人も該当する可能性が。
科目免除で受験科目数が少なくなるので、普通、独学の負担は軽くなります。
マイペースで勉強するのが好きな人
世の中に効率的な勉強方法があるにも関わらず、それでもマイペースで勉強したい、という人は独学で中小企業診断士を目指すのに向いている可能性が高いです。
1年でも早く資格を手に入れることよりも、自分らしさを貫くことが大切ならば独学がオススメです。
また、資格予備校や通信講座の講義は多くの人に合うように作られていますが、誰にでも合っているとは限りません。
なので、「自分にぴったり合う独自の勉強方法」が既にわかっている、という人は独学で大丈夫のはずです。
中小企業診断士の試験勉強を独学でするときに知っておきたい重要ポイント
これまでに紹介した独学のメリットとデメリット、独学に向いている人を読んだうえで、「中小企業診断士を独学で目指す」と決心できましたか?
独学で資格取得を目指す人にぜひ知っていてほしいポイントがあります。
ここでは以下9つのポイントを紹介します。
60%の得点率で合格する勉強を心がける
中小企業診断士の1次試験も2次試験も合格基準は総得点の60%以上です。
つまり出題される問題の4割はできなくても大丈夫、ということです。
そもそもテキストの内容を100%頭に入れることは不可能です。
完璧を目指したりせず、要点を抑えて勉強することを心がけましょう。
試験科目を勉強する順番は資格予備校や通信講座のマネをしても良い
中小企業診断士は受験科目数が多いので、どの科目から勉強を始めたら良いのか悩む人は多いはず。
独学なので好きな順番で勉強しても勿論良いのですが、資格予備校や通信講座と同じ順番で勉強するのも手です。
実は、資格予備校も通信講座もほとんどが下記の順番で勉強するようになっています。
- 企業経営理論
- 財務・会計
- 運営管理
- 経済学・経済政策
- 経営情報システム
- 経営法務
- 中小企業経営・政策
順番のルールは
- 2次試験にも出題される企業経営理論、財務・会計、運営管理を先に
- 理解力が求められる経済学・経済政策を次に
- 暗記力で勝負の経営情報システム、経営法務、中小企業経営・政策は最後に
というものです。
この順番が一番効率的とされているので、マネしてみて損はないと言えます。
無理な学習スケジュールを立てない
合格を急いで無理なスケジュールを立てるのはやめましょう。
特に、働きながら資格取得を目指している人なら、急な残業や出張で勉強の予定が狂うことが想定できます。
仕事以外にも、自分や家族の病気、親族の不幸、など予期せぬ出来事が起こるかもしれません。
無効になってしまったスケジュールをまた立て直すのは簡単ではないはず。
「急がば回れ」の精神で、学習スケジュールは最初から余裕を持たせて作りましょう。
過去問の頻出問題を勉強する
勉強するときは、過去問の頻出範囲を重点的に勉強しましょう。
過去問を研究すると、毎年、または隔年で似たような問題が出ていたり、同じことについて毎年角度を変えて問題が作られていたりすることに気がつきます。
頻出問題や頻出範囲をクリアすれば、得点率60%は夢ではなくなる可能性大です。
もし、得意科目であれば、頻出問題以外のところで点を稼ぐのもアリです。
でも、得意科目でなければ兎に角60%得点することを目指しましょう。
過去問を解いてからテキストで勉強する
「テキストをきっちりと勉強してから過去問を解いて実力を確認」と考える人は少なくありません。
でも、試験に合格するための勉強は逆です。
過去問を解いてから、できないところをテキストで勉強してください。
ただし、正解率の低い問題ならばできなくても無視して大丈夫。
試験に合格するための極意は「正答率の高い問題には必ず正解すること」です。
正答率が低い問題は捨てても良い問題「捨て問」ですので、捨てましょう。
1次・2次試験の共通科目に力を入れる
1次・2次試験の共通科目である
- 企業経営理論
- 財務・会計
- 運営管理
の3科目に力を入れて勉強しましょう。
1次試験が終了してから2次試験の日まで約2ヶ月しかありません。
なので、1次・2次試験に共通する科目は早いうちから力を入れて勉強しておく必要があります。
特に、財務・会計では計算問題が出題されます。
中小企業診断士の2次試験の場合、模範解答が発表されません。
模範解答がわからないと対策しにくいのが難点です。
でも、計算問題ならば答えの正誤がはっきりするので対策しやすく得点源にすることができるので、力をつけておきましょう。
勉強したことを忘れるのは当たり前!復習を大切にする
問題解きっぱなし、テキスト読みっぱなしでは、誰でも勉強したことを忘れてしまいます。
復習を必ずしてください。
同じ問題を2回、3回と解く、テキストを2回、3回と読むことで脳の中に記憶として定着するからです。
東京大学の池谷祐二教授によると、人間の脳は勉強したことを忘れるようにできているそうです。
それが、一度勉強したことを、1ヶ月以内に2回、3回と復習することで脳が忘れないようになるとか。
3回も復習?と思うかもしれませんが、2回目、3回目と回を追うごとに所要時間は短くなるはずです。
復習しないで完全に忘れてしまって一からやり直すよりも、結果としては時間がかからない方法になります。
睡眠時間を削って勉強はNG
受験科目の数が多いからといって、睡眠時間を削ってまで勉強してはいけません。
人間は睡眠によって体だけでなく脳の疲労を取り除きます。
睡眠不足は集中力や記憶力を低下させるので、受験勉強中の睡眠不足はNGです。
また、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生によると、記憶をつかさどる脳の海馬は、その日入力された情報を睡眠中に整理して保存するそうです。
なので、暗記した後にすぐ眠ると、より記憶として定着しやすくなるそうです。
勉強したらよく眠ってその日覚えたことを脳に定着させて、翌日はまた高い集中力と記憶力をフル回転させて勉強する。
これが理想の受験勉強です。
参考 岡島 義の「眠りの森」探検(その1)『睡眠不足で経済損失15兆円 寝ずに頑張るは時代遅れ』日経電子版 2021年4月
参考 日経WOMAN『脳のパフォーマンス最大に 脳医学者お薦めの勉強法』2018年12月
独学が無理と思ったら受講料安めの通信講座も選択肢としてある
「独学では無理」と思ったら、受講料安めの通信講座を利用するのもアリです。
実は、中小企業診断士は受験科目が多いので、テキスト、問題集、過去問を全部揃えるだけでも数万円かかってしまいます。
1年で合格できなければ、新しいテキストや問題集を買い直すこともあります。
通信講座によって受講料に幅がありますが、中には、テキスト、問題集、過去問の代金と変わらない受講料のコースもあります。
もし、コストを抑えることだけが独学を選んだ理由なら、コスト的にそんなに変わらない通信講座のコースもあるので、検討してみることをオススメします。
中小企業診断士で合格できる まとめ
中小企業診断士の試験に独学で合格するのは不可能ではありません。
ただし、長期戦になることは覚悟しておいたほうが良いです。
独学にはメリット・デメリットの両方があり、向いている人もいます。
この記事で紹介した重要ポイントを参考にすれば、独学でも中小企業診断士の資格に手が届く可能性はあります。
でも、無理だと思ったら、コスト的には同じくらいの受講料で利用できる通信講座のコースもあります。
独学を選ぶのはコスト面の問題なのか、マイペースで勉強したいだけなのか、今一度検討して勉強方法の選択肢を広げてみるのもアリです。
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