「イニシアチブ」の正しい使い方は?シーンごとの意味の違い・必要性を解説
「イニシアチブ」という言葉がビジネスで使われるとき、主に「主導権」という意味を持ちます。
しかしビジネス・政治・スポーツなど使われるシーンにより意味が微妙に異なるため、各シーンでの正しい使い方を知っておく必要があります。
例文や類義語を見ながら、「イニシアチブ」の正しい使い方を身につけましょう。
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
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「イニシアチブ」のシーンごとの意味
イニシアチブの語源は英語の「initiative」です。
「率先」「開始」「進取の気性」「率先」「先導」「主導権」などの意味を持ちます。
英語では多様な意味があるのに対し、日本語で「イニシアチブ」が使われる時は主に「主導権」を指すことが多いという特徴があります。
「イニシアチブ」の基本的な意味
「イニシアチブ」を会話で使用するとき、基本的な「主導権」という意味以外には「率先する」「構想・戦略」といった意味もあります。
シーン別に意味を確認してみましょう。
ビジネスシーンでの「イニシアチブ」の意味
ビジネスシーンで「イニシアチブ」が使われるときは、「主導権」や有利な立場を示します。
- 会議では、イニシアチブをとれるかが勝敗を分ける
- イニシアチブをとり、価格交渉を有利に進めることができた
- 飲食業界ではA社がイニシアチブを握っている
といったように使われます。
また「主導権」とは少しニュアンスが異なる「率先」「先導」「自発力」という意味で使われることもあります。
- 今回のプロジェクトはマーケティング課がイニシアチブを取っています
- あの新人にはイニシアチブが足りない
といったように使われます。
「戦略的イニシアチブ」の意味
近年、ビジネスにて「戦略的イニシアチブ」という言葉をよく耳にするようになりました。
「戦略的イニシアチブ」は、企業経営において「戦略・構想・計画」といった意味で使われます。
「〇年後構想」「経営戦略」など、企業の長期的な経営戦略構想を指し、社内・社外に発表するものです。
戦略的イニシアチブは経営方針や人事など社内の様々な組織に関わるため、企業経営に不可欠とされています。
政治の場における「イニシアチブ」の意味
政治で「イニシアチブ」が使われるときは、「構想、行動計画」や「国民発案」といった意味で使われます。
- 鳩山イニシアティブ
- アジア債券市場育成イニシアティブ
のように、「発案者の名前や計画の目的+イニシアティブ」という使い方が一般的です。
・また、2018年に東京で発足した「気候変動イニシアチブ」のように、同じ目的に取り組む団体間のネットワークの名称として使われることもあります。
また、直接民主主義の形態として「発案(イニシアチブ)」というものもあります。
有権者が国や地方自治体に議案を提出できる制度のことで、「国民発案」や「住民発案」という使い方をします。
国民発案(initiative)
国家意思の形成について、その発案権を国民の側にも認めるものである。
一定数以上の有権者により発案され、それが直ちに国民投票に付されるも
のと、議会の審議に付されるものとに大別される。
我が国では、憲法上、国民発案に関する規定は存在せず、地方自治法に
条例の制定について、また、市町村合併特例法に合併協議会の設置につい
て、いずれも発案後に議会に付されるものとしての直接請求制度が設けら
れている。
(引用: 衆憲資第59号 「国民投票制度」に関する基礎的資料 衆議院憲法調査会事務局
スポーツ界での「イニシアチブ」の意味
スポーツ界でのイニシアチブは主に「有利・不利」を表すために使われます。
- 日本チームがイニシアチブをとってゲームが進んでいる
- 開始早々イニシアチブをとられてしまった
といったように、どちらのチームが有利にゲームを進めているかを解説する際に多用されます。
「イニシアチブ」と「リーダーシップ」の違い
「イニシアチブ」と「リーダーシップ」は類義語ですが、実は使用法が異なる言葉です。
2つの言葉の正しい意味と例を見てみましょう。
「イニシアチブ」の例
「イニシアチブ」は「主導権」や「率先」を意味します。
会議やチームを導く役割や、率先して発言・行動をすることを指します。
会議や商談で積極的に発言する場合は「イニシアチブを取る」と言いますが、「リーダーシップを取る」とは言いません。
「リーダーシップ」の例
対して「リーダーシップ」は、「統率力」「指導者としての能力」を指す言葉です。
チームの士気を高めたり、改善的を指摘したり、といったリーダーとしての役割を担うことを指します。
社内でチームリーダーがチームを上手くまとめている場合は「上手にリーダーシップを取っている」と言いますが、「イニシアチブを取っている」とは言わないでしょう。
「イニシアチブ」は「取る」?「握る」?正しい使い方と例文
「イニシアチブ」は使いやすい言葉ですが、「取る」「握る」「発揮する」など様々な言い方があるため、使い方に迷うかもしれません。
例文を見ながら、シーンごとの正しい使い方を覚えましょう。
「イニシアチブ」の例文
イニシアチブを「取る」という場合、率先することを指します。
- 交渉でイニシアチブを取る
- 新企画は私がイニシアチブを取って進めるつもりだ
イニシアチブを「握る」と言う場合、主導権を握っていることを指します。
- A社がイニシアチブを握っており、他社の追随を許さない状況だ
- 我が社がイニシアチブを握るためには、画期的なアイデアが必要だ
イニシアチブを「発揮する」と言う場合、「進取の気性を発揮する」といった意味で使われます。
- A君がイニシアチブを発揮したことで、交渉は我が社に有利に進んだ
- イニシアチブを発揮することは出世に欠かせない
各シーンで間違わずに「イニシアチブ」を使うことで、一人前のビジネスマンとして見てもらえるでしょう。
「イニシアチブ」を使うときの注意点
「イニシアチブ」と「イニシアティブ」は同じ言葉です。
使用する際には、「リーダーシップ」との混同や、「取る」「握る」などを正しく使い分けましょう。
主に話し言葉で使われる言葉のため、メール等で使用する際には失礼のないように使い方に注意しましょう。
「イニシアチブ」を言い換えるなら「主導権」
メールなどのビジネス文章で「イニシアチブ」を使う場合には、日本語の「主導権」に言い換えた方が妥当かもしれません。
言い換えた場合の例文も見てみましょう。
「主導権」を使った例文
- 飲食業界ではA社が主導権を握っている
- 今回のプロジェクトはマーケティング課が主導権を取っています
「イニシアチブ」は英文で使ってもOK?
「イニシアチブ」の語源は英語「initiative」のため、英文で使っても問題はありません。
しかし日本語では主に「主導権」という意味で使われるのに対し、英語の「initiative」には多様な意味があるため、注意が必要です。
「彼がイニシアティブをとって計画を進めた」という文を英語で言う場合には、
「He took the initiative, and we went ahead with the plan.」となります。
ビジネスで「イニシアチブ」を発揮するメリット・デメリット
「イニシアチブ」はビジネスにおいて重要であるとはいえ、多用すればいいというものではありません。
イニシアチブを発揮してビジネスのチャンスを捉える場合と、敵を作ってしまう場合との差を見てみましょう。
「イニシアチブ」を発揮するメリット
イニシアチブを発揮すると、会議や交渉を自分のペースで進めることができます。
また向上心がある人と判断され、上司や同僚から信頼されて出世の道が開けることもあるでしょう。
イニシアチブを発揮しない人は「発言しない人」「やる気がない」と見られてしまい、ビジネスチャンスを逃す傾向にあります。
「イニシアチブ」を発揮するデメリット
率先して発言・行動することにはポジティブな効果がありますが、度が過ぎると反感を買う恐れもあります。
発言するときには、
- 自分の意見に固執しない
- 相手を否定するような伝え方はしない
- 他の人の主張にも耳を傾ける
- 論理的であり、現実的な結論を伝える
といった点を注意しましょう。
上記の注意点を守ることで、イニシアチブを示しながらも他者からの高評価を得ることができます。
イニシアチブについて まとめ
「イニシアチブ」は主に「主導権」を指す言葉です。
ビジネスでは率先すること・有利な立場などを指します。
政治の分野では構想・国民発案などを指し、スポーツ界では有利であることを意味します。
「戦略的イニシアチブ」は企業の長期的戦略を表します。
「イニシアチブ」を使う際には、「取る」「発揮する」などの使い方を間違えないように注意する必要があります。
またビジネスにおいてイニシアチブは不可欠ですが、度を超すと相手の気分を害してしまうので気をつけましょう。
「イニシアチブ」という言葉の使い方、正しい発揮の仕方を理解し、一歩上のビジネスマンを目指しましょう。
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