行政書士の資格について難易度・合格率・勉強時間・通信講座・仕事内容・年収まで完全解説

行政書士について

行政書士は法律系国家資格で試験合格率は11%前後と合格率を見ると比較的難しく感じる資格です。しかし他の法律系国家資格と比較すると働きながらでも資格が取得しやすいというメリットがあり、未経験でも独立開業することができます。

本記事では行政書士の仕事内容や年収、難易度や試験に関する情報を一挙にご紹介します。

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コンサル山田

「日刊お仕事マガジン」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に「日刊お仕事マガジン」を運営。
転職ノウハウだけではなくビジネス全般、キャリアアップ、独立起業、最新ビジネスニュースなどをお届け。

行政書士とは?

行政書士とは冒頭でも紹介した通り数ある法律系国家資格の中の一つで、簡単に説明すると「行政に提出する書類や法的な相談まで対応する皆さんのサポート窓口」です。

「行政に書類を提出しなければならないのだが、この書類だけで良いのか」と悩んだ時や「契約書や遺産分割協議書でトラブルが起きた」等、多岐に渡る「困った」を解決してくれる職種とも言えます。

行政書士の仕事内容

行政書士の仕事内容を大きく分けると以下4つです。

官公署に提出する書類の作成やその代理、相談業務

1つ目の仕事内容は、官公署に提出する書類を作成したり、「提出する場所が遠くて行けない」という方の代理として書類を提出したりするという仕事内容になります。

他にも「この書類はどこに提出するのが良いのか」「ここはどんな風に記入すれば良いのか」等のお悩み相談に対しても相談窓口として対応しているのです。

権利義務に関する書類の作成やその代理、相談業務

2つ目の仕事内容は1つ目と同様に権利義務「遺残分割書」「各種契約書」「念書」「示談書」等の幅広い書類の作成や代理、書類に関する相談を請け負う仕事内容になります。

どのような書類に関しても知識がない素人が安易に署名したり、話し合いをしたりして大きなトラブルに発展することもあるため、そんな時に行政書士が活躍するのです。

事実証明に関する書類の作成やその代理、相談業務

3つ目の仕事内容は社会交渉を有する書類のことで、例えば土地購入の手続きとして「実地調査」「各種図面作成」等の手続きや「会計帳簿」「賃貸対照表」等の作成・代理も行政書士の行う仕事内容になります。

会計帳簿等の作成や代理を行政書士が行うことで、記帳者と申告者は別になるため公平・校正が保たれるというメリットがあるのです。

その他特定業務

4つ目の仕事内容は「出入国管理及び難民認定法等の申請書や資料を提示したり、許認可等に関する審査請求、再調査の請求等も行政書士の仕事内容です。

上の仕事内容は行政書士でも「日本行政書士会連合会会則に定める研修を受けたもの」だけが関わることができます。

行政書士には上のランク「特定行政書士」と呼ばれる資格もある

上の行政書士の仕事内容4つ目で紹介した「日本行政書士会連合会会則に定める研修を受けたもの」が特定行政書士と呼ばれる資格です。

この特定行政書士は特定の研修を受けることで、通常の行政書士ではできない行政不服申し立てに係る手続きの代理を行うことができます。

これにより行政書士の対応できる範囲を広げることができるものだとして現在注目を浴びているのです。

名前が似ている「司法書士」との違いって何?

行政書士に似ている資格と言われる司法書士とは提出先での業務分野が分かれており、許認可申請や権利義務・事実関係証明書の作成は「行政書士」、登記関係書類の作成は「司法書士」の分野です。

その他にも、試験難易度にも違いがあり、司法書士の試験難易度は非常に高く、令和3年度司法書士試験での合格率は5.14%と行政書士よりもはるかに合格率が低くなっています。

また難易度には違いがあるものの、行政書士と司法書士、どちらも受験資格に制限がないため、資格が取得したい!と思えば誰でも受験することができるのです。

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行政書士の年収は?

次は「行政書士に興味はあるけれど年収ってどうなの?」とお考えの方に向けて行政書士の年収についてご紹介します。

おおよそ300万円~1,000万円以上

行政書士の年収は厚生労働省や行政書士連合等が統計を取ったデータがないため、はっきりとした年収基準があるわけではありません。

しかし、求人広告や行政書士連合会のアンケート結果から統計を取ってみるとおおよそ300万円~1,000万円程度が行政書士の年収だと考えられるでしょう。

実際の年収は独立、会社員など行政書士としての働き方で異なる

また年収については独立開業をしているか、会社員として企業で働く場合では差があります。

例えば企業型として働く場合、いろいろと引かれるものもあってそこまで高収入を得られるとは言えないでしょう。しかしある程度キャリアを積み、集客をしつつ独立開業をした場合は請け負う案件や件数によって、年収600万円~1,000万円以上をキープしている行政書士もいます。

その他にも行政書士向けコンサルタントやセミナーを行って集客や収入を増やしている方もいますし、行政書士は資格を取ったからと言って稼げるというわけではない点も理解しておきましょう。

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行政書士の難易度は?

次は行政書士の難易度を「受験資格」「試験」「資格取得後」の3つに分けてご紹介しますので、今、行政書士資格を取得しようか迷っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。

受験資格

先ほど、行政書士と司法書士の違いについてご説明した際にもお話ししましたが、行政書士は受験資格に制限がありません。

そのため、何歳でも試験を受けて行政書士になることができるため、何か資格を取得したいけれど受験資格が気になるという方におすすめの資格です。

令和3年度の行政書士試験では14歳と84歳の男性が行政書士試験に合格しています。行政書士として働く方々は高齢が多く、新たな風として若い世代がドンドン資格を取得することにより行政書士界も活性化することでしょう。

試験

次は試験の概要から行政書士の難易度を見ていきます。

試験名行政書士試験
受験資格なし
試験内容
  • 行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46問)
    ・憲法・行政法(行政法の一般的な法理論・行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法・国家賠償法及び自治法が中心)
    ・民法・商法及び基礎法学からそれぞれ出題。法令は試験実施日に属する年度の4月1日現在施行されている法令
  • 行政書士の業務に関する一般知識等(出題数14問)
    ・政治・経済・社会・情報通信・個人情報保護・文章理解
合格率(過去5年)
  • 11.18%(令和3年度)
  • 10.72%(令和2年度)
  • 11.48%(令和元年度)
  • 12.70%(平成30年度)
  • 15.72%(平成29年度)
  • 9.95%(平成28年度)
合格判定基準
  •  行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者
  • 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上である者
  • 試験全体の得点が、180点以上である者

上の3つをクリアすることで合格

過去5年間の合格率を見ると平成28年度以降は10%以上となっており、同じく国家資格のキャリアコンサルタントが約60%以上の合格率であることを踏まえれば難関資格であることがわかります。

しかし、行政書士試験の平均受験数は約2回で、満点を取らなくても上記の合格判定基準をクリアできればOKです。

そのため勉強のコツとポイントさえ掴めれば合格できると言われています。

資格取得後

行政書士試験に合格した後は行政書士会連合会に登録し、晴れて行政書士として仕事をすることができますが、登録料や入会量・月会費を継続的支払い必要があります。

以下に行政書士試験合格後、登録手数料や入会金、月会費等をまとめた表をご紹介します。

東京行政書士会連合会参照費用
行政書士登録料25,000円
入会金200,000円
登録免許税(収入印紙)30,000円
行政書士会連合会月会費 (3カ月分前払い)18,000円
政治連盟会月会費 (3カ月分前払い)(任意)3,000円
バッジ代(メッキ製の場合)3,000円~
職印5,000円~
合計金額284,000円

こちらは東京行政書士会連合会を参照しているため、ご自身がお住まいの地域にある行政書士会連合会とは費用に差があるかもしれませんのでご注意ください。

全体的に見てしっかりと勉強すれば合格できる

ここまで行政書士の「受験資格」「試験内容」「資格取得後」をご覧になっていただきましたが、全体的に見て資格取得後に必要な約30万円がネックではありますが、資格取得に関してはそこまで難易度が高いとは考えられず、しっかりと勉強すれば行政書士試験合格も難しくはないと言えます。

この行政書士への登録ですが、行政書士だと名乗って仕事をしない限り強制ではありません。しかし、行政書士会連合会に入会すれば定期的な会報で情報を得たり、人脈を広げることができるというメリットがあります。

注意点として自身を行政書士だと名乗って仕事をすることは禁じられており、行政事務所として独立開業をして働きたい場合は必ず登録してくださいね。

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行政書士に合格するために必要な勉強時間は?

次は「行政書士試験に合格したい」「どの位勉強時間が必要なのかな」と気になっている方に向けて行政書士試験の合格に必要な勉強時間をご紹介します。

600~1,000時間以上が目安と言われている

行政書士試験に合格する為に必要な勉強時間は600~1,000時間と言われています。

難関と呼ばれる資格の中で見れば合格率が11%前後の行政書士は合格しやすいとは言えど、やはり社会人に人気の資格から比べれば難しい行政書士は600時間を300日として計算すると1日約2時間必要です。

通信講座等を利用して最短600時間と考えられている

上で行政書士試験に合格するために必要な時間は600~1,000時間とご紹介しましたが、最短600時間は「通信講座等を利用して」の時間となります。

そのため、独学で勉強をする場合はそれ以上時間がかかる可能性もあるでしょう。

法律初学者の場合は800~1,000時間と考えられている

通信講座等を利用して600時間でも、法律に関する知識がまったくない初学者の場合は平均800~1.000時間は必要とされています。

法律は奥深く、独学で勉強しようと思ってもちょっとした問題や単語でつまずいてしまい、結果的に勉強時間が長くかかってしまうのです。

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行政書士の試験は独学でも受かる?独学で合格するためのポイントは?

次は行政書士の試験勉強を独学で行う場合、試験に合格することはできるのか…そして独学で勉強して合格するためにはどのようなポイントを意識すれば良いのかをご紹介します。

勉強のコツさえ掴めば独学でも受かる確率は高い

予備校や通信講座は費用がかかるということもあり、なかなか手が出せずに「独学でやってみようかな」とお考えの方もいるかもしれません。

結論から言えば独学でも勉強のコツさえ掴めば受かることはできるでしょう。しかし合格率を見るとわかるように行政書士は簡単な勉強で受かる資格とは言えず、コツを掴めなければどんなに勉強しても合格への道は遠い…となってしまう可能性もあります。

行政と民法を重点的に勉強する

独学で行政書士試験の勉強をする場合は、まず行政と民法を重点的に勉強することをおすすめします。

行政書士試験では「法律に関する理解度」がとても大切です。プラス、試験の配点で特に大きいのが行政と民法となるため、勉強を始める際は「まず行政と民法」を意識しましょう。

スキマ時間を利用して効率よく学習を進める

次に最短でも600時間の勉強が必要な行政書士試験は、どれだけスキマ時間を有効に使って学習を進められるかが鍵です。

そのため、通勤中や仕事の休憩中等、少しでもスキマ時間ができたら復習や予習を繰り返して学習を効率よく進めていきましょう。

記述式対策はとにかく問題を解きまくる

行政書士試験の法令等科目から出題される記述式は問題文を理解する力はもちろん、条文をどれだけ正確に理解しているかが問われます。

そのため、過去問を中心に解きまくることで、法律の内容を深く理解することができるためおすすめです。ポイントは同じ問題を完全に理解できるレベルまで何度も解くことです。

復習を大切にする

行政書士試験は、知識がある方でも学習内容をすべて記憶することは難しいため、何度でも復習を重ねて頭に学習を定着させましょう。

上で説明したように「同じ問題を完全に理解できる」ということを意識することが大切です。

テキストは最新のものを使用

独学をする上で、できるだけ費用を抑えたいという思いから本屋さんやネットで安く購入出来るテキストを使用して学習を進めようと考えている方もいるでしょう。

しかし、行政書士試験に合格するためには「最新のテキスト」を使用することをおすすめします。理由として法改正等が理由で昔のテキストと現在は内容が違うということも考えられるからです。

せっかく学習を定着させても、それが今の試験では通用しなければまた新たに勉強をし直さなければなりません。そのため、テキストは最新のものを使用してくださいね。

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行政書士試験の独学は難しいという人は通信講座がオススメ

最後に、行政書士試験を受けようと考えているけれどなかなか勉強の時間が取れない方や独学だと不安があるという方は通信講座の活用がオススメです。

以下で通信講座を利用するメリットをご紹介しますので、通信講座が気になったら無料お試し講座やパンフレットで学習の雰囲気を確認してみましょう。

スマホで講義動画を視聴できる通信講座が多い

通信講座と聞くとデスクに向かってひたすら勉強をするというイメージですが、最近ではオンライン講義やeラーニングを使った学習等、スマホで学習することができる通信講座が増えています。

スマホで過去問を解いたり、講義動画を視聴したりすることもできるため、なかなか忙しくて勉強ができないがスキマ時間を利用して学習したいという方にオススメです。

テキスト・補助教材の内容が充実している

次に通信講座によってはテキストはフルカラーで大判サイズで見やすい通信講座や補助教材が充実している通信講座もあります。

本屋さん等で販売されているテキストは白黒だったり、文字が小さかったりと初学者には見づらいものも多いですよね。その点、通信講座では誰にでもわかりやすいテキストや補助教材で行政書士試験合格をサポートしてくれる点がメリットです。

リーズナブルな価格で受講できる通信講座もある

他にも通信講座=高額というイメージが定着している方も多いかと思いますが、最近では非常にリーズナブルな価格で受講できる通信講座も増えています。

また支払方法も一括だけではなくて、分割1,500円~3,000円程の価格で受講することができるため、自身のお小遣い等でも十分学習を進めることができるのです。

合格お祝い金制度や受講期間延長サポートがある通信講座も

その他にも、通信講座によっては合格お祝い金制度や訓練給付金制度対象の講座が豊富だったり、仮に試験に落ちてしまっても受講期間延長サポートを行っていたりする通信講座もあります。

また「質問制度」「無料セミナー」「試験最新情報を随時配信」等、独学では得られないサポートを受けることができる点も通信講座のメリットと言えるでしょう。

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 行政書士の資格についてまとめ

今回は行政書士について「仕事内容」「年収」はもちろん「難易度」や「独学で試験に合格するコツ」をご紹介しました。

行政書士は一度資格を取れば更新が必要ないため、未来永劫行政書士として活躍することができます。

誰かのサポートをしたい方や法律を本格的に学びたい方はぜひ行政書士資格取得を目指してみませんか?

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参考URL:

未経験でも問題なし!行政書士に向いている人・仕事のやりがいを知ろう!(耳勉)
行政書士とは?仕事内容から試験概要、資格取得のメリットまでまとめて解説(ユーキャン)
行政書士とは 仕事内容と資格の活かし方(伊藤塾)
行政書士の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)
行政書士試験に独学で合格するには? おすすめ勉強法と時間術を教えます(スタディング)

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この記事の監修者

「エーマッチ」編集長。
コンサル・マーケティング会社経営者で自らも7回もの転職経験者。
自らの転職経験を元に転職エージェントマッチングの「エーマッチ」を運営。転職エージェントの紹介だけでなく転職ノウハウ、キャリアアップ・独立起業などビジネス全般、最新ビジネスニュースなどをお届け。

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