ホワイト企業へ転職!国が認めたホワイト企業の調べ方から自分にとってのホワイト企業へ転職する方法
- 「ホワイト企業に転職したい」
- 「ホワイト企業で長く働きたい」
これは転職する人の多くが思うことで、転職活動の最終ゴールとも言えます。
そんな転職活動の最終ゴールと考えられる「ホワイト企業への転職」に解説していきます。
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
転職ノウハウだけではなくビジネス全般、キャリアアップ、独立起業、最新ビジネスニュースなどをお届け。
ホワイト企業の定義について
ホワイト企業の定義や考え方について整理いたします。
ホワイト企業は以下の3つの確認するポイントがあります。
- ブラック企業に該当しないだけがホワイト企業ではない
- 国や民間がホワイト企業認定している
- ホワイト企業で働く全員が満足しているわけではない
というポイントから解説します。
ブラック企業に該当しないだけがホワイト企業ではない
ホワイト企業という言葉は、ブラック企業の対義語として作られたと言われています(諸説あり)。
そもそもブラック企業には明確な定義がなく、同様にホワイト企業にもはっきりとした定義はありません。
ブラック企業は法令違反レベルに労働環境の悪い企業ですが、それならホワイト企業というのは労働環境の良い企業のことなのでしょうか?
通常「ホワイト企業に転職したい」という時は
- 残業時間が少ない
- 残業をしたら残業代が支払われる
- パワハラ・モラハラがない
- 福利厚生が充実している
- 性別にとらわれない・育児のサポートなど
- 給料が高い
というようにブラック企業と反対の労働環境の良い企業を指すことが多いです。
ホワイト企業の場合、更に労働環境がだけではなく
- 会社の経営状況が良くて将来性がある
- 会社の事業が社会に貢献している
というような会社の業績・将来性も含めるて判断されることがあります。
会社として売上・利益が良くないと「ホワイト企業」のような社風にはならないんだ。
ホワイト企業とは「労働環境」+「会社の将来性」のどちらも優れている
国や民間がホワイト企業認定をしている
ホワイト企業の明確な定義はないものの、国や民間レベルでホワイト企業を認定する制度が数多くあります。
このあとご紹介しますが、厚生労働省と経済産業省でそれぞれにホワイト企業を認定する制度を設けています。
ただし、厚生労働省や経済産業省の場合は
- 労働者の健康や安全を守ることに取り組んでいる
- 女性の採用や活用に積極的
- 子育て支援を推進
- 新卒者の採用と育成に積極的
など個別に認定する制度になっていて、トータルにホワイト企業を認定する制度はありません。
民間のホワイト企業表彰制度も多数あり、それぞれに認定基準を設けています。
民間の場合は、労働環境の良さに加えて財務の健全性や会社の将来性を認定基準にしているところもあります。
こちらも後ほど詳しく紹介するので、認定されている企業をぜひチェックしてみてください。
ホワイト企業で働く全員が満足しているわけではない
一つ知っておいて欲しいのが、労働環境の良いホワイト企業で働いている人が皆満足しているわけではない、ということです。
- 仕事に刺激がない
- 年功序列でツマラナイ
- 残業がないので残業代分の収入増がない
など様々な理由があります。
また、たとえば創業間もないベンチャー企業などは、勤務時間が長く、給料もそれほど高くなくて、ブラック企業の要素がたくさんあります。
それでも、その企業が取り扱っている商品やサービスが大好きな人にとっては、短期間であれば多少のハードワークもそれほど苦にならないこともあります。
仕事には「やりがい」という要素も大事なんだ。
このように、「ホワイト企業に入社すれば誰でもハッピー」というわけではなく、「自分にとってのホワイト企業」を見極めなければいけません。
国が認めた「ホワイト企業」ホワイトマーク
ここでは、具体的に、ホワイト企業の特徴とはどんなものなのか、国や民間のホワイト企業を認定する基準から紹介します。
大まかに言うと、ホワイト企業と認定する基準は
- 国の場合、労働者の権利を守るための努力をしているかどうか
- 民間の場合、国の認定基準プラス財務の健全性や会社の将来性
になっています。
安全衛生優良企業認定 ホワイトマーク
国のホワイト企業認定制度で代表的なものは、厚生労働省のホワイトマークです。
ホワイトマークは、厚生労働省が認定した安全衛生優良企業に与えられます。
ホワイトマークの評価項目は以下の通りです。
- 安全衛生活動を推進するための取り組み状況
- 健康管理の取り組み状況
- メンタルヘルス対策への取り組み状況
- 過重労働防止対策の取り組み状況
- 受動喫煙防止対策の実施状況
- 安全でリスクの少ない職場環境の整備取り組み状況
国がホワイト企業を認定する制度は、他にも以下のような制度があります。
認定制度 | 内容 | 担当省庁 |
---|---|---|
健康経営優良法人ホワイト500認定 | 優良な健康経営に取り組んだ大規模企業を認定 | 経済産業省 |
健康経営優良法人 中小規模 ブライト500認定 | 優良な健康経営に取り組んだ中小規模企業を認定 | 経済産業省 |
くるみん/プラチナくるみん認定 | 子育て支援を推進する企業を認定を認定 | 厚生労働省 |
えるぼし/プラチナえるぼし認定 | 女性の採用や活用に積極的な企業を認定 | 厚生労働省 |
ユースエール認定 | 新卒者の採用と育成に積極的な中小企業を認定 | 厚生労働省 |
このように国の認定制度はトータルなホワイト企業の認定ではなく、個別の要件ごとに取り組みを評価して認定するという方法になっています。
こちらのサイト「一般社団法人 安全衛生優良企業マーク推進機構」で認定企業を検索することができます。
参考サイト 一般社団法人 安全衛生優良企業マーク推進機構
「健康経営優良法人ホワイト500認定」「くるみん/プラチナくるみん認定」「えるぼし認定」の3つの項目で検索して出てきた企業の一部がこちらです(対象企業数:10,833社/2020年12月時点)。
東日本電信電話株式会社 | 東京都新宿区西新宿3丁目19番2号 |
サントリーホールディングス株式会社 | 大阪府大阪市北区堂島浜2丁目1番40号 |
株式会社常陽銀行 | 茨城県水戸市南町2丁目5番5号 |
株式会社丸井グループ | 東京都中野区中野4丁目3番2号 |
コニカミノルタ株式会社 | 東京都千代田区丸の内2丁目7番2号 |
イオン株式会社 | 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目5番地1 |
これは主に国が定めた「健康経営」に沿っている、女性の採用に積極的、子育て支援を推進している、という項目です。
一般的に考えられる「ホワイト企業」に該当するかというとちょっと疑問がありますが、各種制度が整っているというのはホワイト企業の大事なポイントです。
民間の団体・企業による「ホワイト企業」認定
民間でもホワイト企業を認定している団体組織や企業が多くあります。
一例をご紹介します。
「ホワイト企業大賞」
参考サイト https://whitecompany.jp/
「ホワイト企業大賞」は、ソニーOBの天外伺朗氏をはじめとする有志の専門家で構成されるホワイト企業大賞企画委員会によって1年に1回選ばれます。
ホワイト企業大賞企画委員会は、未来工業の山田昭男相談役が亡くなった2014年の秋に発足しました。
(中略)
大賞の選考は、アルバイトやパート、派遣の方々も含めた働く方々へのアンケート調査から、組織のホワイト企業指数、〝のびのび〟〝いきいき〟〝すくすく〟の各因子の分布、組織の状態を測り、ヒアリングなどによって組織の特徴を伺い、企画委員会で検討します。
引用:「ホワイト企業大賞とは?」より
明確な評価基準は設けられていませんが、社員・アルバイト・派遣社員も含めアンケート調査やヒアリングを元に組織委員が選考をしています。
2019年のホワイト企業大賞受賞企業はこちらの2社です。
医療法人かがやき | 岐阜県羽島郡 | 在宅医療クリニック |
GCストーリー株式会社 | 東京都江東区 | 施工事業・介護事業 |
ホワイト財団認定の「ホワイト企業認定」
参考サイト https://jws-japan.or.jp/
一般財団法人日本次世代企業普及機構(通称:ホワイト財団)が、ホワイト企業を認定して表彰する企画です。
ホワイト財団は以下7つの指標を用いてホワイト企業を認定します。
- ビジネスモデル/生産性
- ダイバーシティ&インクルージョン
- ワーク・ライフバランス
- 健康経営
- 人材育成/働きがい
- リスクマネジメント
- 労働法遵守
ホワイト財団が考えるホワイト企業というのは、単にブラック企業でない企業ではなく、次世代に残すべき企業です。
具体的には、
- 長期にわたって健全な経営を続けられる優れたビジネスを行う企業
- 従業員が安心して働き続けられるために優れた車内統治を行う企業
- 時代のニーズに合わせた働きがいを高く保つ企業
というような、家族に入社を勧めたくなるような企業ということです。
認定企業は100件ありまして、一部をご紹介します。
Talknote株式会社 | 情報通信業 |
アステリア株式会社 | 情報通信業 |
スワロー工業株式会社 | 製造業 |
セムコ株式会社 | 製造業 |
ビーウィズ株式会社 | 情報通信業 |
医療法人夢昂会 | 医療・福祉 |
企業の将来性にもポイントになっているのか革新的なサービスを手掛けている新しい企業もたくさんあります。
ランスタッドの「エンプロイヤーブランド・リサーチ」
参考サイト https://www.randstad.co.jp/ebr/
グローバルレベルでのホワイト企業を表彰する「エンプロイヤーブランド・リサーチ」について紹介します。
「エンプロイヤーブランド・リサーチ」は、転職エージェントのランスタッドが世界規模で独自に調査して、エンプロイヤーブランドが高い企業を表彰する企画です。
エンプロイヤーブランドとは、「働く人、家族、求職者にとっての魅力」を意味しています。
エンプロイヤーブランドが高い企業というのが、日本のホワイト企業にあたります。
ちなみに、「ホワイト企業」は日本語で、英語では「ホワイトカンパニー」とは言いません。
ランスタッドは、以下10の指標に基づいてエンプロイヤーブランドの高さを評価します。
- ワークライフバランスが実現しやすい
- キャリアアップの機会がある
- 革新的な技術を活用している
- 興味深い仕事がある
- 職場環境が快適である
- 社会的評価が高い
- 給与水準が高く、福利厚生が充実している
- 環境や社会に配慮している
- 長期にわたる安定した雇用機会がある
- 財務体質が健全である
日本のホワイト企業認定基準にあまり見られない、「革新的な技術を活用」や「環境に配慮」などが特徴的です。
こちらが「エンプロイヤーブランド・リサーチ 〜いま最も働きたい企業 2019〜」
No.1 | サントリーホールディングス株式会社 |
No.2 | 味の素株式会社 |
No.3 | トヨタ自動車株式会社 |
No.4 | ソニー株式会社 |
No.5 | パナソニック株式会社 |
No.6 | 楽天株式会社 |
No.7 | キリンホールディングス株式会社 |
No.8 | 日清食品ホールディングス株式会社 |
No.9 | 花王株式会社 |
No.10 | アサヒグループホールディングス株式会社 |
グローバル企業・外資系企業の転職に強いランスタッドならでは選考結果です。
【ランスタッド公式サイト】https://www.randstad.co.jp/
体験談:労働条件良いだけの「ホワイト企業」で結局長続きしないことも
国や民間組織が認定するホワイト企業は労働条件や社内環境に重きが置かれています。
そのため受賞企業を見るとやはり歴史のある大企業、長年業績の良い企業になります。
労働条件の良さ、社内環境の良さを中心に「ホワイト企業」を探すポイントして「歴史があり業績の良い大企業」でしょう。
ただ私の経験から労働条件が良く社内環境も良い「ホワイト企業」に転職したからといって必ずしも「自分にとって良い企業」とは限らない、ということです。
私自身ホワイト企業に認定されるような企業に転職したことがあるが、結局3年で辞めてしまった。
私自身、今回紹介したようなホワイト企業で大企業に転職をしたことがありますが、3年程度でつまらなくなって辞めてしまった経験があります。
- 有給休暇は毎年全部自由に使える
- 残業時間も月20時間以内
- 上司が怒鳴ったりしない
- アシスタントもいる
- 人事制度も明確で昇給・昇格基準がある
- 東証一部上場企業で業績も良い
- 同世代の平均年収より高くボーナスも年2回でる
こんな「ホワイト企業の見本」のような会社に転職したにも関わらず、1年過ぎた頃から仕事にやる気がでなくなり、結局3年で辞めてしまいました。
ホワイト企業に入ったにも関わらず辞めてしまった原因は「仕事にやりがいを感じなかった」「興味のない業務内容」だったからです。
どれだけ労働条件が良くても「興味のない業務内容」で「仕事にやりがいを感じなかった」から続きません。
労働環境が良くても「仕事がつまらない」と感じてしまうとプライベートもつまらなくなります。
労働環境や社内制度だけのホワイト企業にとらわれることなく、「自分がやりがいをもって取り組める仕事内容」転職するほうが良いのです。
多少業績に波があってもより奮起してがんばれますし、少しくらい休みがなく残業が多くても仕事を達成したときの充実感・喜びには変えられません。
ホワイト企業への転職を成功させる方法
ホワイト企業は新卒者の就職先としても大変人気があり、離職率が低いので一度入社すると長く働き続ける人が大半です。
結果として、中途採用の募集があまり出ません。
ホワイト企業は転職先としては大変競争が激しく、転職を成功させるのは簡単ではありません。
ここではホワイト企業への転職を成功させるために準備できることを紹介します。
転職の条件を整理して自分にとってのホワイト企業を見つける
まずは転職の条件を整理して、自分にとってのホワイト企業を見つけましょう。
「残業がないのが良いのか」「残業はあるけれど残業代がきちんと支払われるのが良いのか」
「年功序列の会社が良いのか」「実力主義の会社が良いのか」
ホワイト企業が中途採用を行うときは、応募者が社風に合うかどうかを慎重に見極めて選考するからです。
転職の条件が応募する会社に合っていなければ、採用担当者から「この人が求めていることはうちの会社に合っていない」と受け取られてしまいます。
そもそも転職の条件が合っていなければ、どんなホワイト企業でも入社したら「何か違う」ということになってしまうかも。
ホワイト企業ほど社風を大事にします。社風に合わない人間を採用しないのです。
希望転職先の情報収集する
希望する転職先の情報収集が大事になります。
実際に働いている人の話を聞くのが一番ですが、それができない場合は転職口コミサイトを利用しましょう。
代表的な転職口コミサイト
- 転職会議
- openwork(オープンワーク)
- Lighthouse (旧カイシャの評判)
- キャリドア
- キャリコネ
などがあります。
またGoogleやYahoo!などの検索エンジンで「会社名+ブラック」といったワードで調べてみる方法もあります。
さらにSNSで検索すると、社員のつぶやきが見つかるかもしれません。
離職率をチェック
大手企業・有名企業であれば新卒入社からの3年以内の離職率について確認する方法があります。
ホワイト企業は大企業・有名企業が多いから調べやすいぞ
有名企業5,000社の離職率や平均年収、平均有給取得日数を掲載した「就職四季報」に書いてあります。
大手ホワイト企業への転職を考えている人は新卒の離職率ではありますが調べることが可能です。
転職できたらその企業で何をしたいのかを明確にする
- 残業が少ないから
- 有給休暇が取りやすいから
- 福利厚生が充実しているから
などの理由でホワイト企業に転職したいのは当然です。
とくにブラック企業からホワイト企業への転職を希望している人が、労働環境の良さを求めて応募することは、採用担当者もわかっています。
ただしやはり大事なのは、労働環境の良いその企業で何をしたいのかを明確にすることです。
10-20年後にどういう人間になっていたいのかというビジョンを持ち、そのために応募する企業で具体的に何をしたいのかを良く考えてください。
採用担当者は、社風に合っていて、かつ長く働いてくれる人を求めています。
しっかりとしたビジョンを持っていることをアピールできれば、転職成功に一歩近づくことができる可能性大です。
転職エージェントも利用しよう
以上のような準備を一人で行うことに不安を感じたら、転職エージェントを利用しましょう。
転職エージェントは独自に企業の情報収集をしているので、応募する企業がどんなタイプのホワイト企業なのか教えてもらえます。
転職エージェントであればどんなホワイト企業が合うかについてアドバイスもしてもらえます。
また、専任の転職アドバイザーがカウンセリングを通して、転職条件の整理や応募書類の作成や面接対策をサポートしてくれます。
転職活動に使える時間があまりない人のサポートをしてくれる転職エージェントもあります。
ホワイト企業に関するよくある質問
ホワイト企業に関するよくある質問をまとめました。ホワイト企業についての疑問、質問のある方はぜひご覧になってください。
ホワイト企業へ転職 まとめ
- 労働環境が良い
- 財務が健全で将来性がある
- 事業が社会に貢献している
などの特徴を持っているのがホワイト企業です。
国や民間によるホワイト企業認定制度が多数あるので、認定されている企業をぜひチェックしてみてください。
ホワイト企業は人気の転職先ですが、中途採用の求人があまり出ないので競争が厳しいのが事実です。
是非この記事で紹介した準備を参考にして、転職活動に励んでください。