宅地建物取引士(宅建士)の年収を大公開!不動産企業・独立開業で異なる年収を調査
「宅地建物取引士(宅建士)の平均年収ってどれくらいなの?」と資格試験にチャレンジする前に思う人も多いはず。
この記事では人気の国家資格「宅地建物取引士(宅建士)」を取得したら年収はどうなるのかという現実について解説します。
この記事で伝えたいこと
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宅地建物取引士(宅建士)の現実!平均年収は高い?
人気資格の宅地建物取引士(宅建士)ですが、資格を取得すれば年収が高くなるのでしょうか?
宅地建物取引士(宅建士)の資格を持っていても、
- 企業の従業員として働く場合
- 独立・開業する場合
という働き方の違いで年収は異なります。
ここでは、企業の従業員として働く場合と独立開業する場合についてそれぞれ解説します。
勤務する企業によって年収差に幅あり
企業の従業員として働くならば、その企業から得る給与が年収になります。
なので、この場合は宅地建物取引士(宅建士)の資格と言うよりも、勤務する企業によって年収に差が出てくることになります。
例えば、宅地建物取引士(宅建士)の資格保有者が多いと考えられる不動産会社の平均年収は企業によって大きな差があります。
ダイアモンドオンラインの「年収が高い不動産会社ランキング2020【全114社・完全版】」という記事によると、平均年収1位と114位の企業の間には1,500万円近い差があります。
宅地建物取引士(宅建士)の資格を持っているかどうか以前に、勤務する企業によって平均年収に大きな差があるというのが現実です。
参考年収が高い不動産会社ランキング2020【全114社・完全版】」ダイヤモンドオンライン 2021年6月21日
厚生労働省の職業情報提供サイトでは住宅・不動産営業の平均年収544.7万円
それでは、宅地建物取引士(宅建士)の資格を持っている人の平均年収はどうなのでしょうか?
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagを見ると、住宅・不動産営業に携わる人の平均年収は544.7万円です。
住宅・不動産営業に携わる人には宅地建物取引士(宅建士)の資格を持っている人が多いと考えられるので、この平均年収は参考になります。
ただし、この平均年収には宅地建物取引士(宅建士)の資格を持っていない人も含まれています。
資格保有者の平均年収はもう少し高い可能性もあります。
資格保有者が歓迎される建設業界や金融業界は大手企業なら年収高め
宅地建物取引士(宅建士)の資格は建設業界や金融業界でも歓迎される資格です。
国税庁の「令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、建設業も金融業も平均年収は不動産業界より高くなっています。
建設業界も金融業界も大手企業は平均年収1,000万円を超えているところが多いです。
業種 | 1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与 |
---|---|
建設業 | 491万円 |
金融業・保険業 | 627万円 |
不動産業・物品賃貸業 | 424万円 |
(国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査」(第13図)業種別の平均給与から作成 )
宅地建物取引士(宅建士)の資格を取得して、建設業界や金融業界に就職・転職すれば年収が高めになる可能性があります。
大手企業なら年収がより高くなると言えます。
参考年収が高い建設会社ランキング2020最新版【全144社・完全版】」ダイヤモンドオンライン 2021年6月14日
参考銀行・証券・保険の平均年収ランキング2020【完全版】」ダイヤモンドオンライン 2020年9月7日
宅地建物取引士(宅建士)を取得すれば高卒や女性でも年収アップできる?
宅地建物取引士(宅建士)の資格を持っていると、不動産業界へ就職・転職するときにメリットになります。
それは、宅地建物取引業務を行うとき、事務所ごとに従業員5人につき宅地建物取引士(宅建士)が事務所ごとに従業員5人につき1人の割合で必要と法律で定められているからです。
(法第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める数)
第十五条の五の三 法第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める数は、事務所にあつては当該事務所において宅地建物取引業者の業務に従事する者の数に対する同項に規定する宅地建物取引士(同条第二項の規定によりその者とみなされる者を含む。)の数の割合が五分の一以上となる数、前条に規定する場所にあつては一以上とする。
引用 e-Gov宅地建物取引法施行規則第15条の5の3
なので、高卒とか女性とか関係なく宅地建物取引士(宅建士)の資格を持っていると、不動産業界へ就職・転職して年収アップのチャンスがあります。
宅地建物取引士(宅建士)は受験資格がないので高卒、女性でも取得できる資格
宅地建物取引士(宅建士)の試験には受験資格がありません。
性別、年齢、国籍、学歴などに関係なく誰でも受験できます。
なので、高卒、女性など一切関係なく宅地建物取引士(宅建士)の資格を取ることができます。
未経験でも資格と営業経験があれば不動産業界に転職できる可能性あり
前に解説したように、宅地建物取引士(宅建士)は不動産関連会社で必要な資格と法律で定められています。
なので、未経験であっても資格があれば転職できる可能性があります。
実際に不動産関係の求人を見ると、宅地建物取引士(宅建士)の資格保有者歓迎というものが数多くあります。
また、別の業界であっても営業経験があればもっと良いです。
不動産業界なら資格手当で年収アップ可能
不動産関連会社の場合、宅地建物取引士(宅建士)は資格手当の対象になるケースが多いです。
宅地建物取引士(宅建士)の資格手当は毎月5,000円〜30,000円くらいと言われています。
毎月5,000円ならば年間6万円、毎月3万円ならば年間36万円になります。
試しにマイナビ転職のサイトで「宅建手当」をキーワードに求人検索してみたところ、資格手当が4万円、5万円という求人もありました。
また、資格手当以外にも
- 歩合給の支給比率で優遇
- 資格取得奨励金制度あり
という求人もありました。
不動産関連会社ならば、宅地建物取引士(宅建士)の資格手当で年収アップできる可能性が高いです。
宅地建物取引士(宅建士)の資格を取得して独立開業したら年収1000万は可能?
宅地建物取引士(宅建士)の資格を取得して独立開業したら年収はどうなるのでしょうか?
公益財団法人不動産流通推進センターの「2021不動産業統計集 (9月期改訂)」に、資本金1千万円未満の不動産業に関するデータがあります。
年収のデータではありませんが、売上高と経常利益から「小規模な不動産会社なら平均的にはこれくらい儲かる」ということを推測できます。
資本金1千万円未満の不動産業法人数 | 資本金1千万円未満の不動産業売上高 | 資本金1千万円未満の不動産業経常利益 |
---|---|---|
235,774社 | 7,069,326百万円 | 557,031百万円 |
(公益財団法人不動産流通推進センター「2021不動産業統計集 (9月期改訂)」で調べて作成 )
このデータを使って計算すると、資本金1千万円未満の不動産業の場合、1法人あたりの
- 平均売上高は2,998万円
- 平均経常利益は236万円
になります。
もちろん、独立開業してすぐにこの売上を達成できるわけではありません。
ここでは、宅地建物取引士(宅建士)として独立開業してから事業が軌道に乗るまでについて以下4つのポイントから解説します。
「宅地建物取引業免許」の取得も必要
独立開業する場合は、宅地建物取引士(宅建士)の資格のほかに宅地建物取引業免許を取得する必要があります。
- 事務所を1つの都道府県に設置する場合は知事免許(申請費用33.000円)
- 2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合は、大臣免許(申請費用90.000円)
になります。
申請にあたっては、事務所の開設が必要です。
宅地建物取引業免許は有効期間が5年なので、更新しなければいけません。
初期コストと維持コストがかかる
宅地建物取引士(宅建士)として独立開業するにあったっては
- 会社設立費用(登記手続など)
- 事務所開設費用(家賃、改装工事、備品など)
- 保証協会の入会金と年会費
などの初期費用がかかります。
また、維持コストとして
- 事務所の維持費(光熱費、家賃など)
- 人件費(従業員を雇う場合)
- 自分の生活費
などもあります。
最初は営業実績ゼロですから、銀行から融資を受けられる可能性は無しに近いはず。
それなりの資金を準備しておく必要があります。
資格と免許以外に営業力が必要
宅地建物取引士(宅建士)として独立開業するのであれば、資格と免許以外に営業力が必要です。
独立前は営業の成績が良かった人でも、それは勤務している会社の名前があったからという人は多いはず。
無名の不動産会社でスタートするわけですから信用を築けるようになるまで時間がかかるのは仕方のないことです。
まず会社の名前を知ってもらうところから契約を取るところまでたどり着くには、営業力が無いと難しいです。
事業が軌道に乗るまで独立前の年収を下回る可能性あり
独立開業すれば仲介手数料は全て自分の収入になります。
でも、最初から契約が次々とまとまる可能性は低いのが普通です。
また、開業してしばらくは会社の名前を知ってもらうため、集客のために、広告宣伝費にお金をかけないといけないことも。
事業が軌道に乗るまでは独立前の年収を下回る可能性があることを覚悟しておいた方がよいです。
宅地建物取引士(宅建士)の年収をについて まとめ
宅地建物取引士(宅建士)の年収は、資格保有者として企業に勤務するか、独立開業するかで異なります。
企業に勤務する場合は、給与がそのまま年収になります。
給料の高い企業に勤める、不動産関連会社で資格手当をもらう、などで高めの年収を得ることは可能です。
独立開業する場合は、事業が軌道に乗るまでは独立前の年収を下回る可能性があります。
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