中小企業へ転職を悩んでいる人へ中小企業の現実から大企業と比較してメリット・デメリットを解説

中小企業へ転職
  • 「大企業から中小企業へ転職を考えているけど…不安」
  • 「中小企業で働いた方が成長できるって本当?」
  • 「うちのような中小企業にこのままいてもいいのかな」

日本の企業の99.7%は中小企業と言われ、世の中の全従業員の約70%が中小企業勤務者です。

中小企業へ転職することに迷っている人・大企業と中小企業って何が違うの?中小企業で働くメリットってあるの?と多くの人が悩みも抱えています。

中小企業への転職や中小企業で働くこと悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

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この記事の監修者
転職コンサル山田
コンサル山田

「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
転職ノウハウだけではなくビジネス全般、キャリアアップ、独立起業、最新ビジネスニュースなどをお届け。

中小企業ってどんな企業なの?

中小企業とは

中小企業への転職を考える前に、まず中小企業とはどんな企業なのか、ということを知っておきましょう。

ここでは中小企業について具体的に

  1. 法律上の定義
  2. 中小企業の数
  3. 休廃業・解散する中小企業の数
  4. 人手不足の状況
  5. 給与水準

というポイントから説明します。

法律上の中小企業の定義

中小企業は中小企業基本法により業種ごとに会社の規模が定められています。

業種資本金・出資金従業員数
製造業・建設業・運輸業・その他3億円以下従業員300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5000万円以下従業員100人以下
小売業5000万円以下従業員50人以下
参考  e-Gov中小企業基本法第一章第二条より作成

また、中小企業よりもっと小規模な企業を零細企業と呼んでいますが、これには法律上の定義がありません。

一般的には、中小企業基本法で定められている「小規模企業者」が零細企業と呼ばれています。

同じ用に小規模企業者も中小企業法で業種別に規模が定められています。

業種従業員数
商業・サービス業5人以下
商業・サービス業以外20人以下
参考   e-Gov中小企業基本法第一章第二条より作成

日本の企業の99.7%が中小企業

中小企業白書2020」によると、中小企業の数は全企業の99.7%を占めています。

大企業の数は全企業のたった0.3%にすぎません。

また中小企業の従業員数は全体の約70%になります。

中小企業白書2020日本の企業はほとんど中小企業
引用:中小企業庁「中小企業白書2020」より

年間4万社以上の中小企業が休廃業・解散

中小企業庁によると、年間4万社以上の中小企業が休廃業または解散しています。

理由は経営者の高齢化や後継者不足によるものが多く、黒字企業であっても休廃業または解散する企業が少なくありません。

休廃業・解散件数の推移


引用 中小企業庁「2020年版 中小企業白書・小規模企業白書概要

実際、2019年に休廃業または解散した中小企業の61.4%は黒字経営の企業であったという調査結果が出ています。

休廃業・解散企業の損益別構成比

引用 中小企業庁「2020年版 中小企業白書・小規模企業白書概要

中小企業は人手不足の状態が続いている

中小企業は、そもそも新卒者採用の段階から、求人数が就業希望者数よりずっと多いので、人手不足の状態が続いています。

「中小企業白書2020」によると、中小企業における大卒予定者の求人数(青色)は就業希望者数(オレンジ色)をはるかに上回っています。

従業員299人以下の企業における大卒予定者求人数・就業希望者数の推移

引用 中小企業庁「中小企業白書2020

マンパワー不足は長時間残業や休日出勤といった労働環境の悪化を招くことがあるので、深刻な問題です。

中小企業の給与水準は大企業より低い

給与水準は、大企業 → 中企業 → 小企業の順番で、会社の規模が小さくなるに従って低くなります。

例えば、厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、毎月の給与は男性の場合で中企業は約57,000円、小企業は約83,000円大企業より少なくなっています。

毎月の給与
(大企業=100とした場合の賃金格差)
大企業中企業小企業
男性380,300円
(100)
323,200円
(85.0)
297,100円
(78.1)
女性270,900円
(100)
248,100円
(91.6)
228,700円
(84.4)

(厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」第4表企業規模、性、年齢階級別賃金、対前年増減率、企業規模間賃金格差及び年齢階級間賃金格差 より作成)

ボーナスも基本給×◯ヶ月計算で大企業の方が金額が大きいであろうと考えると、年収ベースではさらに差が広がります。

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中小企業と大企業で転職するメリットを比較

中小企業へ転職するメリット

日本の企業がほとんど中小企業なのに、中小企業は人手不足で給与水準が低く、経営状態が悪くなくても休廃業・解散することがあることを紹介しました。

このような中小企業へ転職するメリットは何なのでしょうか?

ここでは、中小企業へ転職するメリットと大企業へ転職するメリットの両方を紹介します。

両者をよく比較して、中小企業へ転職する時の参考にしてください。

中小企業に転職するメリット

中小企業に転職するメリットは企業規模が小さく社員数も少ないことに起因するものが多いです。

【アットホームな職場】

中小企業の場合、社員数が少ないので職場の雰囲気がアットホームなところが多くなります。

支社数や社内の部署数が少なく、大企業ほど人事異動が頻繁にないので、気心知れた人たちと仕事をすることができます。

経営者や役員との距離が近いのも特徴です。

【仕事に与えられる裁量が大きい】

中小企業は人手が足りないので、若いうちから仕事に裁量権を与えられることが多くあります。

裁量権を多く与えられると、それだけ仕事の結果からフィードバックを得やすくなり、仕事にやりがいを感じるチャンスが高くなることも。

早く責任のある仕事を任せてほしいとか、仕事の幅をどんどんと広げていきたい、という人には魅力的な職場になる可能性があります。

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【仕事全般に関われることも】

中小企業では仕事で関与できる領域が広く、仕事全般に関われることも多くあります。

大企業では仕事が細分化されて仕事の全体像が見えにくいのに対して、中小企業では業務の最初から最後まで関わることも可能です。

仕事に全体的に関われることによって、やりがいを感じる機会に恵まれる可能性も高くなります。

【意思決定が早い】

中小企業では社内調整や数多くの決裁をとるのに時間をたくさん費やす必要がないので、意思決定が早く仕事が進むスピードが速いです。

意思決定の早さは中小企業にとって武器になります。

  • 上手くいかない時はさっと撤退して、損失を最小限におさえる
  • 新しいところにパッと進出して利益を得る

というようなことが可能なので、スピード感を持って仕事をしたいと考えている人に向いているかもしれません。

大企業に転職するメリット

大企業に転職する最大のメリットは、安定を得られることです。

【経営が安定していて、社会的信用が高い】

大企業は簡単に倒産することはないので、大企業に務めている限り安定した生活を送れる可能性が非常に高いです。

また大企業は社会的信用が高いので、顧客や取引先との仕事がしやすいだけでなく、個人的にも信用を得やすいというメリットもあります。

【福利厚生が充実している】

中小企業と比較すると大企業は福利厚生が充実しているところが多いです。

企業にもよりますが

  • 社宅や寮
  • 通勤手当や家賃補助などの各種手当
  • 育児休暇など各種休暇
  • 自己研鑽や国内外への留学支援制度
  • 社員食堂
  • 社内託児所
  • 社内診療所
  • 保養所
  • サークル活動

などがあります。

【中小企業より給与水準が高い】

一般的に、大企業の方が中小企業より給与水準が高いです。

また、大企業の場合は業績が低下することがあっても短期間であれば給料に大きく影響することもありません。

なので、安定した高収入を期待できるのも大企業のメリットになります。

【残業削減、休暇取得などに積極的】

大企業は残業削減や休暇取得などに積極的なので労働環境が整っているところが多くあります。

これは、一般的に大企業では労働組合がしっかりしていることが大きく貢献しています。

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中小企業と大企業で転職するデメリットを比較

中小企業へ転職するデメリット

中小企業に転職するメリットだけ見ると、早いうちから責任のある仕事を任されて、「やりがいのある仕事」をスピーディーに進めることができるのが中小企業、という印象になります。

ただし、これらのメリットはデメリットと表裏一体です。

中小企業に転職するデメリットを紹介した後で大企業に転職するデメリットも紹介します。

両方を比べながら、中小企業の規模が小さいことによるメリット以外のことにも目を向けてみてください。

中小企業に転職するデメリット

中小企業に転職するデメリットは、「人手不足」と「経営方針」が原因のものが多くなります。

【経営が不安定】

経営が安定している中小企業も勿論ありますが、大企業と比較すると経営基盤が安定していない中小企業は多いです。

なので不景気の影響を受けやすく、短期間の業績悪化でも会社の経営にとって深刻です。

また、中小企業の場合は、経営者が世襲されると途端に経営が悪化してしまう、ということもあり得ます。

【仕事の負担が大きい】

中小企業へ転職するメリットとして

  • 仕事に与えられる裁量が大きい
  • 仕事全般に関われることも

を紹介しましたが、裏を返せば「仕事の負担が大きい」というデメリットにもなります。

自分の実力がそのまま仕事の結果に反映されるので、上手くいったときは良いですが、結果を出せなかったときはシビアな評価を受けます。

また、仕事が大変になっても、他の社員と分担できるほど人材のリソースがないので、長時間労働や休日出勤を避けられないという事態にもなり得ます。

【大企業よりも給与水準が低い】

一般的に、中小企業は大企業よりも給与水準が低いです。

加えて、多くの大企業では当然に支給される通勤手当や家賃補助などの各種手当がない中小企業もあります。

また、短期的な業績の悪化が給料に影響しやすいので、安定した収入を期待できないこともあります。

【福利厚生が充実していない】

大企業と比較すると資金力で劣るので、「福利厚生は充実していない」というのが多くの中小企業の現状です。

中小企業では労働組合がないところも多く、福利厚生は経営者の意向で決まるところも少なくありません。

【残業削減、休暇取得などに消極的な企業が多い】

中小企業は大企業と比べて人手不足が深刻なので、残業削減や休暇取得に積極的でない企業も多くあります。

2020年4月から中小企業も働き方改革の関連法の対象になっていますが、

  • 経営者の理解がない
  • 慢性的な人手不足で仕事の納期に間に合わない

などの理由で、現実にはまだ長時間労働のところが多いようです。

【ワンマン経営者が多い】

中小企業はワンマン経営者が多いので、経営方針と考え方が合わないと仕事がしづらくなります。

メリットとして紹介した

  • 仕事に与えられる裁量が大きい
  • 仕事全般に関われることも

も、経営者の方針に合わせるなら、自分で舵をとって思い通りに進められなくなることもあり得ます。

大企業に転職するデメリット

大企業の場合は、規模が大きい故のデメリットがあります。

【社員が多いので人間関係が難しい】

大企業は社員数が多いので、職場での人間関係に悩む人が多くなります。

上司との関係、先輩・同期・後輩との関係、などを「集団の和」と「年功序列」を重んじながら築いていくのは大変です。

年次が上がると、同期同士でも出世する人、しない人の人間関係が難しくなることもあります。

【出世競争が厳しい】

大企業では同期入社が100人単位でいることも珍しくないので、出世競争は当然厳しくなります。

上の期も下の期も同じくらいの人数がいるので、追い抜くことも抜かれることもあります。

大企業で出世競争を勝ち抜くのは、かなり大変です。

【意思決定に時間がかかる】

大企業では意思決定に時間がかかるので仕事を進めるスピードは遅くなりがちです。

  • 説明資料を作る
  • 関係部署間の調整
  • 課長、部長、役員とそれぞれに説明して決済をもらう

などに一つ一つ時間をかけなければなりません。

慎重に事を進めるとも言えますが、一つの事を決めるのに時間と労力をかなり費やさなければなりません。

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中小企業への転職に関してのよくある質問

中小企業への転職に関するよくある質問をまとめました。中小企業への転職についての疑問、質問のある方はぜひご覧になってください。

中小企業の定義を教えてください

中小企業基本法第1章第2条により、中小企業は業種ごとに資本金・出資金の額と従業員数で区分されています。
「製造業・建設業・運輸業・その他」は従業員数300人以下、資本金・出資金が3億円以下
「卸売業」は従業員数100人以下、資本金・出資金が1億円以下
「サービス業」は従業員数100人以下、資本金・出資金が5000万円以下
「小売業」は従業員数50人以下、資本金・出資金が5000万円以下
の企業を中小企業といいます。

中小企業の給料は少ないですか?

中小企業の給与水準は大企業より低いです。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、毎月の給与につては大企業と比べて男性は15%以上、女性は10%以上中小企業の方が給与が少ないという結果になっています。
これはボーナス除きのデータなので、年収ベースで比べるとさらに差が大きくなると考えられます。

中小企業への転職で気を付けることはありますか?

中小企業への転職を考えるとき、まずは、自分がこの転職に求めるのは、収入なのか、労働環境・職場環境なのか、仕事のやりがいなのか、よく考えて検討してください。そして転職先として希望している中小企業がそれを満たしているのか確認しましょう。
それ以外にも、会社の経営状態や将来性、経営者の人となりと経営方針、実際に働いている人の声、などを可能な限り調べてみましょう。

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中小企業への転職について まとめ

日本の企業はほとんど中小企業という実態から考えても、中小企業を転職先として考える人は多くいます。

中小企業といっても色々ありますが、やはり

  • 給与が低い、または安定しない
  • 経営の不安定性
  • 人手不足による長期間労働

などは、転職先としてマイナス要素が多くあります。

今一度、転職に求めるのは

  • 給料なのか
  • 労働環境なのか
  • 収入や環境よりも「やりがい」なのか

よく考えて整理してみてください。

「収入が下がってもいいからやりたい仕事があって、その仕事を一定期間したら転職してキャリアアップしたい。」という人なら、中小企業への転職が向いているかもしれません。

その場合でも

  • 会社の経営状態や将来性
  • 経営者の人となりと経営方針
  • 実際に働いている人の声

をよく調べてください。

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この記事の監修者

「エーマッチ」編集長。
コンサル・マーケティング会社経営者で自らも7回もの転職経験者。
自らの転職経験を元に転職エージェントマッチングの「エーマッチ」を運営。転職エージェントの紹介だけでなく転職ノウハウ、キャリアアップ・独立起業などビジネス全般、最新ビジネスニュースなどをお届け。

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