社労士(社会保険労務士)とは?難易度・合格率・勉強時間・通信講座・仕事内容・年収まで完全解説
社労士試験は過去10年間で毎年約5万人以上が試験を受けている人気資格の一つです。
本記事では社労士について詳しく知りたい方に向けて「社労士の仕事内容」や「年収」はもちろん、「難易度」「独学で試験に受かることはできるのか」等、一挙にご紹介します。
この記事で伝えたいこと
「エーマッチ」編集長。
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社労士(社会保険労務士)とは?
社労士とは正式名称「社会労務士」と呼ばれる社会保険労務士法に基づいた国家資格のことです。
就職先として一番有名なのは社会保険労務士事務所で、その他にも企業の人事や総務、独立開業して働いている人もいます。
社労士には独占業務がある
社労士には独占業務と呼ばれるものがあり、独占業務とは社労士の資格を持っている方だけが携わることができる業務のことです。
業務内容を詳しく挙げると「社会保険や労働保険の手続きについて相談を受ける」「行政機関に提出する書類の作成や提出代行」等が挙げられます。
この独占業務は、仮に決められた資格を持たない方が上記の業務を行った場合、「三年以下の懲役もしくは二百万円の罰金」という処罰が与えられます。
社労士と行政書士の違いとは
社労士と似た資格として行政書士がありますが、この2つの大きな違いは「専門分野の違い」と言えるでしょう。
例えば社労士の場合は「保険」「年金」「労務管理」が専門の仕事で、行政書士は「各種許可申請」が専門の仕事となります。
簡単に説明すると社労士は労務関係のプロで、行政書士は行政機関に提出する行政書類作成のプロです。
その他にも登録方法の違いや年収にも違いがあり、この2つは似ていると思われがちですが実際は違う分野で活躍する資格と言えます。
また最近では社労士が行政書士の資格も取得するダブルライセンスを持つ方が増えており、どちらの資格も取得しておくことでお互いの足りない部分を補完することができるため、おすすめです。
社労士の仕事は大きく分けて3つ
次は社労士の仕事に関してご紹介します。
1号業務:申請書類等の作成
1号業務とは「行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書等を作成すること」でこの業務は社労士の独占業務です。
労働保険や社会保険の新規加入や脱退の手続きや労働保険の年度更新手続き、その他各種助成金の申請手続き等を行います。
2号業務:帳簿書類の作成
2号業務とは帳簿書類(電磁的記録を含む)を作成したり、労働者名簿や賃金台帳等を作成したりすることです。
1号業務と同様、こちらも社労士の独占業務となっているため、社労士以外が作成することは許されません。
3号業務:コンサルティング(指導・相談への対応)
3号業務とは事業における労務管理やその他労働に関すること、社会保険に関する相談等に対応したり、指導したりすることです。
簡単に言えば相談を受けた企業へコンサルティングを行う業務ということですね。
その他の業務
上記で紹介した以外にも「年金相談業務」や「紛争手続代理業務」「補佐人としての業務」も社労士の業務内容となります。
このように、社労士は幅広いフィールドで活躍することができる仕事に有利な資格です。
社労士の年収は働き方によって異なる
次は社労士の年収についてご紹介します。
厚生労働省のデータによるとおおよそ500万円が平均
社労士の年収は厚生労働省のデータによるとおおよそ500万円が平均となっています。(参考:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より)
詳しく紹介すると社労士の給与額は33.4万円、年間賞与が84.1万円で平均年収は484.9万円という計算です。
年齢や性別によっても差がある
社労士の年収に関しては性別や年齢によっても差があります。以下の表は性別と年齢ごとの年収を記載していますのでご覧ください。
社労士(男性)の年齢別給与
年齢 | 所定内給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額(千円) |
---|---|---|
30~34歳 | 408.6 | 670 |
35~39歳 | 294.2 | 936.4 |
40~45歳 | 353 | 697.8 |
45~49歳 | 387.6 | 758.7 |
60~64歳 | 580.9 | 1377.8 |
70歳~ | 250 | 450 |
社労士(女性)の年齢別給与
年齢 | 所定内給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額(千円) |
---|---|---|
30~34歳 | 181.9 | 605 |
35~39歳 | 302.7 | 901.6 |
40~45歳 | 313.7 | 601.9 |
45~49歳 | 281.7 | 637.9 |
50~54歳 | 283.1 | 1573.6 |
55~59歳 | 293.2 | 1914.8 |
70歳~ | 190.1 | 900.4 |
(参考:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より)
この表によると女性も高収入を目指せる資格であることがわかります。
社労士は企業からも需要が高く、勤務型ならば安定して働き続けられる点が魅力です。その他にも業務内容には正確さ、3号業務では気配りや対応力等が求められるため女性に向いている資格とも言えるでしょう。
加えて資格を取得していればある程度のブランクがあっても仕事がしやすい点も挙げられます。
企業型と独立開業型では500万円以上の差がある
社労士の年収は企業で安定的に働くタイプと、独立開業をして働くタイプでは約500万円の差があるとも言われています。
事実、日本学術振興会科学研究費助成事業の研究データでは、独立開業している社労士の事務所売上高は300万円未満が29.1%で1番多く、1,000万円~5,000万円が27.6%で2番目に多いという結果でした。(参考:日本学術振興会科学研究費助成事業の研究データより)
このデータを参考にして考えると、先ほどの年収表と比べて約500万円以上の差があるということがわかります。
しかし、独立開業をしたとしても人脈や実績がなければ年収は企業型と同等、またはそれ以下という場合もあるため、独立開業をすればすぐに高収入になれるというわけではないでしょう。
社労士の資格難易度はとても高い
社労士の資格取得は難しいという話を耳にして「本当?」「どの位難しいの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
ここでは社労士の資格難易度について試験情報も交えてご紹介します。
社会保険労務士試験の受験資格
まずは社労士試験の受験資格について以下のグラフをご覧ください。
試験名 | 社会保険労務士試験 |
資格 | 国家資格 |
受験資格/学歴 |
|
上記の大学(短期大学を除く)において一般教養科目と専門教育科目等との区分けをしているものにおいて一般教養科目36単位以上を修得し、かつ、専門教育科目等の単位を加えて合計48単位以上の卒業要件単位を修得した者 | |
受験資格/実務経験 |
|
受験資格/試験合格 |
|
受験資格/過去受験 |
|
以上4つの受験資格の中でいずれかに該当する方が社労士試験の受験資格があるとみなされます。
例えば中卒で社労士になりたい!と考えの方は、まず高卒認定試験等を経て学歴の受験資格を満たすか、実務経験や社労士以外の厚生労働省が認めた国家試験に合格している必要があります。
社会保険労務士試験科目と配点
次は社会保険労務士試験科目と配点について表にてご紹介します。
試験科目 | 択一式 計7科目(配点) | 択一式 計8科目(配点) |
労働基準法及び労働安全衛生法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
労働者災害補償保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) | 10問(10点) | 1問(5点) |
雇用保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) | 10問(10点) | 1問(5点) |
| 10問(10点) | 1問(5点) |
健康保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
厚生年金保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
国民年金法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
合計 | 70問(70点) | 8問(40点) |
合格ラインは6~7割となっており、ここに記載している得点以外にも「科目別必要最低得点」というものがあります。
選択式は5問中3問は正解しないとならないため、毎年難易度が高い問題に関してはこの科目別必要最低得点を引き下げる救済措置が行われる程、試験自体も難易度が高くなっています。
過去5年から見る社会保険労務士試験の合格率と合格人数
次は過去5年間の社会保険労務士試験の合格率と合格人数を以下表にてご覧ください。
試験実施年度 | 合格率 | 合格人数(受験者数) |
令和3年 | 7.9% | 2,937名(37,306名) |
令和2年度 | 6.4% | 2,237名(34,845名) |
令和元年度 | 6.6% | 2,525名(38,428名) |
平成30年度 | 6.3% | 2,413名(38,427名) |
平成29年度 | 6.8% | 2,613名(38,685名) |
(参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト)
表を見るとわかるように、毎年4万人近くが受験して合格者は過去5年で一度も3,000人を超えておらず、合格率を見ても一桁台で、先ほど紹介した行政書士の合格率と比較しても「行政書士:11,18%」と社労士試験は難易度が高いということがわかります。
合格までの平均受験回数は3回
社労士試験を受験した方々は平均受験回数3回を経て晴れて社労士試験に合格していると言われており、一筋縄ではいかない難易度であるということがわかります。
一体なぜここまで社労士試験の難易度が高いのか、その大きな理由として「合格基準点の存在」と「試験範囲の広さ」が挙げられるでしょう。
社労士試験は全科目を1回で合格する必要があるため、最短で合格を目指したいのならばしっかりとしたスケジュールをたてて効率よく学習を進める必要があります。
社労士は独学でも勉強・合格できる?
ここまで社労士についてご紹介してきましたが、社労士試験は勉強範囲が広いため、予備校等に通う費用を考えると試験勉強に踏み出せないという方もいるのではないでしょうか。
その場合、独学で自分なりに勉強していく方法を取る方も多いかと思いますが、そもそも社労士は独学で勉強・合格はできるかについて考えていきます。
不可能ではないが相当ハードルは高い
まず結論として独学で勉強・合格することは不可能ではありません。
しかし受験資格や合格率を見ていただくとわかるように、そう簡単に合格できるものではなく相当ハードルの高い戦いになるでしょう。
勉強時間は700~1,000時間以上が目安と言われている
次に社労士試験に合格するために必要な勉強時間は700時間~1,000時間が目安と言われています。
この数字を見るだけでわかるように、毎日継続してまとまった時間を取って勉強する必要があるため、フルタイムで仕事をしている方にとって勉強時間の確保はとても難しいと感じるはずです。
もちろん元々法律に関する知識がある方や以前に社労士試験を受験した経験がある方、知人に社労士がいる方の場合等、ご自身の状況によってはこれ以下の勉強時間、またはこれ以上の勉強時間になります。
合格点以上を目指すためには、まずは過去問や頻出論点の出題傾向を掴む
社労士試験で合格点以上を目指すためにはテキストを永遠と読み込んでノートに書きこんでいるだけではなくて、過去問や頻出論点の出題傾向を掴むことが大切です。
また社労士試験は「記憶の試験」とも呼ばれており、しっかりと学習を定着させておく必要があります。
しかし、独学だとなかなか効率よく学習が進まず、挫折してしまう方も多いのが社労士試験です。その点を踏まえて「独学でもやっていけるのか」「難しいならば低価格で受講できる予備校や通信講座を利用する」等の対策も検討してみてくださいね。
受験資格がない人がなるべく早く受験資格を取得する方法
最後に現在受験資格がなく社労士試験を受験することができない方へ、なるべく早く受験資格を取得する方法を4つご紹介します。
実務経験を3年以上積む
1つ目は「実務経験を3年以上積む」です。
先ほど受験資格について紹介しましたが、もっと深く掘り下げてみます。
実務経験 | 就業場所/職種 |
08.労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員(非常勤の者を除く)又は従業者として同法令の実施事務に従事した期間が通算して3年以上になる者 | 健康保険組合・労働保険事務組合等の従業員 |
09.国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間及び行政執行法人(旧特定独立行政法人)、特定地方独立行政法人又は日本郵政公社の役員又は職員として行政事務に相当する事務に従事した期間が通算して3年以上になる者 | 労働局・市役所・区役所・町役場等の公務員 |
11.社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人又は弁護士若しくは弁護士法人の業務の補助の事務に従事した期間が通算して3年以上になる者 | 社会保険労務士事務所・弁護士事務所等の補助者 |
12.労働組合の役員として労働組合の業務に専ら従事(いわゆる「専従」という。)した期間が通算して3年以上になる者又は会社その他の法人(法人でない社団又は財団を含み、労働組合を除く。以下「法人等」という。)の役員として労務を担当した期間が通算して3年以上になる者 | 労働組合の専従役員又は法人等の労務担当役員 |
13.労働組合の職員又は法人等若しくは事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に関する事務(ただし、このうち特別な判断を要しない単純な事務は除く。)に従事した期間が通算して3年以上になる者 | その他法人等の従業者 |
以上の就業場所で従業員や補助者、役員として3年以上実績を積めば、その他の受験資格を満たしていなくても、受験資格を得ることができます。
例えば09番は主に公務員が当てはまりますが、公務員の場合は10年以上従事していれば受験資格を得るだけではなく社労士試験の科目免除を受けることもできるのです。
以下が例になりますので、更に詳しい科目免除対象については表下のリンク「全国社会保険労務士会連合会」の公式サイトをご覧ください。
従事内容 | 科目免除内容 |
国家公務員として労働基準法、労働災害補償保険法又は労働安全衛生法の施工事務に従事した期間が通算して10年以上になるもの | 労働基準法及び労働安全衛生法の免除 |
労働保険事務組合の役員(非常勤の者を除く)または職員として労働保険事務に従事した期間が通算して10年以上になる者 | 徴収法の免除 |
国又は地方公共団体の公務員として雇用保険法又は職業安定法の施行事務に従事した期間が通算して10年以上になる者 | 雇用保険法の免除 |
関連サイト 全国社会保険労務士会連合会「試験科目の一部免除資格者一覧」
社労士受験予備校へ通う
2つ目は「社労士予備校へ通う」になります。
社労士の予備校では社労士のプロである講師の授業を対面で行えるため、初学者でもポイントを抑えて効率よく学習することができます。
しかし予備校の通学コースの相場は22万円程、通信コースが20万円程となっております。
行政書士の資格を取得する
3つ目は「行政書士の資格を取得する」になります。
これは受験資格の1つである「国家試験合格者」として受験資格を満たす方法です。
また行政書士は受験資格がないため、小学生から高齢の方まで誰でも受験することができます。
加えて行政書士と社労士のダブルライセンスは、これから仕事をしていく上で有利になることもあります。
通信講座を受講する
4つ目は「通信講座を受講する」です。
通信講座では毎日働いている人向けにオンライン講座を開講している通信講座やスマホで学習できるもの等、様々な学習体制が整っています。
予備校と比べて通信講座専門の会社ならば低価格で受講することができる点や質問機能がある通信講座、もしもの場合、受講期間延長サポートを行っている通信講座もあるため、本記事を読んで「独学は難しそうだな」と感じた方はぜひ一度お試し講義やセミナーがある通信講座で、動画視聴やセミナーに参加してみることをおすすめします。
おすすめの通信講座「フォーサイト」
フォーサイトは数ある通信講座の中でも受講生合格率は全国平均の3.72倍(2021年)と社労士試験の合格率が高いことで有名です。
更にフォーサイトの学習は「試験に出やすい範囲」に絞っているため、無駄なく学習することができます。加えてスマホを使用した学習サービスにも力を入れており、忙しい方でもスキマ時間を利用して学習を進めることができる点や使用するテキストもフルカラーで見やすく、初学者も安心して合格を目指せる通信講座と言えるでしょう。
通信講座名 | フォーサイト |
コース名 | 社会保険労務士講座 ・バリューセット1:基礎+過去問講座/78,800円(分割4,600円×18回※初回のみ6,336円) ・バリューセット2:基礎+過去問+直前対策講座/110,800円 ・バリューセット3:基礎+過去問+直前対策+過去問一問一答演習/121,800円~※その他、単科講座はこちらをご覧ください。 |
コース内容 |
※講座によって内容は変動します。 |
サポート |
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社労士(社会保険労務士)について まとめ
今回は社労士(社会保険労務士)の仕事内容から年収や試験難易度をご紹介しました。
社労士は独占業務を持つ有力な資格です。また女性でも活躍できる資格として注目されています。
今、社労士について気になっている方はぜひ本記事を参考に、資格取得を検討してみてくださいね。
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