【経理に転職】未経験者も必見!仕事内容、経理業務に向いている人、メリット・デメリット、必要な資格など徹底解説
この記事では現在経理の業務についている方がさらに経理としてキャリアップする転職方法や、経理未経験の方が「経理職で転職するため」の情報をわかりやすくまとめています。
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
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経理の仕事とは?
経理は企業になくてはならない仕事ですが、具体的にはどのような業務を担当するのでしょう?
まずは経理の仕事について確認しておきましょう。
経理の主な仕事内容
経理とは会社のお金を管理する仕事で、お金の流れを記録したり決算業務をおこなったりします。
経理の仕事には日次業務・月次業務・年次業務の3つのサイクルがあります。
日次業務は日々の仕事で現金・預金管理、記帳、帳票作成、経費精算などです。月次業務は月単位でおこなう仕事で、売掛金・買掛金管理、請求書発行、取引先への支払い、給与計算、住民税・源泉所得税・社会保険料などの納付、月次決算書の作成などがあります。
年次業務は年間を通して決まった月におこなう業務で、決算関係業務や年次決算書作成、税務申告、賞与計算・振込、年末調整などがあります。
経理の平均年収
経理は簿記などのスキルが必要なので一般事務よりも年収が高い傾向ですが、スキルや経験が年収に反映されます。
参考までに経理職の年収目安を下の表にまとめました。
経験とスキルのモデル | 平均年収 |
---|---|
実務経験3年以内の役職なしで、簿記3級もしくは2級以上持っている人 | 300〜399万円 |
実務経験3年以上で日商簿記2級以上や英語スキルがあり、経理のリーダー候補や経営分析の担当者 | 400〜599万円 |
実務経験3年以上で日商簿記2級以上や英語スキルがあり、管理職経験がある経理部長・課長・リーダーレベルの人 | 600〜799万円 |
(一般社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場2020」9ページ「01経理財務」より作成)
経理で求められる人物像について
経理への転職を考えている方の中には、自分に経理の仕事が向いているのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。
経理で求められる人物像は、次のような人です。
正確な仕事力がある人
経理は会社のお金の流れを記録していく仕事なので、1円のズレもなく正確に計算できる人が向いています。
計算ミスや入力間違いがあれば、やり直しが必要になるため、正確に仕事をこなす几帳面さや集中力、根気強さがある人が向いていると考えられています。
社内調整力がある人(社内コミュニケーション)
経理は社内の各部署や経営幹部とやりとりすることが多く、情報を共有しながら仕事を進めていきます。
処理の仕方がおかしいときは改善を求めたり、経費として認められるか判断したりしなければなりません。
社内調整力や、コミュニケーション力の高さが求められます。
機密情報を管理できる人
経理の仕事は会社の業績など社内の重要な数字を目にします。
また従業員の給与・賞与の金額、個人情報など、社外はもちろん社内の人にも漏れてはいけない情報を知ることになります。
業務上で知り得た機密情報を誰かに話したり、重要な書類を机の上に出しっぱなしにしたりするような人では、経理に向いていません。
機密情報を責任持って管理できる人が経理に向いています。
経理で転職するメリットとは
経理で転職することには、主に次の3つのメリットがあります。
メリット1:会社の経営に関わることができ、やりがいがある
経理は経営層が意思決定する際の判断材料となる資料を作るという重要な役割を担っています。
会社のお金の流れを把握していることから、ときには各部署や経営陣にコスト削減や収支の改善を提案することもあります。
会社の経営に関わることができるため、やりがいを感じやすい仕事です。
メリット2:経営幹部を目指せる
経理は専門的な知識を身につけたり、資格を取得したりすることで、財務の専門家として会社になくてはならない存在になれます。
税務や決算業務など、高いスキルが必要な業務で力を発揮すれば、経理主任、管理職、経営幹部とキャリアアップを目指すことができます。
メリット3:高いスキルを身につければ次の転職にも有利
経理はどの企業にとっても必要不可欠な仕事なので、高いスキルを身につけていれば、即戦力になるとみなされます。
スキルを証明する資格や実務経験があれば、次の転職にも有利になる可能性大です。
経理で転職するデメリットとは
経理で転職することには、メリットだけでなくデメリットもあります。
主に3つのデメリットを紹介します。
デメリット1:会社によって経理以外雑用全般まかされることも
社員が少人数の中小企業では、経理であっても雑用全般をまかされることがあります。
コピーやお茶汲み、ゴミ捨てなど担当者が決まっていない雑用は、事務職に回ってくることが一般的です。
規模が小さな会社では経理が総務を兼ねることもあるため、経理以外の雑用全般もまかされ、本来の業務以外のことで時間を取られる可能性があります。
デメリット2:働きやすさは経営者しだい
経理の働きやすさは経営者によって大きく変わります。
働きやすい職場は人員に余裕があるため、休みやすくて残業もほとんどなし。
しかし、人が辞めても補充がない職場では、常に人手不足で残業は当たりまえ。
とくに決算前は土日出勤や長時間労働など、労働環境が悪化することも。
最悪の場合、粉飾決算や脱税まがいの処理を指示されることもあるとか…。
ブラックな経理業務を要求する経営者もいますので、面接時にしっかりと見極めましょう。
デメリット3:単純作業のみしかやらせてもらえない
経理の仕事は幅広いですが、記帳やパソコンへの入力など、単純作業も多いものです。
単純作業のみしかやらせてもらえなければ、毎日ひたすらタスクをこなしていくだけなので、おもしろみに欠けると感じる人がいても不思議ではありません。
経理に転職するために有利な資格
経理に転職するなら、持っておいた方が有利になる資格があります。
経理の転職におすすめの資格とその概要を解説します。
日商簿記検定(2級以上)
日商簿記検定は1級・2級・3級・初級があります。
経理で転職するときは、一般的に日商簿記検定2級以上があると評価されますので、これから受験する人は2級を目指しましょう。
日商簿記検定はステップを踏む必要がないため、いきなり2級から受験できます。
2級は高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得していることの証明になります。また1級は極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得したことが証明されます。
公式サイト 簿記商工会議所の検定試験
公認会計士・税理士資格
公認会計士は、医師・弁護士とともに三大国家資格と称されます。
合格率が毎年10%程度しかない難関試験ですが、会計と監査のスペシャリストの証になるため、転職の際に有利になるでしょう。
税理士試験は会計学に属する2科目と、税法に属する科目の中から受験者が選ぶ3科目の合計5科目でおこなわれます。
一度合格した科目は永久に有効なので、一度に全ての科目に合格する必要はありません。合格科目が5科目に達したときに合格とされます。
そのため、受験スケジュールを組みやすく、働きながら受験する人も少なくありません。
税理士試験は「簿記論」「財務諸表論」と「所得税法」か「法人税法」のいずれか1科目が必須科目となっているため、税理士資格を持っていれば、経理の高度な知識やスキルを持っていることを証明できます。
公式サイト 公認会計士・監査審査会「公認会計士試験」
公式サイト 国税庁「税理士試験」
FASS検定(経理・財務スキル検定)
FASS検定とは、経理・財務の実務に特化した日本で唯一の検定試験です。合否ではなく、A〜Eの5段階で評価されるため、実務スキルがどの程度身についているかを客観的に証明できます。
たとえばA評価は「業務全体を正確に把握し、自信を持って遂行できるレベル」です。検定試験は「資産」「決算」「税務」「資金」の4つの分野から出題され、実務レベルに応じて評価されるようになっています。
公式サイト 経済産業省 経理・財務人材育成事業公式サイト「FASS検定」
給与計算実務能力検定試験
給与計算業務には、社会保険の仕組みや労働法令、所得税・住民税など、幅広い知識が必要です。
給与計算実務能力検定試験は、給与計算業務の知識・実務能力を判定し、給与計算業務のエキスパートとして認定する試験です。
試験は2級と1級があり、2級に合格すれば、「実務上の基礎となる労務コンプライアンスを正しく理解し、基本的な給与計算や、給与明細を作成できるレベル」という証明になります。
また、1級に合格すれば「労働法令や税務について正しく理解し、年末調整を含め年間を通じて給与計算に関する全ての業務に精通したレベル」を証明できます。
公式サイト 一般社団法人 実務能力開発支援協会「給与計算実務能力検定試験とは」
経理の転職を成功させるための4つのステップ
経理の転職を成功させるには、注意しておきたい4つのポイントがあります。
1つずつ紹介していきますので、転職を成功させるための参考にしてください。
ステップ1:他業界も含めて幅広く求人探しを
経理は人気が高い仕事なので、経理の転職希望者に対して求人数が少なく、競争率が高くなりがちです。
基本的には欠員を補充するための求人なので、少ない枠を手に入れるために多くの人が争うことになります。
経理の転職を成功させるには、1つの業界にこだわらず、他業界も含めて幅広く探しましょう。
ステップ2:業種研究は徹底的に
経理は経営層の近くで働くため、会社や業界全体の知識が必要です。
転職を成功させるためには、業種研究を徹底的におこなっておきましょう。
また、業種が異なると業務内容や必要な知識・スキルが異なります。
業界特有のお金の流れや決算管理の方法なども面接前までに学んでおきましょう。
ステップ3:必要な資格を取得する
経理はスキルを客観的にアピールするのが難しいため、どの程度のスキルがあるのか伝えられるように、必要な資格を取得しておきましょう。
先ほど4つの資格をご紹介しましたが、中でも日商簿記検定2級は経理担当者の定番ともいえる資格です。
1級のように難易度が高くないため、比較的取得しやすいと言えます。
FASS検定は、A評価やB評価をもらえたら実務能力の高さを証明できます。
給与計算を担当している人なら給与計算実務能力検定試験を受験しておくのがよいでしょう。
公認会計士試験や税理士試験は難易度が高いため、しっかりと勉強時間を確保する必要があります。
難しい試験ですが、資格を持っていると高いスキルを証明できるため、転職で有利になる可能性大です。
ステップ4:転職エージェントに相談・応募
経理への転職を成功させたいのなら、転職エージェントの利用もオススメです。
どの会社にも経理の業務はありますが、企業によって社風や求める人材に違いがあります。
企業の内部情報を知らずに求人に応募すると、「経理の経験は十分なのになかなか内定がもらえない」とか「転職はできたけど、入社したら全然合わない」という事態になることも…。
転職エージェントは紹介する求人の企業についてそのような情報を豊富に持っています。
転職エージェントから
- 適正に合う企業の求人を紹介
- 求人に応じた応募書類の作成と面接対策のサポート
をしてもらうことができます。
登録も利用も無料でできるので、気軽に相談してみてください。
経理へ未経験から転職するためには
経理は専門スキルが必要な仕事なので、転職の際は実務経験が重視される傾向です。
しかし、未経験でも経理へ転職できるチャンスはあります。
未経験でも経理と近い職種の場合は可能性が高い
経理担当ではなくても、経理に近い業務をおこなう職種であれば、未経験でも転職できる可能性があります。
たとえば受発注や請求書発行、領収書発行などをおこなう営業事務、給与計算を担当している総務など、経験を経理で生かせる場合はアピールしてみましょう。
一般事務の経験は、経理転職の際に評価されることも
一般事務は、幅広い業務をおこなう事務職なので、基本的なパソコンスキルや文書作成経験などが経理転職の際に評価されることもあります。
経理未経験であっても、ある程度は簿記の勉強をしておくことで、転職に成功する可能性が高くなります。
第二新卒であれば経理への転職の可能性あり
第二新卒であれば、未経験であってもポテンシャルや、やる気を評価される可能性があります。
実際、第二新卒は違う業種や職種に転職する人も多いため、興味がある仕事に挑戦するチャンスです。
経理で求められる人物像にマッチするなら、経理への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
未経験でも資格はあったほうが良い
未経験でまったく知識がない人より、未経験でも資格を取得している人の方が有利です。
また、資格取得のための勉強をすることで知識が身につくため、実務についたときスムーズに理解できると採用担当者が期待してくれる可能性もあります。
【補足】経理と財務・会計の違いについて
お金に関わる業務には「経理」「財務」「会計」があり、似た仕事のように思えますが、次のような違いがあります。
- 経理…会計業務の1つで、日々のお金の流れを管理します。決算期には財務諸表を作成します。
- 財務…会社に必要な資金を調達する仕事で、銀行からの資金調達や予算管理などをおこないます。
- 会計…お金に関する管理全般をおこないます。
経理の転職に関するよくある質問
経理の転職に関するよくある質問をまとめています。経理の転職について疑問や質問があるかたはぜひご覧になってください。
経理の転職について まとめ
経理は専門のスキルを必要とする仕事なので、経理で転職を希望するなら資格はないよりある方が有利です。日商簿記検定(2級以上)と記載されている求人もありますので、スキルを証明するために取得しておくことをおすすめします。
また未経験から経理に希望する場合も日商簿記検定2級を取得しておけば、知識や意欲をアピールできるでしょう。
経理は実務経験が重視されますが、未経験でも転職可能です。転職エージェントを利用して、満足いく転職先を探しましょう。