ベンチャー企業へ転職に不安な人も憧れている人も必ず知っておきたい成功のポイント解説します
- 「ベンチャー企業へ転職して大きな組織の歯車から脱したい」と憧れている人
- 「うちのベンチャーに来ない?と誘われたけれどベンチャー企業に転職して大丈夫?」と不安に思っている人
- 「ベンチャー企業って実際にどんな会社なの」とベンチャー企業の内情をよく知らない人
この記事では、ベンチャー企業についてその実情を解説し、転職することのメリットとデメリットを紹介。
またベンチャー企業への転職に向いている人のタイプと失敗してしまう人のタイプも紹介します。
華やなイメージもあるベンチャー企業だが実際には大変なことも多いぞ。
この記事を参考にして、後悔しないベンチャー企業への転職を実現してください。
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
転職ノウハウだけではなくビジネス全般、キャリアアップ、独立起業、最新ビジネスニュースなどをお届け。
ベンチャー企業の定義について
大学発ベンチャー、学生ベンチャー、医療ベンチャー、ITベンチャーなどベンチャーと呼ばれる企業はたくさんありますが、実はベンチャー企業には明確な定義がありません。
そのため「ベンチャー企業へ転職」といっても人よってベンチャー企業の説明は若干異なります。
とはいえ一般的に説明に共通している特徴があります。
- 設立からあまり年数が経っていない若い企業
- 新しいノウハウや技術で大企業が進出しないような分野に商品、サービスなどの事業を展開する企業
- ベンチャーキャピタルのような投資機関から出資を受けている企業
ベンチャー企業は革新的なビジネスを展開する若い中小規模の会社というイメージです。
またリクルート、楽天、ヤフー、サイバーエージェント、DeNAなどのすでに大規模になった企業はメガベンチャーと呼ばれています。
これらの企業はベンチャー企業としてスタートした後に成長し、株式上場を経て大企業に成長した元ベンチャー企業です。
成長の段階の応じて4つに分類される
明確な定義のないベンチャー企業ですが、一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターはベンチャー企業を成長段階に応じて以下の4つに分類しています。
- シード
- アーリー
- エクスパンション
- レーター
分類の定義は以下の通りです。
ステージ | 定義 |
---|---|
シード | 商業的事業がまだ完全に立ち上がっておらず、研究および製品開発を継続している企業 |
アーリー | 製品開発および初期のマーケティング、製造および販売活動を始めた企業 |
エクスパンション | 生産および出荷を始めており、その在庫または販売量が増加しつつある企業 |
レーター | 持続的なキャッシュフローがあり、IPO 直前の企業等 |
ベンチャー企業は起業から数年で成長して、株式上場を目指します。
株式上場して大企業に成長すると、もうベンチャー企業ではなくなり、代わって「メガベンチャー」と呼ばれたりします。
「ベンチャー企業」と「スタートアップ」の違い
ベンチャー企業はスタートアップと似ているようで違う点があります。
そもそもスタートアップとは何かというと、こちらもベンチャー企業と同様に明確な定義がありません。
多くのスタートアップについての説明では、以下のような特徴が共通して挙げられています。
- 世の中の役に立つようなイノベーションを目標にしている
- 短期間に事業を拡大させて目標達成を目指している
- ベンチャーキャピタルのような投資機関から出資を受けている
- 創業してから数年までの企業
- 企業という形式がないものもある
スタートアップも最終的には株式上場やM&Aで出資者が利益を得ることを目標としています。一見するとベンチャー企業と似ていますが、以下の点で異なります。
- スタートアップは、世の中を変えるイノベーションを目標にしている
- スタートアップは、ベンチャー企業より短期間で事業拡大を目指している
- スタートアップは企業の形を取らないものもある
Googleやfacebookは、最初はスタートアップとして始まり、急成長して大企業になった代表的な事例です。
「ベンチャー企業」と「中小零細企業」の違い
ベンチャー企業は通常、中小規模の企業です。
それでは中小零細企業とベンチャー企業は同じなのでしょうか?
中小企業は、中小企業基本法で業種ごとに会社の規模が定められています。
業種 | 定義 |
---|---|
製造業・建設業・運輸業・その他 | 資本金の額または出資金の総額が3億円以下、並びに従業員300人以下 |
卸売業 | 資本金の額または出資金の総額が1億円以下、並びに従業員100人以下 |
サービス業 | 資本金の額または出資金の総額が5000万円以下、並びに従業員100人以下 |
小売業 | 資本金の額または出資金の総額が5000万円以下、並びに従業員50人以下 |
零細企業には定義はないのですが、一般的に中小企業基本法で定められている「小規模企業者」を零細企業と呼びます。
小規模企業者も業種別に規模が定められています。
業種 | 定義 |
---|---|
商業・サービス業 | 従業員5人以下 |
商業・サービス業以外 | 従業員20人以下 |
企業の規模という面で、多くのベンチャー企業は中小企業や零細企業に当てはまります。
だからと言って、新しい技術等を使った事業も行わず、投資機関からの資金を受けてもいないのに企業の規模が小さいというだけで「うちはベンチャー企業です!」と名乗っている会社は間違っている可能性もあるで注意してください。
人材を多く必要としているのはこのベンチャー
転職活動をしていると「ベンチャー企業は人手不足で人材を必要としている」とよく言われます。
しかし実際はどのベンチャー企業でも人材を必要としている訳ではありません。
ベンチャー白書2018によるとベンチャー企業は成長段階に応じて必要な人材の種類と数が変化していることがわかります。
上のグラフを見ると、多くの人材を必要としているのは、「アーリー」と「エクスパンション」のステージにあるベンチャー企業ということがわかります。
次に人材の種類で見てみると、「シード」と「アーリー」ステージの企業は最高執行責任者、財務の責任者、技術開発の責任者といった、責任者の人材を必要としているのが特徴的です。
技術開発の担当者は「シード」から「レーター」まで全ての段階で必要とされています。
そして営業・販売促進の担当者は「シード」「アーリー」「エクスパンション」3つの段階で必要とされています。
また「アーリー」と「エクスパンション」段階になると、人材ニーズが戦略・事業開発の担当者、海外展開・事業の担当者、それから財務・法務・総務の担当者に広がっていることもわかります。
ベンチャー企業への転職することのメリットは「成長」
ここではベンチャー企業への転職について4つのメリットを紹介します。
- 会社の成長を肌で感じることができる
- 仕事の進め方がスピーディ
- 社長のそばで仕事ができる
- 将来的に大幅な昇給やストックオプションで大きな収入を得ることも
ベンチャー企業は従来の日本企業にはないタイプの企業なので、とても魅力的かつ刺激的に見えます。
会社の成長を肌で感じることができる
ベンチャー企業は社員一人の裁量権が大きいので、仕事の成功も失敗も両方とも実感できる機会が多くあります。
成功や失敗を経験しながら、会社が成長しているという手応えを肌で感じることができるのはベンチャー企業で働くことの大きなメリットです。
仕事の進め方がスピーディ
ベンチャー企業にとって意思決定のスピードは競争力となるので、意思決定のプロセスが早いです。
大企業なら何日もかけて、何人もの上司に説明して、決裁印をもらってというプロセスが、ベンチャー企業ではあっという間にできてしまいます。
結果として、ベンチャー企業は仕事全般の進め方がスピーディです。
社長のそばで仕事ができる
ベンチャー企業は、基本的に社長を中心に少人数で仕事をするので、社長は身近な存在です。
日々、社長の経営手腕を目の当たりにして起業経営について学ぶことができます。
これは大企業ではなかなかできない貴重な経験です。
将来的に大幅な昇給やストックオプションで大きな収入を得ることも
ベンチャー企業が事業に成功して大きく成長すれば、将来的に大幅な昇給を期待できます。
また株式上場することができれれば、ストックオプションを行使してさらなる収入増を見込めます。
ベンチャー企業への転職のデメリットとは
ここではベンチャー企業への転職について5つのデメリットを紹介します。
- 各種制度が整っていない
- 勤務時間が長くなる可能性がある
- 社長ワンマン経営の会社も多い
- 資金繰りが厳しく倒産する可能性もあり
- 同世代より年収が低くなる可能性も高い
ベンチャー企業への転職を考えている方は、このようなデメリットもあることを理解した上で検討してください。
各種制度が整っていない
ベンチャー企業は設立からあまり時間が経っていないので、福利厚生、労務管理、人事・教育制度が整っていない企業が珍しくありません。
通常ベンチャー企業は福利厚生などを専門に担当する人材なしに会社をスタートさせています。
多くの場合、事業が軌道に乗るまでは、福利厚生、労務管理、人事・教育制度の充実に注力する余裕がないというのが実情です。
各種制度が整っていて何もしなくても担当部署が全て処理してくれるような企業から転職すると、とても不便に感じます。
勤務時間が長くなる可能性がある
ベンチャー企業は社員数が少ないのが普通なので、一人当たりの業務量や業務範囲が大きくなります。
会社が成長すればするほど、この傾向がさらに強くなっていきます。
その結果、ベンチャー企業の社員は残業時間が長くなりがちです。
社長ワンマン経営の会社も多い
ベンチャー企業の社長はクセの強い人が多いので、社員は社長との距離が近い分大変です。
社長と相性が良くないと悲惨です。
基本的に、ベンチャー企業は社長を中心として創業メンバーが仕事を進めていきます。
社長の人となりを受け入れられないと、一緒に勤め続けるのがツラくなってしまいます。
資金繰りが厳しく倒産する可能性もあり
ベンチャー企業は創業から1年目、2年目くらいまでは赤字状態のまま突き進んでいる会社が多いです。
なので、資金調達がうまくいかないと資金繰りが回らなくなり、最終的に倒産する可能性もあります。
数億円規模でベンチャーキャピタルから出資を受けることができたベンチャー企業でも、持つのは数年。
そのままサービスが立ち上がらず赤字が続き、株式上場の見込みがなくなれば出資金は回収されてしまいます。
ベンチャー企業は、経営の安定性に乏しいのがデメリットです。
同世代より年収が低くなる可能性も高い
ベンチャー企業へ転職すると、多くの場合年収は下がります。
創業から時間がたっていないベンチャー企業ほど資金に余裕がないので、社員の年収は低めに抑えられています。
とくに大企業からベンチャー企業に転職すると、年収は大きく下がることも。
転職した会社が急成長して経営が軌道に乗れば、数年後に前職の同期よりも年収が高くなる可能性もあります。
しかしながら転職後しばらくの間、前職の同期より年収が低い状態が続く可能性も当然あります。
ベンチャー企業への転職に向いているのはどんな人?
ベンチャー企業へ転職のメリットとデメリットから、ベンチャー企業ではスピーディに成長を実感しながら仕事できるが、成功する企業はわずかで労働環境はあまり良くないことがわかりました。
それでは、このようなベンチャー企業への転職に向いているのはどんな人なのでしょうか?
調べてみると、ベンチャー企業に向いている人には4つのタイプがあることがわかりました。
- 変化が好きな人
- 自分で積極的に動ける人
- 自分の担当以外でも複数の業務を行える人
- 自社のサービスが好きな人
変化が好きな人
変化が好きな人は、ベンチャー企業への転職に向いています。
ベンチャー企業は、誰もやっていない新しいことをしているので、変化を繰り返しながら事業を進めていきます。
事業を巡る環境が変化することもあれば、社長の思いつきで突然に方針が変わることもあります。
また企業自体もスタートしてから間がなく社内の制度が整備されていないので、人事制度もしょっちゅう変わり、昇給・降級などが不定期に発生します。
「様々な変化に対応できるし、ブレるのOK」と言えるくらい変化が好きな人なら大丈夫です。
自分で積極的に動ける人
ベンチャー企業には上司から部下へというきっちりとした指示系統がないところも多いです。
なので自分で考えて判断して仕事を進めることができる人が向いています。
わからないことは自分で勉強する、調べる、常に新しい解決方法がないかリサーチする、などという積極性を持っている人が向いています。
自分の担当以外でも複数の業務を行える人
ベンチャー企業の場合、技術担当や営業担当として入社しても、担当以外の業務を任されることが多いです。
担当業務をこなしながら他の業務も行える効率的かつ能率的な仕事さばきや要領の良さがある人が向いています。
もちろん、複数業務を担当することが苦にならないことも必要です。
自社のサービスが好きな人
これまで紹介してきたように、ベンチャー企業は勤務時間が長く、年収が高いわけでもなく、福利厚生などの制度も十分でなく、など良いことばかりではありません。
ベンチャー企業に向いている人は、これらのマイナス面があるにも関わらず、それでも自社が提供する商品やサービスが好きで、そのために働きたいという人です。
自社のサービスや商品が近い将来成功することを信じる思いがベンチャー企業のネガティブな面を上回っている人は、ベンチャー企業に向いています。
ベンチャー企業への転職で失敗してしまうのはどんな人?
残念ながら、せっかくベンチャー企業に転職できたのに、「こんなはずではなかった」と転職を後悔して仕事を辞めてしまう人がいます。
このような結果になってしまう人には主に3つのタイプがあります。
- ベンチャー企業に憧れをもっている人
- 前職との差に適応できない人
- 社長や社風と合わない人
ベンチャー企業に憧れをもっている人
ベンチャー企業に憧れを持っている人は、急成長している企業、誰もやっていない新しいことをしている企業、というベンチャー企業のプラス面だけに目を向けて転職してしまいます。
ところが実際転職してみると、ほとんどのベンチャー企業は労働時間が長くて給料が安いという職場環境に落胆することになります。
そして、これだけ頑張っても、成功するベンチャー企業はほんの一握りという現実を知ると、「この転職は失敗だったのでは・・・?」という思いに至ってしまいます。
ベンチャー企業への転職を考えるなら、メリットとデメリット両方に目を向けて検討しないと残念な結果になってしまいます。
前職との差に適応できない人
前職で、仕事は教えてもらうのが当然だった人、仕事は上司の指示に従ってしていた人、自分の担当業務以外は庶務担当者などにお任せだった人などが当てはまります。
このような人が、何でも自分で考えてやらなければならないベンチャー企業とのギャップに適応できないというケースがあります。
とくに大企業からベンチャー企業へ転職すると、このようなギャップがこたえます。
ベンチャー企業への転職活動を兼ねて、実際にベンチャー企業で働いている人たちの生の声をできるだけたくさん聞いて、前職との差に心の準備をしておかないと、「この転職は失敗だった・・・」と落胆することになります。
社長や社風と合わない人
社長や社風については、企業のホームページや求人情報だけではわかりにくいためか、転職してから社長や社風に合わなくて辞めてしまう人もいます。
たとえば社長が学生起業家出身だと、社会人の常識が通用しない社風かもしれません。
また創業メンバーが全員技術者の専門家集団だったりすると、仲間に入りにくい社風の可能性もあります。
ベンチャー企業は社長を中心とした規模の小さい組織なので、社長や社風をポジティブに受け入れられないと「この会社は合わない。」という結果になってしまいます。
簡単ではありませんが、社長や社風について転職前にできる限り調べておかないと、転職失敗の原因になります。
ベンチャー企業へ大企業から転職するのはオススメ?オススメしない?
安定した年功序列よりも実力主義のベンチャー企業で働きたい、と大企業からベンチャー企業への転職を希望する人がいます。
ベンチャー企業は、大企業と異なり「平成〇〇年入社」という概念もない世界なので、転職したら年下がリーダーということもありえます。
本当にベンチャー企業へ大企業から転職するのは本当にオススメなのでしょうか。
ぜひこの記事で紹介したベンチャー企業のメリットだけでなくデメリットについてもよく検討してください。
これだけのデメリットがあるにも関わらず、転職希望先の事業が好きで成功を信じることができるなら、転職しても大丈夫です。
「安定よりも・・・」と考えるのは簡単ですが、成功できるのは一握りというベンチャー企業の世界に身を投じるには強い熱意と信念が必要です。
ベンチャー企業への転職に関するよくある質問
ベンチャー企業への転職でのみんなの悩み・よくある質問をまとめています。
ベンチャー企業へ転職について まとめ
ベンチャー企業の労働環境は決して良いものではなく、成功するベンチャー企業はほんの一握りと言われています。
成功するかどうかわからない会社への転職にリスクがあるのは確かです。
変化OKの人、自分で考えて動ける人、一人で複数の業務を行える人、転職先の商品やサービスが好きな人ならベンチャー企業へ転職が向いています。
ベンチャー企業への転職を考えているなら、まず、「ベンチャー企業とは何か?」ということを理解してから、転職のメリットとデメリットを比較検討してください。