2020年外出自粛が続く中で、消費行動に変化が起きています。
これまで外食中心だった人が在宅での食事に切り替えるようになったり、これまで学校で給食を食べていた子どもが家で昼食を食べるようになっています。
こうした変化を受け、テイクアウトサービスを始める飲食店が増えています。
それに伴うようにしてタクシー会社も新しいサービス「タクシーデリバリー」の取り組み始めています。
飲食店と提携したタクシー会社が提供するサービス「タクシーデリバリー」とはどのようなものなのでしょうか。
各社の取り組みについてご紹介します。
コンサル山田日本中のタクシー会社が「タクシーデリバリー」を続々とはじめているぞ。今回有名どころを紹介する。
札幌の出前タクシー「食べタク」
| 主な対応エリア | 北海道札幌市 |
| 提携タクシー会社 | 東邦交通株式会社 |
| 公式URL | https://tabetaku.jp/ |
観光客の激減などで売り上げ減少にあえぐ、札幌市内のタクシーと飲食店を結びつける救済事業として、「食べタク」サービスの実証実験が始まりました。
飲食店のテイクアウトメニューを、タクシーがデリバリーを代行するというサービスです。
「食べタク」の背景
外出自粛のため、三食すべてを自宅で食べる人が増えています。
飲食店は作った料理をなんとか消費者に届けたいところですが、新たにデリバリーの人員を用意するのは難しいことです。
そこで乗客数が減少しているタクシーが、各飲食店のデリバリーを代行するというアイデアが生まれました。
タクシーの配達手数料は「救援費」と呼ばれ、800円のサービス料を飲食店300円、ユーザーが500円をもつ形になります。
「食べタク」の利用方法
ユーザーは電話、LINE、メールで飲食店に注文をし、同時にタクシー会社に飲食店名と商品受け取り時間を連絡します。
タクシードライバーは飲食店に現金による代金引換と商品受け取りをします。
タクシードライバーが到着したら、ユーザーは商品の受け取りと現金による代金支払いをします。
「食べタク」のサービス利用可能期間
2020年5月1日からサービス開始し、外出自粛要請が収束まで行われる予定です。
福島市のデリバリーサービス「ぐるっとフード」
| 主な対応エリア | 福島県福島市 |
| 提携タクシー会社 | 北福島タクシー |
| 公式URL | https://www.gurutto-fukushima.com/contents/tax-deri/ |
福島市の飲食店の料理を、北福島タクシーがデリバリー代行するサービスです。
「ぐるっとフード」の背景
地域ポータルサイトを運営する「ぐるっと福島」が北福島タクシーの社長さんに相談を持ち掛けたのがきっかけでサービス開始。
客減少に困っている飲食店を助けることができるだけでなく、タクシードライバーの雇用にもつながるということで実現しました。
「ぐるっとフード」の利用方法
ユーザーはサイトでお店と商品を選び、お店に直接電話をして注文します。
注文する際に「タクシーデリバリーで！」とお店側に伝えます。
タクシードライバーが注文品を宅配した際、ユーザーは商品の代金（現金のみ）とタクシー代（現金・各種QR決済可）を支払います。
「ぐるっとフード」のサービス利用可能期間
2020年4月22日からスタートしており、タクシー会社の発表では「サービスは期間限定」とだけ明記されています。
タクシー会社によるデリバリー代行業は国土交通省によって特例として認められたものでました。当初特例措置は2020年5月13日までという期限でしたが現在2020年9月末まで延長しています。
長崎市の「おうちがレストラン～テイクアウト長崎」
| 主な対応エリア | 長崎県長崎市 |
| 提携タクシー会社 | ラッキータクシー、エキマエタクシー、他6社 |
| 公式URL | https://take-out-nagasaki.com/ |
「おうちがレストラン～テイクアウト長崎」のサイトに掲載されている飲食店のテイクアウトメニューを、タクシー会社がデリバリー代行するサービスです。
「おうちがレストラン～テイクアウト長崎」の背景
テイクアウトを始めても、外出自粛で店に行きづらいといった問題もあり、店側もデリバリーに人員を割く余裕がない状況でした。
そんな中で飲食店仲間に相談を持ち掛けられた長崎市内のピザ店オーナーが、「デリバリーは運転のプロに任せてみては」と発案したのがきっかけです。
同じく収入減に悩むタクシー会社が、飲食店と外出自粛をしている人をつなぐ試みとしてサービスが開始されました。
「おうちがレストラン～テイクアウト長崎」の利用方法
「おうちがレストラン～テイクアウト長崎」に掲載されているお店に直接電話で注文します。
注文する際に「タク取り希望」と伝えます。
注文した品をタクシーが宅配してくれるので、タクシー料金と商品代を支払います。
お店がオンライン決済に対応している場合は、タクシードライバーへの支払いはタクシー利用料金のみになります。
その他の地域でもタクシーデリバリーが続々と開始！
今回ご紹介した事例の他にも、各地域で様々な試みがされています。
都内でも日本交通が有名レストランのデリバリーを開始し、自宅にいながらにして極上の味を楽しむことができるようになりました。
横浜市では各地域ごとのテイクアウト＆デリバリーが可能な店名を横浜市の公式サイトで紹介しており、鶴見区では東宝タクシーが飲食店と客をつなぐデリバリーサービスを開始しました。
東宝タクシーではテイクアウト商品のデリバリー代行だけでなく、「救援タクシー」という食料品や日用雑貨、処方箋を薬局などに届けたり、また受け取りをするといったサービスも行っています。
外出自粛でスーパーなどに行くのも困難な人にとって、嬉しいサービスですよね。
三重県四日市市では名鉄四日市タクシーが「便利屋タクシー」という買い物代行・デリバリー代行サービスを開始しました。
同様に、福井交通の「おつかいタクシー」（他、三和交通、奈良近鉄タクシー、kmタクシーなど多数）など、代行サービスは全国に拡がりをみせています。
タクシーデリバリーの新たな可能性に今後も注目！
以前より、ネットスーパーや食材の宅配サービスはありましたが、デリバリー業も自社で用意できることが前提でした。
今後はタクシー会社との提携により、個人経営のお店でもデリバリーが可能になりました。
外出を自粛している人に対してだけではなく、疲れた時や、育児・介護中で思うように買い物ができない人の強い味方となりそうですね。
生まれた需要を上手く取り込むことに成功したタクシー会社。
今後も新しい可能性に注目が集まっています。
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