「トップダウン」の意味と「ボトムアップ」との違いは?トップダウン企業のメリット・デメリットも解説
「トップダウン」とは、企業の「トップ」である会長・社長などの上層部が決めたことに従って下部の現場が動く、という企業経営における意思決定の方法です。
よく使われる言葉ですが、中には対義語の「ボトムアップ」との違いがよくわからず誤用してしまう人もいます。
今回は「トップダウン」の正しい意味と、トップダウン企業のメリット・デメリットをおさらいしておきましょう。
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
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「トップダウン」の意味
トップダウンはネガティブなイメージを持たれることもありますが、合理的かつ組織の一致を強める管理方式であるとも言えます。
語源や意味を理解し、「トップダウン」の理解を深めましょう。
「トップダウン」の意味
「トップダウン」の語源は英語の「top-down」です。
上層部が意思決定を行い、その指示通りに下部組織が動くことで、混乱が生まれず業務が円滑に遂行されます。
トップダウン方式により目標・やるべき事がはっきりするため、企業が一丸となって進むことができます。
しかしトップダウン方式を取っていても、命令ばかりで理由を説明しなかったり、下部の意見を無視した命令を繰り返していると、不満が募り会社の結束力が弱まってしまいます。
「トップダウン手法」の意味
企業が意思決定の方法に「トップダウン」を採択するとき、「トップダウン手法をとる」ということもあります。
また、「トップダウン」という言葉は、業界によって意思決定の方法という意味とは別の意味で使われています。
製品設計や建築設計などの分野では、全体のレイアウトを決めてから細部を決めていく設計方法を指します。
IT業界では、システム開発にて全体の枠組みを決めてから細部の使用を決めていくシステム設計の方法を「トップダウン設計」と呼んでいます。
「トップダウンテスト」は上位モジュールから初めて下位モジュールへ順に結合していくテスト方式です。
「トップダウンマネジメント」の意味
「トップダウンマネジメント」は、上層部がトップダウンの方式で組織マネジメントを行うことを指します。
トップダウンの持つメリットを最大限に活かし、企業の目標達成・人材育成・情報管理などを行うことが求められます。
「トップダウン」と対義語「ボトムアップ」の違いをおさらい
トップダウンの対義語の「ボトムアップ」は、下部である現場からの意見・アイデアを基に上層部が意思決定を行う方法を指します。
現場の意見を聞くゆえに、現実的な戦略を練ることができるだけでなく、多様なアイデアが生まれます。
また社員1人ひとりに企業の一員としての意識が生まれ、向上心が高まるというメリットもあります。
しかし多様なアイデアがあるゆえに団結力が弱まりやすく、決定までの時間もかかるため目標達成までのスピードが遅くなるというデメリットがあります。
「トップダウン」の例
大手企業の中でトップダウン企業として知られているのは、
- ユニクロ
- SUMSUNG
- 楽天
などです。
ユニクロ社長のインタビューや社員満足度を見ると、トップダウンのメリットを活かしつつ社員とのコミュニケーションを円滑に保っていることがわかります。
「ボトムアップ」の例
トヨタの豊田社長は、自社の動画サイト「トヨタイムズ」の中で、トップが下に降りて現場の声を聞くことの重要性を語っています。
目標を達成するために社員と足並みを揃える、という手法を取っているゆえに、企業としての力を保ち大手であり続けているのですね。
類義語「ミドルアップ・マネジメント」とは
もうひとつ混同に注意したいのが、「ミドルアップ」という言葉です。
「ミドル」とは、経営幹部や管理職などの「トップ」と「ボトム」の中間に存在する層を指します。
ミドルアップ・マネジメントとは、中間層がトップとボトムの架け橋となり、主体的に動いて企業の目標達成のために働くことを指します。
なかなか理解されない現場の声をトップに届けるとともに、命令だけでなくトップの思想を現場に届けることで組織が一丸となるのを助けます。
「トップダウン」の使い方・例文
トップダウンの意味は理解できましたが、実際に会話で使う場合にはどのように使えるのでしょうか。
例文を見てみましょう。
「トップダウン」の例文
- 相手企業はトップダウンだから、この企画は通らないだろう
- 君の会社はトップダウンと聞いているけれど、大変じゃない?
- トップダウンなのだから、割り切って業務を遂行しよう
- うまくいかなかった場合、トップダウン経営の企業だから上層部が責任を取るだろう
「トップダウン」を使うときの注意点
トップダウンにはメリット・デメリットがありますが、「ワンマン」「現場を無視する」といったネガティブなイメージを持っている人が多いのも事実です。
ただ「あの会社はトップダウンだ」と評価しただけでも、その会社の経営方針を否定していると捉えられるかもしれません。
個人的な会話以外で「トップダウン」を使う際には、相手への批判にならないように注意しましょう。
「トップダウン」を言い換えるなら「上位下達」
「トップダウン」を日本語で言い換えると、「上意下達」となります。
ちなみに「ボトムアップ」を日本語で言い換えると、「下意上達」です。
「上意下達」の使い方を詳しく見てみましょう。
「上位下達」の使い方
- 今年度は上意下達を徹底します
- 上意下達がスムーズにいけば、現場のストレスも軽減するはずだ
- 上意下達の社風が合わないようだ
「トップダウン」は英文で使ってもOK?
「トップダウン」の語源は英語なので、英文中でトップダウン(top-down)を使うことができます。
「トップダウン計画」は「top-down plan」、「トップダウンの意思決定」は「top-down decision-making」となります。
企業が「トップダウン」であるメリット・デメリット
「トップダウン」に関しては様々な意見があります。
就職・転職の際に賢い会社選びをするために、また経営方針を決定するときには、「トップダウン」に関するメリット・デメリットを正しく理解しておく必要があるでしょう。
まずは「トップダウン」と「ワンマン経営」の違いを見てみましょう。
「トップダウン」と「ワンマン経営」は違う
「トップダウン」と「ワンマン経営」は異なります。
「ワンマン経営」は経営者が自分の判断だけで経営方針を決定し、独裁的な意思決定をするのが特徴です。
「トップダウン」の場合は、経営者が経営陣と相談して、上層部の意見としての決定を行います。
トップダウンの会社の中にも、社員の意見を尊重している会社はたくさんあるため、ワンマン経営と混同しないようにしましょう。
「トップダウン」の会社のメリット
- 会社に連帯感が生まれる
- 決定、実行がスピーディー
- 大胆な方向変換も可能
信頼できて人望のあるトップであれば、下部組織からの不満も生まれず会社が一体となることができます。
決定に時間がかからないため、利益率の高い事業・プロジェクトにすぐに取り掛かることができ、企業の成長も早くなります。
「トップダウン」の会社のデメリット
- 社員の不満が募る
- トップの能力によっては会社を危険にさらす
- 現場の課題、クレーム等が反映されにくい
下部が「トップが意見を聞いてくれない」と思うと、社員は不満を抱いたり、「指示待ち」状態になってしまいます。
トップと下部とのズレが大きくなるほど、会社の連携が弱くなります。
トップダウン まとめ
「トップダウン」とは、「トップ」である会長・社長などの上層部が意思決定をし、それに基づき下部の現場が動く、という企業経営における意思決定の方法のことです。
対義語である「ボトムアップ」は下部である現場からの意見・アイデアを基に上層部が意思決定を行う企業経営における意思決定の方法を指します。
「トップダウン」にはメリット・デメリットがあり、メリットを活かすことができれば企業内に連帯感が生まれます。
デメリットとして注目されることが多いですが、独裁的な経営をする「ワンマン経営」とは異なるため注意しましょう。
「トップダウン」を正しく理解し、会社選びやビジネスシーンでの会話に役立てましょう。
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