「ニッチ」の意味やビジネスシーンでの使い方・語源を解説
ビジネスシーンで「ニッチ」は「すき間」という意味で使われます。
本記事ではニッチという用語について本来の意味や例文、実際にビジネスシーンで使われるニッチという用語の意味等ニッチという用語について一挙にご紹介します。
この記事で伝えたいこと
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
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ニッチって何?
それではまずニッチという用語の本来の意味を見ていきましょう。
ニッチとは英語で「niche」と書く
ニッチとは英語で「niche」と書き、「すき間」や「適所」という意味です。
理由としてニッチの語源である「niche」が西洋建築用語で「壁面のくぼみ」を指していることから来ています。
そして適所は「壁面のくぼみにオブジェを飾るイメージ」から加わった意味合いです。
日常では「マニアック」「ちょっと変わっている人」を指すこともある
上記で「ニッチとはすき間という意味である」と紹介しましたが、日常でたまに「あの人ってニッチよね」と使う人がいますが「え?あの人ってすき間ってどういうこと?」となりますよね。
実は日常でニッチとは「マニアック」「ちょっと変わっている人」を指す意味合いもあるのです。理由としてすき間という本来のイメージから「小規模で盲目的」という風な意味合いを持つようになり、結果的に「マニアック」「風変り」というイメージで使われることもあるのです。
【業界別】ニッチの意味と例文
次はニッチという用語の意味を業界別で説明、そしてよく使われる例文もご紹介します。
建築業界でのニッチは「くぼみ」
建設業界でのニッチとは「くぼみ」という意味です。
主に建物の一部をくぼませて作り出す空間のことを指しており、間接照明用として取り入れられたり橋やトンネルの脇に設けられている退避空間のことを指しているケースもあります。
例文としては「家の玄関にあるニッチに花瓶を置く」→「家の玄関にあるくぼみに花瓶を置く」という風に使います。
ビジネス用語でのニッチは「すき間」
ビジネス用語でのニッチは「すき間」という意味です。
例えば企業自体の規模が小さく大企業がターゲットにしていない市場を「ニッチ市場」と呼んだり、まだ誰も手を付けていない分野を「ニッチ産業」と言ったりもします。
もっと詳しく説明するとそこまで人気はないけれど一定数から需要がある商品や、今あるサービスや商品でカバーできていない「すき間の部分」を指す時に使うのです。
例文としては「あの企業はニッチ産業に目を付けたことで結果的に売り上げが増加した」→「あの企業はまだ誰も手を付けていない分野に目を付けたことで結果的に売り上げが増加した」という風に使います。
生物学用語でのニッチは「生態的地位」
生物学用語でのニッチは「生態的地位」という意味です。
生態的地位とは「適応した特有の生息場所」のことで、例えばアマゾンでも昼間は猿や鳥が活動していますが夜はナミチスイコウモリ(通称血吸いコウモリ)等の夜行性の生物が活動しています。
このように生物は自身が生きて繁栄していくために適した環境を求めるものですが、そのエリアに多くの生物が存在する場合は生存競争で勝ち抜いたり、エリア内で棲みつく範囲を分けることで繁栄させていくのです。以上を踏まえて生物ごとに適応した生態的な役割や位置のことをニッチと呼ぶのです。
例文としては「あの生物はエリア内で棲み付く範囲を分けることでニッチを獲得している」→「あの生物はエリア内で棲み付く範囲を分けることで生態的な役割と位置を獲得している」という風になります。
実際にビジネスシーンで使われるニッチ4選
次はビジネスシーンで使われるニッチについて注目していきます。
ニッチ市場
ニッチ市場とは先ほども紹介した通り「企業自体の規模が小さく大企業がターゲットにしていない市場」という意味や「市場全体の一部を構成する特定の需要がある市場」のことを指しています。
例えば最近だとヴィーガンと呼ばれる方々が増えており、その方達のためにオープンしたレストランやヴィーガン仕様のアパレル等はヴィーガンの方からは需要が高いですが、誰しも興味を持つわけではないでしょう。以上のように大きな市場の中で特定からの需要が多く、ほかの市場と差別化できる市場のことをニッチ市場と言うのです。
ニッチャー企業
ニッチャー企業とは市場自体は小さいけれど特定の領域で地位を築いて成功している企業のことを指しています。
例えば車メーカー「スズキ」もこのニッチャー企業として知られており、軽自動車という領域に特化したことで成功している企業です。
その他にもパン業界で有名な「株式会社乃が美」は高級生食パンに特化することで、数多くのパンを安く販売するパン屋との経営戦略の差別化を図って成功しているニッチャー企業と言えます。
ニッチ商品・ニッチ製品
例えば毎年3月~4月に需要が増えるランドセル等の子供用品は、常に誰もが必要な商品ではないですよね。その他にも何かのスポーツで必要なスポーツ用品も特定のニーズにとっては必要でも、そのスポーツをしない方にとっては全く興味のないものです。
以上のように、特定のニーズや客層にとっては需要があるものをニッチ商品・ニッチ製品と言います。
グローバルニッチトップ
グローバルニッチトップとは特定のニッチな分野に特化することにより国際市場で競争優位を確保している優良企業のことを指しています。
例えば有名ブランド「グッチ」はバッグや洋服等、幅広い分野で世界を相手に仕事をしており、事実グッチというブランドは世界でもよく知られるブランドです。
他にも「ブラウン」や「ダイソン」も小さな市場から世界的に展開して現在に至ります。
ニッチ戦略は「競合せずして独自の地位を獲得する」
ここまで紹介したビジネスシーンで使われるニッチを総合すると、ニッチ戦略は他の企業と被らないため高い収益が期待できる点や大手の強豪との競争を避けやすいというメリットがあります。
もちろんニッチ戦略にもデメリットと呼べるものはありますが、強豪と戦わずして独自の地位を獲得できるニッチ戦略は「賢い」と考える方も多いです。
しかし大多数の需要があるわけではないニッチ市場等は、特化させる領域を間違えれば成長は見込めません。そのため今、人々はどんなニーズを求めているのかを見定める目が必要ですね。
ニッチに似ている用語
次はニッチに似ている用語について2つの用語をご紹介します。
ブルーオーシャン
ブルーオーシャンとは競争相手のいない未開拓市場のことです。逆にすでに開拓された市場で複数の企業が競争状態にある市場を「レッドオーシャン」と呼びます。
こう見ると先ほど紹介したニッチ市場と似通ったイメージがありますが、確かに競争をせずに独自の地位を獲得する!という点は同じですね。
しかしこの2つの大きな違いは「既に一定数から需要を得て認知されている市場」か「全く認知度がなく自らその市場を開墾していく市場」という違いがあります。
ロングテール
「販売数量曲線の特徴」のことでロングテールとは全体的な売り上げに対して売れ筋の人気商品よりもニッチな商品が占める割合が大きい」ということです。
ニッチ商品ということは大勢の人々から需要があるわけではないが特定の層から需要が高い商品のことでしたね。例えば釣り道具も釣りをする人にとっては需要が高い商品ですが釣りと何ら関係ない人生を送っていれば全く必要のない商品と言えます。以上のようにニッチな商品が全体的な売り上げを見た時に売り上げを占める割合が大きいことをロングテールと呼ぶのです。
ビジネスシーンでニッチを使うタイミングと間違った使い方
最後にビジネスシーンでニッチを使う場面と間違った使い方をご紹介します。
ニッチは商品のアイディアやマーケティング戦略を話し合う会議等の場面で使う
ニッチをビジネスシーンで使う場面は「商品のアイディアやマーケティング戦略を話し合う会議等」です。
例えば「あの企業はニッチ戦略が功を奏して結果的に売り上げが増加しているようだ」「わが社の看板商品を知っている方は少ないが、ニッチ分野では一定数以上のユーザーから需要が高い」という風に使います。ではニッチの間違った使い方はどのようなものでしょうか。
ビジネスシーンにおいては、商品のアイディアやマーケティングの戦略を話し合うときに使います。
ニッチな市場を狙うのはやめるべきだ
この例文を見るとニッチをネガティブなイメージで使っているように感じますね。ニッチという言葉自体、ネガティブな意味合いは全く持ち合わせていないためこのような使い方はNGです。
良い使い方として「我が社がニッチな市場へ参入しても既に同様の商品で需要を得ている企業があるため、やめておこう」という言い方ならばしっかりと意味が通ります。
例えば先ほど紹介したニッチ商品であるランドセルの市場へこれから参入したとしても既に数社の企業が参入していますし利益を上げられる可能性はありませんよね。
一部のニッチ(マニアック)な人からは受けるかもしれない
ニッチという用語は「個性的」「独創的」というイメージが強く、たいしてマニアックは同じく個性的ではありますが「あまり周囲から理解されないような深くまで突き詰める」というイメージです。
そのため、マニアックという用語は「人としてちょっと周りとは変わっているよね」という時に使います。そのため「あの人、本当アイドルに関してマニアックだよね」ということは「あの人本当にアイドルのこと深く知ってるよね。あそこまで熱中できるってある意味変わってるよね」というような使い方をします。
逆に「あの人ニッチだよね」ということは「あの人本当に個性的だよね」という意味合いで使うため、ニッチとマニアックを混同して使うとニッチの意味を知っている方からすれば「何言ってるんだろう」と思われる可能性があるため注意してくださいね。
ニッチについて まとめ
本記事ではニッチという用語についてご紹介しました。ニッチはビジネスシーンだとよく使われる用語です。そのため覚えておいて損はありません。
しかし本来の意味は同じでも業界によって使い方が違うため、業界によっての意味合いをしっかりと理解してから使うようにしてくださいね。
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