「ファクト」の意味とは?シーン別の使い方や意味・例文を解説
「ファクト」は「真実」という意味の言葉ですが、ビジネスシーンでは「事実確認が取れている情報」という意味で使われます。
「ファクト」の正しい使い方や「ファクトベース思考」「ファクトチェック」などの関連語についておさらいしておきましょう。
この記事で伝えたいこと
「エーマッチ」編集長。
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「ファクト」の意味は「事実」
「ファクト」は「事実」という意味の言葉ですが、使われるシーンにより意味が異なるため注意が必要です。
シーンごとの意味を確認しておきましょう。
ビジネスシーンでの「ファクト」の意味
ビジネスシーンで「ファクト」は「事実確認が取れている情報」という意味で使われます。
ただデータを調べるだけでなく、データが信頼できるという証拠・裏付けが取れているものでなければ「ファクト」とは言えません。
例えば、個人の意見や主観的な発言はファクトではありません。しかし信頼できる情報に基づいた発言であれば、ファクトと言えます。
さらに、ただ数値のみをまとめた資料はファクトとは言えません。しかしそれぞれの調査の信頼性を確認し、信用できると判断したものだけをまとめた資料であれば、ファクトと言えます。
使用例
- その発言はファクトですか?
- この資料はファクトです。
ビジネス以外での「ファクト」の意味
ビジネス以外で「ファクト」を使う際には、「事実・実際に起こったこと」として用いられます。
「ファクト」という言葉が意識されるようになった背景に、インターネットにより偽の情報(フェイク)が広まりやすくなったことが挙げられます。
膨大な情報にさらされている私達は、目の前の情報がファクトかフェイクかを判断していく必要があります。
そのため、「実際に起こったことなのかどうか」と考える機会が多くなり、「ファクト」を日常会話やニュースでも多く耳にすることになりました。
使用例
- この事件はファクト(本当に起こったこと)です。
「ファクト」の語源・由来
「ファクト」の語源は英語の「fact」です。
「fact」は「事実・現実・実際」といった意味を持つ言葉です。
語源はラテン語の「facere」(作る)だと言われています。
もともとは「なされたこと」という意味があった言葉が、起こったこと=事実として使われるようになったようです。
「ファクト」「fact」の発音
「fact」の発音記号は「fǽkt」(ファ・ク・トゥ)です。
カタカナ語の場合は「ファ」を少し強く読みますが、基本的にはアクセントなしでOKです。
「ファクト」の例文
なんとなく使ってしまいがちな「ファクト」ですが、例文を見ながら正しい使い方をおさらいしておきましょう。
まずはビジネスシーンで多用される「ファクト」の関連語をご紹介します。
「ファクト」の関連語
・ファクトベース思考
ファクトベース思考とは、事実に基づいて考え、結論を出す思考法を指す言葉です。
主にコンサルティング業界で基本となる思考法で、「ロジカルシンキング(論理的思考法)」と合わせて用いることで説得力が増すと言えます。
事実とデータを検証して改善のために動く…という思考法ができていれば、ビジネスのどの分野においても役立つでしょう。
・ファクト認識
「ファクト」を「認識」すること、つまり情報やデータを真実かどうか認識することです。
「彼はファクト認識について理解できていない」など、認識力について使われることが多いです。
・ファクトチェック
情報の真偽を確かめるための「真偽検証」「検証行為」を表す言葉です。
最近では大手新聞社各社でもファクトチェックとその結果を公表しており、情報の正確さに関する関心が高まっていることがわかります。
・ファクトシート
ファクトシートとは、事実に基づく情報をまとめた資料を指す言葉です。
企業のファクトシートとは、その企業の現在の状況や戦略・将来性等の情報を記したものを指します。
食品業界におけるファクトシートとは、リスク評価機関の評価結果等の情報を元に食品安全委員会が作成する、食品安全に関する概要書です。
同様に、特定の商品、製品に関する安全性をまとめた概要書もファクトシートと呼ばれます。
不動産業界におけるファクトシートとは、接道状況や設備等の土地情報をまとめた資料を指します。
※ファクトシートの作り方
ビジネスマンであれば、自社の製品やサービスについてファクトシートを作成する機会があるかもしれません。
ファクトシートで魅力を伝えることができるなら、メディアに取り上げてもらえたり企業のイメージアップにつながったり…といった効果が期待できます。
ファクトシートを作成する際には、
- 会社概要
- トップの紹介やストーリー
- 製品の特徴・魅力等
- 業界動向データ
の基本情報のほかに
- 他製品との比較情報
- ニーズに合わせた企画
等を入れると魅力が増すと言えます。
説得力を増すためにも、企画力と確かな情報収集が必要です。
・ファクトブック
ファクトブックとは、企業がメディア向けに自社の特徴や魅力をまとめた資料のことです。
メディア向けの情報のため、取材したいと思ってもらえるような魅力的な内容である必要があります。
データや数値を正直に記すことが基本ですが、加えて企業イメージを伝えるためのグラフィックも重要となります。
・ファクトフルネス
「ファクトフルネス」という本の著者であるハンス・ロスリング(他)さんが作った造語ですが、本がベストセラーとなったことで「ファクトフルネス」という言葉も一般的になりました。
意味は「データ・事実に基づいて世界を読み解く習慣」で、先入観を排除してデータから世界を分析することを提唱しています。
「ファクト」の例文
- このデータはファクトに基づいたものです。
- 資料に乗せる前にファクトをとって下さい。
- ファクトに基づいた提案ですので、ご検討ください。
- マーケティングにおいてファクトベース思考は基本だ。
「ファクト」を上司・取引先に使う場合
ファクトを確認するのはビジネスマンにとって基本ですが、「これはファクトですか?」と聞くことは相手を信頼していない響きがあるため、目上の人に使う際には注意しましょう。
「事実の確認をさせて頂きたいのですが」
「ご確認の方お願いします」
などと一言添えると良いでしょう。
「ファクト」をメールで使う場合
社内メールであれば、「ファクトチェックをお願いします」などと使うことができますが、社外メールの場合は「事実確認」と言い換えた方が失礼にあたらないでしょう。
「ファクト」の間違った使い方
「ファクト」はビジネス用語として一般的になりましたが、「これってファクトと言えるのだろうか…?」と悩むことはないでしょうか。
よくある間違いとして、「ファクト」と「意見」を混同してしまうことがあります。
「ファクト」と「意見」の違いは、「事実であると確認できるかどうか」であると言えます。
例えば「A地区にはテイクアウトコーヒー店のニーズがある」というのは「意見」です。
「A地区にはテイクアウトコーヒー店がない」
「A地区の居住者の多くは若年層である」というのは「ファクト」です。
「収益化が見込める」「改善が必要である」などの意見を「ファクト」として使ってしまうと、意見と事実の区別ができていないと見なされ、ビジネスマンとして信用を失ってしまうかもしれません。
何となく意見を言うのは避け、事実確認をしたもののみを「ファクト」として使いましょう。
「ファクト」と「エビデンス」の違い
「ファクト」と間違えやすい類語に「エビデンス」があります。
「ファクト」と「エビデンス」の違いをおさらいしておきましょう。
「エビデンス」は論証の証拠
「エビデンス」は「証拠」という意味の言葉ですが、ビジネスシーンでは論証の裏付けとなるデータ等を指して使われます。
何らかの論証・主張とセットで使われる言葉、ということですね。
例えば「Aさんは〇月〇日出社した」という情報はファクトですが、何かの論証の裏付けにならない限り「エビデンス」ではありません。
Aさんが出社したことを証明するタイムカードや電車の切符などは、出社したという事実(ファクト)の「エビデンス」となります。
「ファクト」と「エビデンス」使い分け例
ビジネスシーンでの「エビデンス」は調査結果、議事録などを指して使われます。
それと比べて、「ファクト」は議事録等に対しては使われません。
「エビデンス」を使用した例文
- エビデンスとなる調査結果は次のページにあります
- エビデンスとなる情報収集に時間がかかっている
- 会議のエビデンスを送ってください
- 明日の契約時にエビデンスを取るのを忘れずに
- エビデンスとなるメールはきちんと保存しておくように
「ファクト」の対義語は「フェイク」
ファクトの対義語である「フェイク」は英語「fake」からくる言葉で、「偽の」「偽造の」といった意味があります。
最近は偽情報の「フェイクニュース」の危険性が高まっているため、「フェイク」という言葉を聞く機会が増えました。
例文を見ながら、正しい使い方をおさらいしましょう。
「フェイク」を使った例文
- フェイクニュースによって、抗議活動が一層激しくなった
- フェイクの情報を徹底的に排除するように
- この時計、フェイク品じゃない?
「ファクト」を言い換えるなら「事実」
「ファクト」をメールで使用するとき、また目上の人に使うときには「事実」と言い換えると良いでしょう。
言い換えた際の例文を紹介します。
「事実」に言い換えたときの例文
- 事実確認済の情報です
- 調査方法や調査を行った会社を調べた結果、この情報は事実であると結論しました
「ファクト」を英語で言い換えるなら文脈に注意
「ファクト」を英文で使う場合には、文脈に注意して使う必要があります。
英文には「事実」を表す単語が複数あり、文脈により最適な単語が変わるからです。
例文を見ながら使い方を確認しましょう。
- inquire into the facts . 事実を調査する
- The facts are these. 事実はこちらです。
ちなみに、「ファクトチェック」は英語でも同じ意味を持つので、英文で使ってもOKです。
次に「事実」を表す他の単語も見てみましょう。
「fact」の類語
「the truth」
・You need to find out the truth about that case. この件に関する真実を探さねばならない
「actually」
・It looks easy but actually dificil. 簡単に見えるが、実際は難しいのだ
「really」
・There is no such reality. そういった事実はありません
「fact」を使った熟語
- in fact 実際は
- as a matter of fact 実のところは
- despite the fact that ~にも関わらず
「ファクト」の必要性・確認の際の注意点
「ファクト」がビジネス語として一般的になった背景には、現在のビジネスシーンで事実確認の必要性がかつてなく高まっている…という状況があります。
最後に「ファクト」の重要性をおさらいし、正しい「ファクト」の認識を身につけましょう。
ファクト確認はビジネスマンの常識
現代はインターネットの普及により情報が溢れていますが、中には事実確認をせずに発信された情報もあります。
また引用・転載された情報の中にも、元の情報源が不明なものもあるでしょう。
もっともらしく報道される「フェイクニュース」、AIによって細部にまで作り上げられた「ディープフェイク」の情報も存在します。
新商品の開発・既存サービスの向上のためには社会のニーズや流行を掴む力が必要です。
しかし信用できない情報をもとにプロジェクトを進行してしまうと、後に莫大な損失を被ることもあり得ます。
また企画を提案した際にファクト確認がとれていないと、ビジネスマンとしての信用を失う事態になってしまうでしょう。
現代社会でビジネスマンとして生き残るためには、ファクト確認は常識なのです。
マーケティングでのファクトの必要性
マーケティングにおいては、「数字・ファクト・ロジック」の3要素を検討することが重要です。
数字:データ 調査結果
ファクト:データの裏付けとなる情報や調査
ロジック:上記の情報から導き出す論理
3つのうちどれか1つでも欠けると、提案がニーズとかけ離れたもの・現実的でないものとなってしまいます。
「数字・ファクト・ロジック」を土台として考える、という型ができれば、会議もスムーズに進みますし、より効率的にプロジェクトを進めることができます。
ファクトか判断する基準
- 主張、意見を排除する
- 党派性のある考え、公正に欠ける考えを排除する
- 情報源の透明性を確認する
- 情報源となる組織の資金源等を調べる
これらの点を確認することで、偽りの情報を排除できます。
このようにファクトチェックを行う癖をつけておくと、普段ニュースを読むときにも情報に振り回されることがなくなります。
「ファクト」について まとめ
「ファクト」は「真実」という意味の言葉ですが、ビジネスシーンでは「事実確認が取れている情報」という意味で使われます。
調査結果や数値に加えて、調査を行った会社の信頼性や情報の透明性などが確認された情報のみ「ファクト」と言えます。
ビジネスシーンでよく使われる関連語には
- ファクトベース思考
- ファクト認識
- ファクトチェック
- ファクトシート
などがあります。
ファクトの類語には「エビデンス」がありますが、「エビデンス」は何らかの論証の裏付けとなる情報にのみ用いられます。
それに比べて、証拠となるかに関わらす事実はすべて「ファクト」です。
ファクトかどうか確認ができた情報のみを用いることは、もはやビジネスマンとして常識です。
ファクトチェックを怠ると社会人として、そして会社全体の信用も落としてしまいかねないので、十分注意しましょう。
「ファクト」を正しく理解し、ビジネスマンとしての信頼を勝ち取りましょう。
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