「ネゴシエーション」とは?意味や使い方、交渉スキルを上げるためのポイントを解説
ネゴシエーションとは「交渉・折衝」という意味です。
以前「交渉人」が活躍する映画やドラマが流行っていた時期がありましたね。交渉人のことを「ネゴシエーター」と言いますが、本記事で紹介するネゴシエーションする人のことです。
ここではネゴシエーションについてその意味や活用例や実際にビジネスシーンでネゴシエーションを使う際の方法についてご紹介します。
この記事で伝えたいこと
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
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ネゴシエーションって何?
まずネゴシエーションとは一体どのような意味なのかを見ていきます。
ネゴシエーションとは英語で「negotiation」と書く
ネゴシエーションとは英語で「negotiation」と書き、「交渉・折衝」です。
折衝とは「外交その他の交渉の、相手との談判・かけひき」という意味で交渉と折衝、どちらもビジネス面で欠かせないスキルになります。
相手に無理やり要求を承認させることはネゴシエーションではない
ちなみに海外映画等で交渉人が主役のものを見ていると交渉相手に対して無理やり要求を承認させているようなシーンがありますが、実際はNGです。
上記のようなシーンで言うならばそれは交渉ではなくて強要になってしまいますよね。ネゴシエーションは相手との信頼関係があってこそ成り立つものであって上下関係がある状況で「はいわかりました」と言わせることではないのです。
交渉以外でも社内の円滑な業務にも必要不可欠なスキルである
ネゴシエーションと聞くと「商談」「取引」等に使われるスキルとして一般的ですが、交渉以外でも社内の円滑な業務に必要不可欠なスキルです。
例えば社内で他部署に何かを依頼する時や上司へ説得する際等、双方がwin-winの状態に持ち込んで合意することができるネゴシエーションはとても有益なスキルと言えます。
ネゴシエーションの活用例
次はネゴシエーションの活用例をビジネスシーン別で4つのケースに分けて紹介します。
営業
まずネゴシエーションスキルが特に重要となるのは「営業」です。
新たな営業先を開拓する場合、こちらの意思や提案ばかりを主張するのでは契約に結び付くものも結びつきません。
そこでネゴシエーションスキルを活用してしっかりとメリットを伝えるだけでなく「相手の意見をしっかりと聞き、相手が何を求めているのかを把握」することによりお互いの妥協点を見つけることができます。
その結果、お互いが不満を持つことなく交渉を終えることができるのです。
社内決裁
社内決裁とは1人の上長に案件の内容を確認してもらい承認を得ることです。ちなみに複数の役職者から承認を得ることは「社内稟議」と言います。
この社内決裁をとる際にもネゴシエーションスキルは活用できます。例えば事前に決裁者に話を通しておいたり、直属の上司に相談をしておくことで社内決裁をスムーズに進めることができます。
値引き交渉
取引先やこれから契約しようと考えている企業に対して「わが社ではこの商品を大量購入する予定があるから」「この商品の相場、適切な価格は〇〇円だから」と根拠を順序だてて説明することもネゴシエーションの活用方法です。
ただ「高いから安くして」「この商品って相場だとこんなに安いのになんで高いの?」なんて言った日には……。しっかりと根拠を持ち、相手に納得させるように値引き交渉をするのもネゴシエーションならではです。
部下への指導
また上記以外でも部下への指導でネゴシエーションスキルを活用することができます。
例えば部下を指導する際に頭ごなしに叱ったりするよりも、相手の意見も取り入れつつ「その話は分かった。」「ではこうしたらどうだろう」と指導することで部下の成長を促すことができるのです。
以上を踏まえてネゴシエーションスキルはビジネスシーンにおいて様々な点で有利に働くスキルです。そのため営業以外の部署や職種であっても取得しておいて損はないスキルと言えます。
ネゴシエーションスキルを高める為に必要なこと
ここまで読んできて「ネゴシエーションスキルって凄いな」「自分もネゴシエーションスキルを活用したいけどなかなかうまくいかない」と言う方もいるのではないでしょうか。
そこで、ここではネゴシエーションスキルを高める為に必要なことを5つご紹介します。
論理的思考を鍛える
論理的思考とは「物事を体系的に整理して矛盾なく筋道を立てられる思考」のことです。
例えば何か話をする時に根拠を持って主張する人と、何も根拠はないけれど主張する人では説得力に違いがありますよね。
そのため論理的な思考を持たない人は相手からすれば説得力に欠けていると感じ、反論するきっかけを与えてしまう可能性もあるのです。
以上を踏まえて日常的に根拠を持った上で主張する習慣をつけることで相手や周囲から納得を得られやすくなります。その他にも日頃から具体的な言葉で説明をするようにすることも論理的思考を鍛える方法です。
関係を構築するスキルを鍛える
関係を構築するスキルとは簡単に言えば「コミュニケーションスキル」のことです。
しかしネゴシエーションで大切なコミュニケーションスキルは、相手と仲良くなる以外にも「相手に話をしてもらう」ということが前提になります。
ネゴシエーションは相手の話を聞くことがとても大切になるため、どんなに仲良くなっても話をしてもらえなければ意味がありませんよね。
ネゴシエーションで必要なコミュニケーションスキルを鍛えるには「相手の話を否定せずにしっかりと聞く」「こちらに間違いがあれば認めること」「相手に敬意を持って接すること」です。相手の話を遮ったりこちらに間違いがあっても言い訳をしたりするのは言語道断。加えて相手が仮に自身の企業よりも小規模だからと敬意を持たずに接すれば相手にもそれは伝わります。
妥協点を見つける
ネゴシエーションはお互いがwin-winの状態で合意できることが目的です。しかし実際ビジネスシーンではすべての主張や提案が通ることはそうありません。
そう考えるとどちらか一方の主張が通って、通らなかった方は不満を抱えたまま交渉を終えることになるわけです。ではネゴシエーションとは一体何が目的なのか、それは上記に書いたように「お互いが納得の行く結果におさめること」ですからそのためには「これならまぁ納得しましょう」という妥協点を見つけることが重要になります。
以上を踏まえて日頃から妥協点を見つけるようになればネゴシエーションスキルは一気にレベルアップすることでしょう。
相手が求めているニーズをくみ取れるようにする
最後にネゴシエーションは話を聞いている中で「この人は一体どんなことを求めているのか」というニーズをくみ取れるようにならなければいけません。
交渉事は長期化すればする程、判断力・決断力の鈍り等が発生するため成功率が低くなるのです。加えて交渉相手が企業のトップであれば毎回時間を取られることを嫌がられるケースもあるでしょう。
以上を踏まえて交渉をスムーズに進めていくためには相手が何を求めているのかを把握し、相手と自分の妥協点を見つけることが大切です。
やってみよう!ネゴシエーションの方法とステップ5
次はここまでのおさらいとして「実際にネゴシエーションをやってみよう!」ということでネゴシエーションの方法とステップをご紹介します。
①まずはゴールを決めよう
ネゴシエーションを始める前の下準備として、まずは今回の交渉のゴールを決めておきましょう。
例えば「この交渉では購入価格の〇%の値引き交渉をする」という場合はゴールは「〇%の値引き」となります。
ゴールが決まったら、次は〇%の値引きしてもらうことで相手にはデメリットがあるが、逆にどのようなメリットを与えることができるのか、複数の提案を考えます。また、交渉の流れも考えます。
- 〇%値引きにより、販売単価を下げてシェアを上げて販売数を増えることとなり、購入数が増え、取引額が増える
- 〇%値引きにより、専任のマーケティング担当者を付け販売に注力し、販売数増加を狙う
- 〇%値引きを希望する理由は?→この商品は原材料費の相場が〇〇円であって、加工費等を計算しても貴社が提案する価格だと適切ではないという根拠を提示
- 今回の交渉の最低条件を決めておく(十分な利益が確保でき、今回の交渉の意味があるところ)
- 交渉をいくらから始めるか?
等、事前にこちらの提案に相手がどう出るかを予測、そのためには「このようにしよう」という代替案を練っておくことが大切です。
②最初に結論を伝えよう
事前準備が整ったらいざ交渉の場へ。ここでポイントは最初に結論を伝えましょう。
相手からすれば忙しい時間を割いて交渉の場にいるわけですから、ダラダラと関係ない話で引き延ばされるのは良い気はしません。
そのため「今回は〇〇についてご相談したく伺いました。」と最初に伝えることで話に入りやすくなるのです。そして「〇〇に対して〇%の値下げをお願いしたいと考えており、それにあたってこちらは〇〇のようなご対応をさせていただきますので、貴社は〇〇というメリットがあります」ということをしっかりと伝えるようにしましょう。
③相手の主張をしっかり聞こう
こちらの結論や条件等を伝えたら、そこからは相手の主張を遮らずにしっかりと聞きます。決して「それは」と話を遮らずに。
相手には相手なりの考え方や主張があるわけですから、それを遮られると「この会社は自分の主張だけを通しに来たのか」と思われても仕方がありません。
そして話を聞いている最中はネゴシエーションチャンスです。相手が何を求めているのか、そのニーズをしっかりと把握してこちらのターンを待ちましょう。
④代替案もあらかじめ準備しておくこと
さぁ、相手の主張が終わりました。どうしても値引きはできないと言われた場合あなたならどうしますか?この場合値引きにこだわらない代替案も必要ですね。
例えば
- 商品にサービスをつけることによって値段は変わらないが双方共に顧客満足度の向上というメリットがある
- 値段は変えずに納期を早めてもらうようにすることで在庫数を減らし、生産性を向上するというメリットがある
- 値段は変えずに商品の質をあげてもらえるように説得することで結果的に顧客満足度や売り上げの増加が望める
どの代替案にしても、相手にどんなメリットがあるのかをしっかり提示しないと「わかりました」とは言わないでしょう。
そのためお互いに落としどころがないな……となればいつまでも「これは?」「これは?」とせずに同じ商品を扱う他社へ交渉を持っていくという方法もあります。
⑤こちらの条件で詰めるのではなくて相手にも考える時間を与えよう
ネゴシエーションはこちらの意見を無理に通すものではなく相手と意見をすりあわせて妥協点を見つけていくことが大切です。
そのためこちらの意見を主張した後「少し考えさせていただいて後日ご連絡差し上げます」と言われた場合は、一度会社に持ち帰って相手に考える時間を与えましょう。
交渉内容によっては交渉相手の決定権を超えているなどの即決できる内容ではないかもしれませんし、特に値引き等の価格交渉は「値引きすることによって見込まれるメリットやデメリット」「将来性を意識した結果、良い結果に繋がるのか」等、検討すべき点は多いです。そのため「今日答えを出してもらわなければ困ります」とこちらの主張を強制しないようにしてくださいね。
ネゴシエーションで使える心理的交渉術
最後にネゴシエーションで使える心理的交渉術をご紹介します。心理的交渉術とはネゴシエーションのように交渉事を行う際に人間の心理をうまく利用して交渉を進めるテクニックです。
この心理的交渉術を会得することにより、更なるネゴシエーションスキルの向上が期待できるためぜひ活用してみましょう。
イーブン・ア・ペニー・テクニック
イーブン・ア・ペニー・テクニックとは「相手にとってあまりにもハードルが低い要求をすることにより結果的に相手に要求以上のお願いを聞いてもらうこと」です。
わかりやすい例で言うと「〇〇のために1円でもいいから恵んでください!」と街頭で子供の写真を持って泣いている親がいたら、心優しい皆さんは「1円とはいわず100円」少ないけどと言いながら「200円」募金するかもしれませんよね。これこそイーブン・ア・ペニーテクニックです。
1円を募金するってそこまでハードルが高いものではありませんよね。もちろん見知らぬ人間に募金なんて嫌だよ!という人はいるかもしれませんが、1円って大半の人々の財布に数枚は入っているはずです。ですがこの母親は「1円でもいいんです!1円……」と言っている。私たちは「え?1円でいいの?でも1円だとなんか申し訳ないし100円」となりませんか?
このイーブン・ア・ペニー・テクニックは、ビジネスシーンの交渉でも使える素晴らしい心理的交渉術です。
ドア・イン・ザ・フェイス法
ドア・イン・ザ・フェイス法はまず最初に提示したい条件よりもハードルが高い条件を提示します。すると高確率で「無理」と断られますのでそこから少しずつハードルを下げることで、本来の条件で交渉を有利に進める心理的交渉術です。
人間の心理は「こんなに譲歩してくれているのにこちらが譲歩しないのは……」と考えるため、結果的に目的を達成することができるわけなのです。
ちなみにドア・イン・ザ・フェイス法の反対で「フット・イン・ザ・ドア法」というものもあります。こちらは最初にハードルの低い条件を提示して承認させることにより、どんどんハードルを上げていって本来の目的である条件を通すのです。これは一度条件を承認した手前「やっぱり無理」とは言えない人間の心理をうまく突いた交渉術です。
ネゴシエーションについて まとめ
今回はネゴシエーションについてご紹介しました。
ネゴシエーションとは英語で「negotiation」と書き、「交渉・折衝」です。
ネゴシエーションスキルは、ビジネスシーンで有益なスキルですね。
なかなか交渉がうまくいかないと悩んでいる営業さんや、ネゴシエーションスキルを高めたい方は本記事を参考にレベルアップを目指しましょう。
加えて最後にご紹介した心理的交渉術もあわせて活用することで更なるネゴシエーションスキルの向上に繋がるため、ぜひ一度活用してみてくださいね。
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