「シナジー」の意味は「相乗効果」ビジネスシーンでの使い方やシナジー効果について解説
シナジーとは日本語に訳すと「相乗効果」という意味です。特にビジネスシーンでは「シナジー効果」という言葉がよく使われます。
本記事ではシナジーの意味についてはもちろん、シナジー効果の種類、シナジー効果がビジネスに与えるメリットについてご紹介しますのでぜひご覧ください。
この記事で伝えたいこと
「エーマッチ」編集長。
ウェブマーケティング会社経営者。上場企業からスタートアップまで7回の転職経験を元に転職エージェントマッチングメディア「エーマッチ」を運営。
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シナジーって何?
ここではシナジーという言葉についてご紹介します。
シナジーとは英語で「synergy」と書く
シナジーとは英語で「synergy」と書き、日本語に訳すと「相乗効果」という意味です。
相乗効果以外にも共同作用といった意味で使用されることもあり、双方にとって有益な関係であることをシナジー効果と言います。
このシナジー効果は一人で何かを行っていた時よりも誰かと共同で行ったことにより高い効果が得られた!という時にも使うことが多い用語です。
シナジーの逆効果「アナジー」とは
シナジー効果という言葉の対義語で「アナジー」という用語もあります。こちらは簡単に言えば「マイナスの相乗効果」で負のシナジー効果やマイナスシナジーと呼ばれることもあります。
例えば上記の「一人で何かを行っていた時よりも誰かと共同で行ったことにより……」という効果が逆効果になり、共同で行うよりも一人で行った方が高い効果が得られたという時に「アナジーだ」と使うのです。
ビジネスシーンでよく聞く「シナジー効果」の種類
次はビジネスシーンでよく聞く「シナジー効果」について、複数あるシナジー効果の種類をご紹介します。
売り上げシナジー
売り上げシナジーとは複数の企業や事業がM&Aによって協力したり、経営を多角化したりすることにより結果的に大きな売り上げをもたらすことです。
例えば生産設備や流通経路を共有することで顧客の満足度を高める商品を開発することができるようになったり、複数の企業の販売経路を統合して販売チャネルの拡大が期待できます。
その他にも複数の企業のブランド力を借りることにより企業価値を高めることもできるのです。
財務シナジー
財務シナジーとは企業のお金や税金に対するシナジー効果のことで「余剰資金活用」「節税効果」が期待できます。
余剰資金とは今のところ使う予定のないお金のことで、例えば企業のM&Aで合併や買収を行うことで余剰資金を活用すると将来的に有望な企業になる可能性や優秀な人材を確保することができるかもしれないということです。
また節税効果については企業がM&Aを行うことで買収先の企業に繰越欠損金等が積みあがっている場合、その欠損金を自社に計上することで黒字であれば利益額を圧縮することができます。その結果課税の対象となる金額を抑えることができるため節税効果が得られるという仕組みになります。
以上を踏まえて、財務シナジーとは企業のM&Aにおいて特に効果を得ることができるシナジーのことなのです。
コストシナジー
コストシナジーとはビジネスの経費を減らすことでその結果利益が上がるということです。
例えば複数事業の協働や企業間提携で重複している部門や同じ業務をしていないか等の見直しをして必要ならば保持、必要なければ削減という風にしてくことでコスト削減の効果が期待できます。
コストシナジーの例として会社の規模を大きくすることで商品を大量に仕入れてコストを削減する、買収した会社とされた会社の物流を統一することでコストを削減すること等が挙げられます。
研究開発シナジー
研究開発シナジーとはその名の通り、研究開発の面で期待できるシナジー効果です。
企業同士が提携したり、統合したりすれば各社が持つ研究開発のノウハウが集約されるだけでなく必要となる人員が充足されることになります。
その結果、研究開発の成功率が上がり、新商品の開発やサービス改善へ繋げることができるのです。
生産シナジー
生産シナジーとは生産設備や生産を行う際に有益な情報を共有することにより生まれるシナジー効果のことです。
例えば物流の業務を統合することによって原料や商品の運送、在庫管理面でコスト削減を期待することができます。加えて複数の企業が協力し合えば原料等を大量購入して販売元へ価格交渉をすることもできますよね。
他にも工場の稼働率が上がって結果的に大きな利益をうむ可能性もあるでしょう。
投資シナジー
投資シナジーとは研究開発や技術、ノウハウを共有することにより得ることができるシナジー効果です。
複数の企業が持つ研究開発結果や技術、ノウハウを統合することによって研究を更に優れた結果にさせることもできます。
加えて一つの企業で研究開発を続けるよりも、研究開発費の効率的な提供を受ける事や削減も期待できます。
経営シナジー
経営シナジーとは各企業の経営者や管理者のノウハウを共有することで獲得できるシナジー効果のことです。
例えば複数の経営戦略を融合することで優れた経営戦略を練ることや、実施することができます。
それにより以前よりも更に高度な経営戦略を練ることができるため、結果的に経営自体が上向きになることが期待できるのです。
シナジーがビジネスシーンに与えるメリットとは
シナジー効果とは企業にとって良い結果をもたらすものだとわかりました。ここではシナジーがビジネスシーンに与えるメリットについて大きく3つに分けてご紹介します。
組織力の向上
シナジーがビジネスシーンに与えるメリット1つ目は「組織力の向上」です。
例えばいままでバラバラであった事業部をM&A等で統合した場合、お互いのマネジメントノウハウを共有・最適化することができるようになり新たな組織マネジメントが生まれます。
その他にも重複する業務を統一したり、人員を適切な数で配置することができるため経営資源を有効活用することができるでしょう。そうすると結果的に組織力が向上しコスト削減や売り上げ増加に繋げることができる点がシナジーのメリットです。
得意先の拡大
シナジーがビジネスシーンに与えるメリット2つ目は「得意先の拡大」です。
一つの企業が持つ得意先と、複数の企業が持つ得意先を業務提携やM&Aで統合すればこれまで以上に多くの取引先と取引を行うことができます。
そうすれば結果的に販売チャネルが増え、売り上げの増加を期待することもできるでしょう。
ノウハウや技術の向上
シナジーがビジネスシーンに与えるメリット3つ目は「ノウハウや技術の向上」です。
複数の企業が持つノウハウや技術を統合することにより、新製品の開発や質の向上、生産技術の向上へ繋げることができます。
そうすれば結果的に顧客の満足度や売り上げの増加を期待することもできるでしょう。
シナジー効果の成功例と失敗例
次は実際にM&Aや業務提携等により発生したシナジー効果の成功例と失敗例を見ていきましょう。
成功例:LIXILグループ:一体経営
LIXILグループとはトステムやINAX等が統合して誕生したグループでM&Aを繰り返し行い子会社105社の会計システムを統合した結果、経営スピードの向上に繋がりました。
またこれにより各企業の業績をリアルタイムに確認することができるようになったため、経営判断が迅速に下せるという点もシナジー効果の成功例と言えるでしょう。
成功例:トヨタ自動車・スズキ:業務提携
2018年、トヨタ自動車とスズキが資本提携することが発表され、トヨタ自動車の電動技術とスズキの小型車技術を組み合わせることで競争力のある製品開発を目指しました。
またトヨタ自動車はアメリカ等の海外で市場シェアを誇っていますが、スズキは主にインドで圧倒的な市場シェアを誇っているため、トヨタ自動車はインドでの市場シェアを共有することによって売り上げ増加を期待したものと考えられます。
他にも部品等の調達を共有化することによってコストを下げるというメリットもあるでしょう。
失敗例:経営の多角化
M&A等による経営の多角化は既存事業とは別の事業を行う事で事業リスクを分散させるメリットがあります。しかし、M&A先の事業と既存事業の方向性が違ったり、新規事業へのノウハウがない場合はシナジー効果が発生しにくいと考えられるでしょう。
そうなるとM&A前よりも業績が悪化する可能性もあるため、しっかりとシナジー効果を狙った経営戦略を立てることが必要となります。
失敗例:人材流出
M&Aを行ったり経営方針を統合した結果、自身の処遇等に反発を感じる方もいないとは限りません。
そうなれば人材の流出で結果的に以前よりも業績が悪化することもあるでしょう。
失敗例:コストの増加
例えばM&A等を行うということは経営統合作業が必要になりますよね。それには事業体制の再編成やシステムや制度の統一等が必要となり結果的にコストだけが大きくなり業績が悪化するという可能性もあります。
アナジー効果を回避するために必要なこと
アナジー効果を回避するためには統合プロセスを徹底しM&A等を行う初期から目的をしっかりと話し合い同意を得て次のステップに進むことが大切です。
なぜ統合プロセスが必要なのかと言うと統合相手の企業価値や組織の体質を見極めなければ結果的に経営を統合した後に思いがけないコストが発生する可能性があります。そのためシナジー効果を発揮させるためには事前に統合プロセスを固めておく必要があるのです。
またM&Aの専門家に統合プロセスについて相談したり、ピュアカンパニーを設立しておくこともアナジー効果の回避に繋がります。
※ピュアカンパニーとは:事業を専業化した会社のこと
シナジー効果を最大限に活かす方法
最後にシナジー効果を最大限に活かす4つの方法をご紹介します。もちろん上で紹介したように統合プロセスを徹底する等の対策を講じなければ確実にシナジー効果を最大限に活かすどころかアナジー効果になることもあるでしょう。そのため、ここではシナジー効果に関するメリットとデメリットもあわせてご紹介します。
業務提携
シナジー効果を最大限に活かす方法1つ目は「業務提携」です。
業務提携は提携した企業の資源を活用し事業の成長を図ることができます。特に販売提携や技術提携はこれまでの販売、技術を更に優れたものにすることができるため結果的にシナジー効果を発揮しやすいと言えます。
M&A
シナジー効果を最大限に活かす方法2つ目はM&Aです。
M&Aは組織再編に最も適しているとされており、M&Aは企業の内外にある様々な要素を組み合わせていくことができるためシナジー効果を発揮しやすいと言えます。
グループ一体経営
シナジー効果を最大限に活かす方法3つ目はグループ一体経営です。
グループ企業内における業務の一部を共通化することにより、結果的にコストの削減や様々な商品提供を行うことができます。
その結果売り上げの増加や顧客の満足度向上等のシナジー効果を発揮しやすいと言えます。
多角化戦略
シナジー効果を最大限に活かす方法4つ目は多角化戦略です。
多角化戦略にも種類があり、特にシナジー効果を発揮するのは水平型多角化戦略、垂直型多角化戦略等が挙げられます。
水平型多角化戦略とは現在行っている分野と同じ分野で新たに事業を展開していくことで、既存技術や流通・販売経路を応用することができるためシナジー効果を発揮しやすいと言えます。
また垂直型多角化戦略とはいままでの市場と同じであったり、同じではないが似ている市場で新製品を開発し投入することです。
例えばクレヨンのメーカーが色鉛筆を製造したり、ボールペンのメーカーが万年筆を製造するというイメージになります。特に水平型多角化戦略はリスクが少ない戦略とされています。
シナジーについて まとめ
今回はシナジーについて多方面から様々な情報をご紹介しました。
シナジーとは日本語に訳すと「相乗効果」という意味です、特にビジネスシーンでは「シナジー効果」という言葉がよく使われています。
シナジーはビジネスシーンにおいてとても大切なものですので、ご自身が直接シナジー効果に関わらないとしても覚えておいて損はない用語でしょう。
また現在個人事業主や新たな事業を展開しようと考えている方はぜひシナジー効果を最大限に活かす方法を参考にして企業体系を検討してみてくださいね。
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